【薬剤師が解説!】知ってた?神経性疼痛治療薬タリ―ジェ(ミロガバリン)はいつの間にか分割調剤できるようになっていた。

薬の知恵袋

  

先日、「副作用で薬を中止してもいいか」という患者さんからの相談があり、色々調べた際にわかったのですが、2019年度発売当初には分割調剤が不可だったタリ―ジェ(ミロガバリン)が気が付いたら分割調剤可能になっていたので今回改めて特徴をまとめてみました。

タリ―ジェ(ミロガバリン)はどういう薬か

タリ―ジェ(ミロガバリン)は2019年4月に発売になった神経性疼痛治療薬です。

簡単に薬理作用を説明すると、過剰に興奮した興奮性神経系において、電位依存性カルシウムチャネルに作用し、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の放出が抑制することにより、神経障害性疼痛や線維筋痛症による痛みがやわらげる作用のある薬です。

副作用としては眠気、ふらつきが多く、次に浮腫や体重増加などが多い薬です。

類似薬のリリカ(プレカバリン)との大まかな違い

2017年6月に発売になったリリカ(プレカバリン)と効果も副作用も非常によく似ている薬ですが、リリカで効果不十分だった患者さんや、眠気やめまいなどの副作用を感じた患者さんに処方されるケースが多い薬です。

どちらも徐々に増やす薬で、腎機能に応じて用量を調節する必要があります。

出典:薬局業務NOTE

この比較表からも、多少副作用がリリカよりタリ―ジェの方が少ないようです。

かばこ
かばこ

実際の処方でも医師から副作用がリリカより少ない薬との説明を受けて処方されているケースや高齢者には初めからタリ―ジェが処方されているケースが最近は増えています。

2019年の発売当初は分割調剤不可だったが、2021年に改良されていた。

発売当初にタリ―ジェが分割調剤不可であるという記事が日経DIで掲載されていました。

かばこ
かばこ

割線があるのに分割調剤不可だったので、非常に紛らわしいなと当時思ったので覚えていました。

2019年度に日経DIに掲載された記事はこちら↓

出典:日経DI online 2019

そのため、ずっとタリ―ジェは分割調剤できないと思っていましたが、今回メーカーに改めて確認したところ、その後改良をすすめて昨年度(2021年)に分割調剤が可能になったことを聞きました。

2021年度のインタビューフォームの過酷試験結果はこちら↓

出典:タリ―ジェ インタビューフォーム

2019年度当初は40℃湿度75%で3日で規格外だったものが現在は4週程度まで問題なく、通常の条件下の25℃湿度60%程度であれば6か月程度は変化なしになっています。このデータであれば一包化や分割調剤してもいいと考えていいと思います。

眠気やふらつき等に関してもメーカーに改めて聞いてみた

今回患者さんから眠気の訴えがあったため、どのくらいで眠気が引いてくるのか、効果がどのくらいで出てくるのかなどに関してデータがあるのかどうかメーカーに聞いてみました。

患者さん
患者さん

どうもタリ―ジェ(2.5㎎×2から5㎎×2に変更)を増量してから、眠気が酷くて寝てばかりで家族が心配しています。飲み始めて4日目です。やめてもいいのでしょうか。効果も今一つ感じません。生活は仕事をしていないので大きく影響は出ていません。

かばこ
かばこ

どのくらいで効果がでるのか、眠気はどのくらいで引いてくるのか一度確認してみますね。

疼痛効果は出るのは個人差があるが、大体1週間から

タリ―ジェは投薬を行っていても、数日で効果が出た人やなかなか効果が出ない人もいて、個人差が大きいなと感じる薬です。

また、臨床試験の時にもわかっていたことですが、30㎎/日で通常効果を感じる薬なので、効果が出るのに用量が少ない可能性もあります。30㎎まで行かなくても用量依存的に効果が出ることが分かっています。

臨床試験時のデータですが、1週間程度でプラセボより疼痛効果に関して優位性が認められています。

出典:ミロガバリンメシル酸 臨床試験データ
かばこ
かばこ

あくまで臨床試験のデータなので、メーカーも言っていましたが実際は結構個人差があるようですが…

副作用の眠気やめまいに関してはもっと個人差がある

副作用に関しても効果同様に用量依存的に増えてくることが分かっています。ただ、徐々に増やすことである程度は軽減できるようです。

めまいの副作用は大体2週間程度で発現し、50日前後で消失することが多く、軽度なものが多い為、この副作用が原因で中止に至った例は少ないようです。

出典:ミロガバリンメシル酸 臨床試験データ

眠気の副作用に関しては、めまいよりも個人差が大きく、大体2週前後で発現し、78日程度続くことが多いようです。軽度なものが多い為、この副作用が原因で中止に至った例は少ないようです。

かばこ
かばこ

眠気に関しては全く感じない人や次に日から強い眠気が出る人などかなり個人差が大きいなと投薬をしていて感じます。

出典:ミロガバリンメシル酸 臨床試験データ

副作用は生活に支障があるかどうかを考える

全く副作用がなければそれに越したことはないのですが、なかなかそういったわけにもいかない薬が、沢山あります。その場合は”その副作用によって生活に支障が出ているかどうか”が減量や中止の相談をするかどうかの指標になります。

今回の場合であればふらつきにより転倒する危険性があるかどうか、眠気により車の運転に支障があって仕事上困るなど、生活に支障が出ている場合は、一度先生に相談した方がいいでしょう。

いずれ消失する可能性の高い副作用の場合は、様子を見てもいいと思います。

副作用で困っていた患者さんにはこう伝えた

  • タリ―ジェを増量して4日目である
  • 痛みに対する効果はまだ出ていない
  • 眠気以外の副作用は出ていない
  • 専業主婦で、眠気で生活に大きな支障は出ていない

上記の点と、効果が出るまで約1週間程度かかること、眠気は個人差があり時間と共に気にならなくなる可能性が高い事などを考慮して、「1週間程度服用を継続して、それでもどうしても眠気がつらいようであれば主治医に相談するように」と提案しました。

それと同時に患者さんに許可をとってトレーシングリポートで相談内容を報告し、医師にすぐに話が通るようにしておきました。

  

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