薬局に勤めていると糖尿病の病型まで知る機会がなかったのであまり注意してみていませんでしたが、病院では要注意チェック項目なので、まとめてみました。
1型糖尿病と2型糖尿病の違い
ここの詳しい分類は糖尿病専門医の領域になるので、一般的に言われている違いをざっくりと説明すると…
1型糖尿病⇒膵β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏状態。自己免疫性と特発性の二つがある。
2型糖尿病⇒インスリン低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリン相対的不足を伴うものなどがある。
※糖尿病治療ガイド2022~2023を参照に作成
1型糖尿病の治療は基本はインスリン
インスリンの絶対的な不足がある為、基本の治療は基礎型のインスリンと、即効型の強化インスリン療法を行っています。
GLP-1製剤は使用できるか
結論から言うと、2型糖尿病にのみ適応のため、1型には使用できません。
ただ、一部発生機序的には1型糖尿病で、いずれインスリン依存状態になる事は間違いないが、現在はインスリンが出ている人がおり、そういった人には、医師の判断で、病名を2型のまま保留することで、処方が出ているケースもあります。
糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)より抜粋

1型糖尿病には、一部の飲み薬で適応があり(R5.6現在)
治療のメインはインスリンですが、一部サブ治療として用いられる経口薬があります。

薬局にいたころは、インスリンしか使えないのだと思ってました。
αーグリコシダ―ゼ阻害薬で適応あり
αーグリコシダ―ゼ阻害剤は全ての薬剤がⅠ型糖尿病に適応が通っています。

作用を考えてみれば、当たり前なのかもしれないですが…。
SGLT2阻害薬の一部で適応が通っている
現在適応が通っているのは、スーグラ(イブラグリフロジン)、フォシーガ(ダバグリフロジン)のみです。合剤は適応が通っていないため、注意が必要です。

因みに心不全に適応が通っているのはジャディアンス(エンパグリフロジン)とフォシーガ(ダバグリフロジン)だけです。

ややこしい…。Ⅰ型糖尿病にも心不全にも適応が通っているのはフォシーガだけなんだね。
SGLT-2阻害薬の適応一覧表(R5.6.7現在)
SGLT-2阻害薬は薬によって適応が異なり、ややこしいため、注意が必要です。
SGLT-2阻害剤 | Ⅰ型適応 | 慢性心不全適応 |
カナグル(カナグリフロジン) | × | × |
ジャディアンス(エンパグリフロジン) | × | 〇 |
スーグラ(イブラグリフロジン) | 〇 | × |
デベルザ(トホグリフロジン) | × | × |
フォシーガ(ダバグリフロジン) | 〇 | 〇 |
ルセフィ(ルセオグリフロジン) | × | × |
メトホルミン、ツイミーグなどのインスリン抵抗性改善薬は使えない?
作用部位や作用の仕方を考えると、効果がある可能性が高いと思います。
今後は適応が通っていく可能性がありますが、現在はⅡ型糖尿病にしか適応が通っていません。

頻度は高くないですが、専門医の間では膵臓がまだ動いている境界型のⅠ型糖尿病には病名をⅡ型糖尿病のままで処方しているケースもあるようです。
まとめ
入職してすぐのころに、1型糖尿病にDPP-4阻害剤が出ていたのを見逃して怒られました。

そもそも、1型糖尿病なのに、DPP-4阻害剤を処方した医師にも問題があるのでは…?
院長に呼び出されて怒られたので、二度と間違えないように今回は調べたことを記事にまとめてみました。他の方の参考になれば幸いです。
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