糖尿病の治療だけでなく、健康管理の一環、糖尿病を未然に防ぐため血糖コントロールの重要性が注目されています。
糖尿病の治療においては、さまざまな血糖測定器が発売されており、医師の判断によって保険適応で利用することが可能です。
スマートウォッチ等などのデバイスでは未だそのようなものは開発されていません。
薬局や通販で唯一手軽に手に入る血糖測定器FreeStyleリブレ2に関してこの記事では紹介します。
- FreeStyleリブレ2はどのような血糖測定器か
- 血糖を把握するメリット
- FreeStyleリブレ2とほかの血糖測定器との違い
FreeStyleリブレ2とは?ほかの血糖測定器とは何がちがう?

FreeStyleリブレ2はFreeStyleリブレの後継製品です。
FreeStyleリブレは間歇スキャンCGMとして有名な血糖測定器であり、2014年に欧州で発売されて以来、世界46カ国以上で提供され、36カ国で保険適用され(一部適用を含む)、世界で200万人以上の糖尿病患者に使用されています。
日本においては、2016年5月に製造販売承認を取得し、2017年1月に発売、2017年9月1日から保険適用が開始されました。
FreeStyleリブレ2はどんな血糖測定器?
FreeStyleリブレ2は、専用のセンサーを皮膚(主に腕や腹部)に貼るだけで、皮下の間質液中のグルコース値を持続的に測定記録することができます。

センサーはとても小さくて、500円玉くらいの大きさです。
スマートデバイスやパソコンで自分自身で血糖変動(血糖トレンド)を確認することができます。
下記のようにAGP(Ambulatory Glucose Profile)とよばれる解析方法で、連続して測定・記録された血糖値や間質液中グルコース値を集約し、その傾向を視覚的に把握しやすくしてくれます。


低血糖の早期発見や、食生活や生活スタイルの改善による血糖値の改善効果が報告されており、近年非常に普及が広がっている血糖測定器です。
FreeStyleリブレ2でどんなことがわかる?
冒頭に記載したことに加えて、FreeStyleリブレ2でわかること、メリットなどをより具体的に以下にまとめました。
- 指先に針を刺すことなく、センサーを皮膚に貼るだけで血糖値が測定できるため、痛みを最小限に抑えられる
- 睡眠時など、自分では気が付かなかった低血糖を発見することが可能
- アプリなどを活用すれば、血糖値の情報を病院や家族と共有することが可能
- 血糖トレンドを知ることができる
- 血糖の一日の変化をみることで、どの食事を中心とした生活習慣の影響を受けて血糖がどのように変動したのかを知ることが可能
- その場しのぎではなく、何が血糖に影響を及ぼしているのかを根本から理解することができ、不安がなくなる
ほかの血糖測定器とFreeStyleリブレ2は何がちがうの?
血糖測定器には、その都度穿刺し、血から直接血糖値を測るSMBGとよばれる血糖測定器と、FreeStyleリブレ2のようにセンサーを取りつけて、間質液中のグルコースを測定することで間接的に血糖値を測定するタイプがあります。



ちょっと専門的な話になります。興味のない人は以下は飛ばしても問題ありません。
SMBG(Self-Monitoring Blood Glucose)はそのつど血糖値を測定する
専用の穿刺器具で指先に傷をつけて血液を採取し、そのつど血糖値を測定する自己血糖測定器です。
一番一般的によく知られている自己血糖測定器の種類です。
医療機関で医師から指示を受け、血糖測定の機械をレンタルし、穿刺器具とチップと針のみ医療機関から配布されます。



糖尿病の診断を受けた人のみ保険適応でチップと針を購入、必要量を配布されます。



Ⅰ型、Ⅱ型糖尿病ともに保険適応です。
とても歴史も古く、1950年代から開発がすすめられ、現在は測定時間の短縮、測定に必要とされる血液量の少量化、カラー画面表示など様々な進化を遂げています。
現在は10社のメーカーから様々な種類のSMBGが発売されています。
血糖測定器に関してもっと詳しく知りたい方はこちら





糖尿病の診断を受けていない人でも購入可能ですが、高度管理医療機器の販売の許可を得た薬局や通販でのみでの販売となります。
体外診断用医薬品であるチップなどは通販での購入はできません。
FreeStyleリブレ2はリアルタイムCGM!持続して血糖値を測定する
先述したように、FreeStyleリブレ2は専用のセンサーを皮膚(主に腕や腹部)に貼るだけで、皮下の間質液中のグルコース値を持続的に測定記録することができる血糖測定器です。
CGMとは異なり、直接血液を測定しているわけではありません。
CGMはさらに、主に病院で医療従事者が臨床検査で使用するプロフェッショナルCGM、血糖自己管理用(自宅で患者さんが使用するタイプ)のパーソナルCGMに分けられます。
- パーソナルCGMはさらにリアルタイムCGM(rtCGM)と間歇スキャンCGM(isCGMまたはFGM)にわけられます。
- リアルタイムCGMは個人がスキャンすることなく、WifiやBluetoothを通じて常にデータがスマートデバイスに送信されるという特徴があります。
- 間歇スキャンCGMは一定時間ごとにスマートデバイスでデータを読み込む必要があります。



FreeStyleリブレ2はリアルタイムCGM、FreeStyleリブレは間歇スキャンCGMという位置づけでした。
プロフェッショナルCGMは主に検査などで医療機関で用いるCGMのため、この記事では説明を割愛させていただきます。


FreeStyleリブレとリブレ2の違いに関してはこちら


FreeStyleリブレ2の注意点は?
FreeStyleリブレ2の注意点に関して以下にまとめました。
リブレ2の数値は間質液のグルコース濃度を測定しています。
実際の血糖値との乖離を意識するためにも、リブレを使用中も、できればSMBGで定期的に血糖値を確認したほうがよいでしょう。
- 血液中のグルコース濃度(血糖値)を測定しているわけではなく、間質液中のグルコース濃度を測定しているため、実際の血糖値とタイムラグ(5~10分程度)がある。
- スマートデバイスのバージョンによっては利用できないケースがある(その場合はリブレリーダーをレンタルもしくは購入となる場合もある)
- 高齢者の場合、スマートデバイスやアプリの操作が困難な場合がある
- X線、MRI、CTスキャンの検査を受ける場合は取り外す必要がある
- 飛行機に搭乗する際は申告したほうがよい
FreeStyleリブレ2はどこで手に入る?廃棄方法は?
FreeStyleリブレ2とFreeStyleリブレも高度管理医療機器に該当するため、SMBG同様に薬局で購入することが可能です。
使用方法などに関しては、こちらのサイトをご覧ください。アプリの設定方法、センサーのつけ方、図り方などを分かりやすく動画で紹介しています。→患者さん向け:FreeStyleリブレ2‐糖尿病関連製品情報サイト|アボットジャパン
FreeStyleリブレ2
スマートフォンを持っている人でも、持っていない人でも使用することができます。
古いバージョンのままだと、リブレ2特有の機能が使えず、FreeStyleリブレと同じ機能しか使用できません。
スマートフォンをお持ちではない方
税込みで18950円です。
スマートフォンをお持ちの方
スマートフォンがある方は、センサーとアプリ導入で始められるため、こちらをどうぞ。
税込み8730円です
税込みで17,599円です。
FreeStyleリブレ(従来型)



機能としてはリブレ2と同じ部分も多いため、お試しで利用してみたい、なるべく費用をおさえたい方はこちらをおすすめします。
スマートフォンを持っている人でも、持っていない人でも使用することができます。
スマートフォンをお持ちではない方
スターターキット価格(リブレセンサー1つ、リーダー)で12800円です。オリジナルポーチ付きです。
スマートフォンなどをお持ちの方
スマートフォンがある方は、センサーとアプリ導入で始められるため、こちらをどうぞ。
税込み6980円です。
14,058円(税込み)です。
税込み18590円です。
1個当たりが割安になっています。
血糖測定器は個人で購入しても問題ない?安全?
しっかり購入時に説明を受ければ、高齢者でも問題なく使用することができます。



血糖測定器は高齢者でも理解しやすく、穿刺器具も安全性に配慮されて作られています。
廃棄するときだけ注意を
すでに医療機関にかかっている場合は、廃棄ボックスが用意されていることが多いので、そちらの針用のBoxに捨てるようにしてください。
【参考資料】
- はじめて高度管理医療機器等を販売又は貸与しようとする方へ|兵庫県
FreeStyleリブレ2が保険適応になる条件とは?
さらに2024年7月より、インスリンを未使用の場合であっても、選定療養(保険外併用療養費:リブレ2 1個あたり約7000円程度)を支払うことで医師から処方してもらい、アドバイスを受けることが可能になりました。
FreeStyleリブレ2を使用して、血糖値スパイクを予防しよう!糖尿病になる前に


FreeStyleリブレ2を活用することで、血糖スパイクに気が付き、日常生活の食生活の改善に活かせます。
糖尿病を未然に防ぐためのよい手段となることは間違いありません。
血糖スパイクって何?
血糖値スパイクとは、普段の血糖値は正常なのにもかかわらず、食後に限って血糖値が急上昇、急降下する現象のことです。
この現象は、血糖値のグラフがまるで突出した「とげ」、スパイクのように上昇することから血糖値スパイクと呼ばれています。
血糖値スパイクはなぜ起きる?
老化や肥満などの影響でインスリンを分泌する膵臓の機能が衰えると、適切な量のインスリンを分泌できなかったり、インスリンを分泌するタイミングが遅れたりします。
さらに急上昇した血糖値をおさえるために、後からインスリンが大量に出てしまうと、今度は血糖値の急降下を招きます。
そうなると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクが高くなると考えられています。
血糖値の乱高下が血管にダメージを与える
血糖値の乱高下がなぜ血管にダメージを与えてしまうのでしょうか?
その傷を修復する働きで血管の内側の壁が厚く硬くなり、血栓で血管が詰まりやすくなります。
詰まる位置が心臓に栄養を供給する血管なら心筋梗塞に、脳の血管なら脳梗塞を発症することになってしまいます。
インスリンの過剰分泌は、がんや認知症の誘発にも関係してきます。
血糖値スパイクに気づくには?
血糖値スパイクは、食後1~2時間の血糖値を調べないと分かりません。
一方、一般的な健診では空腹時の血糖値を調べます。そのため、血糖値の急上昇は捉えにくいといえます。
血糖値を知るもう一つの手段に、健診の血液検査で分かるHbA1cという数値があります。
これは過去1~2カ月間の血糖値の平均を示したもので、直前の食事で値が変わることがなく、血糖値スパイクを把握することはできません。
つまり血糖値スパイクに気が付くためには、FreeStyleリブレ2のようなCGMやSMBGで食後1~2時間の血糖値を調べるほかないのです。
どんな人が血糖値スパイクをおこしやすい?
たとえ痩せていても、値が高い人は油断はできません。
血糖値スパイクが起こりやすいタイプは、糖尿病の家族歴がある人、早食い、炭水化物中心の食事、運動不足、満腹になるまで食べる人などです。
また、食後に急激に眠くなる、イライラする、空腹時に猛烈に高カロリーのものが食べたくなる、などといった自覚症状がある場合は医療機関に相談してみるとよいでしょう。
血糖値スパイクを防ぐ方法は?
血糖値スパイクを避ける上で大事になるのが「食事」と「運動」です。
食事に関しては以下の点に気をつけることをおすすめします。
1.野菜や海藻をはじめに食べる
野菜や海藻などを食事の最初に食べることで、小腸に栄養吸収のクッションとなる膜のような状態をつくり、ブドウ糖の吸収を緩やかにしてくれます。
2.食事を抜かない
長い空腹は食後の血糖値の上昇の原因になります。例えば朝食を抜くと昼食後に血糖値スパイクが起こりやすくなります。1日3食きちんと規則正しくというのが基本です。
3.よくかんでゆっくり食べる
よくかんでゆっくり食べると血糖値の急上昇が抑えられ、血糖値スパイクの予防になります。目安は一口30回。30回かんでいる途中で飲み込んでしまうのは、一口の量が多い状態です。
4.食後に軽い運動をする
血糖値の上昇は筋肉でブドウ糖を消費することで抑えられます。全身の筋肉のほぼ70%は脚の筋肉なので、短時間で効果的に血糖値を下げたいなら、食後の適切なタイミングでの階段の上り下りなどがお勧めです。
まとめ


近年、FreeStyleリブレのような血糖値の変動を24時間把握できる血糖測定器が注目されています。
勤務先の病院でも、FreeStyleリブレ2からわかる情報量の多さや、痛みや測定回数の減少による患者負担の低下などを理由に活用する人が増えてきています。
医療の現場のみならず、健康意識の高い人の間でも注目が集まっているため、今回記事としてまとめました。



私自身もお試しでFreeStyleリブレを14日間使用したことがあります。



加糖飲料が予想以上に血糖値を上昇させることがわかり、日々の生活ではほとんど加糖飲料を飲まなくなりました。



職場で誰も加糖飲料を飲んでない理由がわかった…。
参考になれば幸いです。
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