先日ノベルジン錠のジェネリック医薬品である 酢酸亜鉛錠「サワイ」が発売されたので、値段や効果などに関してまとめてみました。
プロマック(ポラプレジンク)も頻繁に亜鉛治療薬として使用されるので、ノベルジン錠との違いを改めてまとめました。
亜鉛不足は何が問題?
医療機関で低亜鉛血症を疑い、治療を行うきっかけになるのは、大体「貧血」「皮膚炎・脱毛」「味覚異常」です。
特に「味覚異常」で発見されることは多いです。
そのため、内科、皮膚科、消化器内科、耳鼻科で多くの場合は発見されます。

通常の血液検査項目には入っていないことが多いです。
その他、「発育障害」「性機能不全」「食欲低下」「下痢」「骨粗しょう症」「キズの治りが遅い」「感染しやすい(易感染性)」が起きる可能性があると言われています。
亜鉛の数値はどのくらいが目安?
血清亜鉛値の適正とされる基準値(正常範囲の目安)は80~130µg/dLとされており、60μg/dLを下回ると亜鉛欠乏症であると言われています。
治療にどのくらいの期間がかかるか
味覚異常の場合の亜鉛欠乏症の場合の治療期間は約22.7週であると言われています。
より詳しい情報を知りたい方はこちら→味覚障害と低亜鉛血症
※薬の用量や、その他の治療の場合は、期間が異なる可能性があります。
ノベルジン錠とは?
ノベルジン錠の適応
食事等による亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に使用することとなっています。
- ウィルソン病(肝レンズ核変性症)
- 低亜鉛血症
2023.8現在、低亜鉛血症で適応が通っているのは、ノベルジン錠とそのジェネリック医薬品である酢酸亜鉛錠「サワイ」のみとなっています。
添付文書はこちら→ノベルジン錠添付文書
ノベルジン錠の成分名と用法・用量
成分名は酢酸亜鉛水和物です。
錠剤と顆粒の剤型があります。
対象 | 最大投与量 |
成人及び体重30kg以上の小児 | 150mg(1回50mgを1日3回) |
体重10kg以上30kg未満の小児 | 75mg(1回25mgを1日3回) |
体重10kg未満の小児 | 25mg(1回12.5mgを1日2回、又は1回25mgを1日1回) |
酢酸亜鉛錠「サワイ」とは?
ノベルジン錠のジェネリックの為、適応や用法用量は同じ仕様になっています。
※2023.8に発売になり、現時点では、沢井製薬のみの単独参入になっています。
詳しい情報はこちら→【新製品】酢酸亜鉛錠、8月に発売‐安定供給体制を整備 沢井製薬
酢酸亜鉛錠「サワイ」の適応
食事等による亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に使用することとなっています。
- ウィルソン病(肝レンズ核変性症)
- 低亜鉛血症
酢酸亜鉛錠「サワイ」の成分名・用法・用量
成分名は酢酸亜鉛水和物です。
対象 | 最大投与量 |
成人及び体重30kg以上の小児 | 150mg(1回50mgを1日3回) |
体重10kg以上30kg未満の小児 | 75mg(1回25mgを1日3回) |
体重10kg未満の小児 | 25mg(1回12.5mgを1日2回、又は1回25mgを1日1回) |
プロマック(ポラプレジング)とは?
亜鉛不足によく出る薬ですが、実は適応外使用であることに注意が必要です。
剤型は顆粒とOD錠(プロマックD錠)があります。
プロマック(ポラプレジング)の適応
適応は胃潰瘍のみです。

胃薬のみとしてはあまり使用されなくなりつつあります。
プロマック(ポラプレジング)は亜鉛とL-カルノシンの錯体であり、胃粘膜損傷部位に親和性が高く、抗酸化作用、膜安定化作用による直接的な細胞保護作用を示す他、創傷治癒促進作用も示す
プロマック添付文書
亜鉛を含有しますが、亜鉛不足に対しての試験等は行っていません。
プロマック(ポラプレジング)の成分名・用法・用量
成分名はポラプレジンクです。亜鉛含有胃潰瘍治療剤に分類されます。
プロマックD75㎎ | 1回75mgを1日2回朝食後及び就寝前 |
プロマック顆粒 | 1回75mgを1日2回朝食後及び就寝前 |
ノベルジン錠、酢酸亜鉛錠「サワイ」、プロマックの違い
適応の違い
ノベルジン錠と酢酸亜鉛錠「サワイ」のみが低亜鉛血症に適応があります。
プロマック(ポラプレジング)の適応は胃潰瘍のみです。
値段の違い
1錠あたりの値段の違い
ノベルジン錠 | 酢酸亜鉛錠「サワイ」 | プロマック | ポラプレジングOD75㎎「サワイ」 |
---|---|---|---|
25㎎が230.4円/錠 | 10mgが24.70円/錠 | プロマックD75㎎ 19.9円/錠 | 9.7円/錠 |
50㎎が361円/錠 | 20mgが37.00円/錠 | プロマック顆粒 15% 38.5円/g | |
顆粒5%が460.8円/g | 40mgが55.50円/錠 |
※成分量を揃えた場合、ノベルジンの顆粒は25㎎とだいたい同等、プロマックの顆粒もプロマックD75㎎とだいたい同等の値段になります。
※ポラプレジング顆粒も存在しますが、メーカーが異なる為、今回は沢井製薬さんのポラプレジングODのみ掲載しました。

ノベルジン錠は50㎎にすると25mgを2錠よりもかなり安くなりますね。

ジェネリックの酢酸亜鉛錠「サワイ」が安すぎてびっくりです。1/10くらいになりましたね、値段。
通常用量で合わせた場合の1日当たりの値段の違い
薬品名 | 用法 | 薬価/日 |
ノベルジン錠 | 50㎎1日3回(150㎎) | 1083円/日 |
酢酸亜鉛錠「サワイ」 | 50㎎1日3回(150㎎) | 111円/日 |
プロマック | 75㎎1日2回(150㎎) | 39.8円 |
ポラプレジング | 75㎎1日2回(150㎎) | 29.1円 |

1割負担や3割負担で考えると、酢酸亜鉛錠「サワイ」とプロマックやポラプレジングの価格の違いは気にならない程度ですね。
含まれる亜鉛の量の違い
薬品名 | 1日あたりの亜鉛含有量 |
ノベルジン錠及び酢酸亜鉛錠「サワイ」 | 1日量である150㎎あたり亜鉛が150㎎ |
プロマック(ポラプレジング) | 1日量である 150mgに、亜鉛が34mg |

亜鉛の含有量がだいぶ違いますね…。
ノベルジン(酢酸亜鉛錠「サワイ」)とプロマック(ポラプレジング)の副作用の違い
ノベルジン(酢酸亜鉛錠「サワイ」)の方が亜鉛含有量は多い為、血中の亜鉛濃度も高くなる傾向にあります。また、亜鉛と銅は小腸での吸収過程において競合するため、銅欠乏症のリスクも高くなります。
また、胃部不快感や悪心・腹痛などの胃腸障害が起きやすいと報告されています。
この消化器症状を軽減するために、低亜鉛血症治療としての用法は食後投与となっているため、注意が必要です。
亜鉛の含有量が多いためか、一部の抗生剤(ニューキノロン系、テトラサイクリン系)との併用注意も出ています。キレート形成を起こすようなので、服用時間をずらす必要があります。
まとめ
今までノベルジン錠の薬価が高すぎて続けられない患者さんや、会計時にびっくりされる患者さんがいました。
場合によってはポラプレジングに処方変更されるケースもありました。
ジェネリックが発売になったことにより、値段のことを気にせずに亜鉛の治療を行えるようになったのは大きいと思います。
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