糖尿病に漢方が効果があるって本当?効くまでの期間や飲むべきタイミングとは?

漢方は糖尿病に効果があるのでしょうか。

漢方が効果があるのであれば、試してみたいと思いませんか?

この記事では、信頼できる情報を参考にしながら、漢方の糖尿病に対する効果を基礎的な知識からわかりやすく解説したいと思います!

この記事でわかること
  • 東洋医学における糖尿病のとらえ方
  • 糖尿病の症状に有効な漢方
  • 糖尿病とは相性の悪い漢方
目次

糖尿病とは?西洋医学でのとらえ方

糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?

簡単にまとめましたので、参考にご覧ください。

糖尿病の種類

糖尿病はインスリンの作用不足によって起きる、慢性的な高血糖状態を起こす代謝疾患です。

成因によって1型糖尿病と2型糖尿病の大きく2つに分けられます。

1型糖尿病とは?

膵臓でインスリンを作る細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、血糖値が高くなります。原因として以下の2つが考えられています。急激に進行するものもあれば、ゆっくりと進行するものもあります。

  • 自己免疫性(免疫系が自分のからだの成分を攻撃する)
  • 特発性(原因不明)

2型糖尿病とは?

インスリンの分泌が低下したり、効きにくくなることで血糖値が高くなります。

遺伝的な影響や、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの環境的な影響があるといわれており、糖尿病全体の割合の中で90-95%が2型糖尿病です。

糖尿病の症状とは?

高血糖によって起きる代表的な症状としては、口喝、多飲、多尿です。

合併症として有名なのが、以下の3つです。

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病神経障害
  • 糖尿病腎症

糖尿病とは?東洋医学でのとらえ方

東洋医学では「証」という、症状と体質から診断を行い、漢方を選びます。

西洋医学の病名とは違うものであることに注意しましょう。

同じ「病名」であっても体質により使用する漢方が異なることはよくあることです。逆に「病名」が異なっていても、同じ「証」であれば、同じ漢方が使われることもあります。

漢方では喉の渇きが激しい状態を「消渇(しょうかつ)」と言い、これは、多飲・多食・多尿の症状を特徴とする病状のことです。

「消」とは痩せるという意味で、糖尿病の方がたくさん食べるのに痩せてくるという特徴を表現しており、「渇」とは口渇の意味で糖尿病の方が水分をとっても喉が渇くという特徴を表現しています。

体質と自覚症状に応じて漢方を選びましょう

代表的な体質と自覚症状に用いられる漢方を紹介します。

2500円までの手ごろな価格とサイズの漢方を合わせて掲載しました。

選ぶのが難しいと感じる場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談を検討してみましょう。

口喝、多飲、多尿

口喝、多飲、多尿の状態のことを、東洋医学では、水毒(水が偏在して悪さをしている状態)といい、主に代謝の改善、血流の改善を行う漢方が使用されます。

白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)

比較的体力のある方で、強い口喝、多飲、体力消耗がある方に使用されます。

五苓散(ゴレイサン)

そこそこ体力のある方で、めまい、頭痛、浮腫、下痢のある方に使用されます。

清心蓮子飲(セイシンレンシイン)

体力があまりない方で、胃が弱く、排尿障害、頻尿、体力低下のある方に使用されます。

口喝(ドライマウス)に関しての記事はこちら↓

肥満に対する漢方

肥満には便秘傾向の固太りと、水太りがあります。

東洋医学ではそれぞれのタイプに応じて別の漢方が使用されます。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

体力があり固太りの肥満、便秘傾向、皮膚は白い方に使用されます。

防風通聖散のダイエット効果に関して詳しく説明した記事はこちら↓

五苓散(ゴレイサン)

ほどほどの体力があり、口渇、尿量減少、頭痛、めまい、下肢に浮腫がある方に使用されます。

五苓散に関して詳しく書いた記事はこちら↓

防己黄耆湯(ボウイオウギトウ)

体力があまりなく色白、水太り、発汗傾向、下肢に浮腫がある方に使用されます。

防己黄耆湯に関して詳しく書いた記事はこちら↓

糖尿病神経症に対する漢方

糖尿病神経症に対する漢方を2種類紹介したいと思います。

牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)

神経障害のしびれに対して特に有効です。

体色がない方で、中高年で、腰や下肢の脱力感、冷え・しびれがあって夜間頻尿を訴える方に最も効果があります。

血圧安定化(降圧)作用を示したり、勃起障害自律神経障害、末梢循環障害有効なケースもあります。

西洋医学的にも効果が立証されている

メコバラミンとの比較試験においても有意に高い改善効果を示し、中でも血糖コントロールが良好で肥満でない高齢者に有効例が多いことがわかっています。

薬理学的にはアルドース還元酵素阻害作用、末梢血管拡張作用、鎮痛作用があり、また動物実験的に、かつ臨床的にもインスリン抵抗性改善作用があることが報告されています。

桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)

体力があまりない方で、冷えや手足のしびれ・痛みを訴える、胃腸虚弱の方に最も効果があると言われています。

西洋医学的にも効果が立証されている

桂枝加朮附湯とその構成生薬の桂皮にはインスリン抵抗性改善作用があり、そのメカニズムにインスリンシグナル伝達経路とNOが関与していることが、動物実験で明らかになっています。

糖尿病腎症に用いる漢方

腎臓病に効果のある漢方はいくつか報告されているのですが、その中でも西洋医学的にも効果が報告されているものを紹介します。

八味地黄丸(ハチミジオウガン)

四肢の冷えが強く、疲れやすさ、下半身のだるさがあり、尿のトラブルがある方に最も効果があるといれています。

腎臓に対してだけでなく、排尿困難、頻尿、残尿感、浮腫み、目や耳の機能低下などの老化現象に効果があります。

西洋医学的にも効果が立証されている

糖尿病性腎症の進行抑制効果が報告されています。

柴苓湯(サイレイトウ)

血の巡りを改善する作用があります。糖尿病性腎症の初期に使用されることがあります。

西洋医学的にも効果が立証されている

慢性腎症やネフローゼ症候群などの有効性が確認されています。

糖尿病性網膜症に用いる漢方

血の滞りを改善することで、糖尿病性網膜症に効果があるとされており、瘀血(おけつ)効果のある漢方が使用されています。

腎臓に対する効果も少しあり、罹患歴が浅い患者さんには多少の効果があったことが報告されています。

八味地黄丸(ハチミジオウガン)

糖尿病性網膜症だけでなく、腎臓病でも効果があるとされていた漢方です。

おまけ)こむら返り(足のつり)にも漢方は有効!

糖尿病の方は神経障害を起こしやすく、こむら返りを発症する頻度も、糖尿病のないひとよりも多いです。

こむら返りに対しては芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)が即効性で、とても有効なので、試してみてください!

もっと詳しく知りたい方はこちら↓

漢方はいつ飲むの?いつまで飲めば効果が出る?

漢方はいつ飲まばいいのか、いつまで飲めば効果が出るのかわからずに不安に思ったことはないでしょうか?

漢方はいつ飲むの?

漢方は食後でも、食前でもいつ飲んでも問題ありません。

漢方は胃の中が空になっているほうが薬効成分をよく吸収すると考えられているため、食間、食前の服用指示になっていることが一般的です。

しかしながら、漢方を食後に服用すると少し吸収が遅くなる可能性はありますが、効果不十分という根拠は確認されていません。

漢方はいつまで飲めば効果が出る?

漢方は体質改善を行うため、一般的に効果がでるのに2週間から1カ月程度かかる薬です。

しびれなどの自覚症状に対しては、投与開始から2~4週間で効果を感じなければ、一度専門家に相談しましょう。

自覚症状に現れない腎症などに用いる場合は数カ月後の尿検査所見で判定することが多いようです。

漢方のみでは糖尿病の改善が難しいケースも

糖尿病の治療といえば、飲み薬、インスリンなどの注射薬、低血糖の心配だけでなく、食事や運動も気をつけないといけない…。

漢方のみで糖尿病が治ったらいいのに!と思う方もいるかもしれません。

しかし、結論からいうと、漢方のみでは進行した糖尿病の治療は難しいでしょう。

血糖値を直接下げる漢方はない

漢方は体質改善を促す薬です。

高くなった血糖値を一時的に下げるのではなく、「糖尿病になりやすい体質」そのものを改善することを目指します。

あまりにも血糖値が高い場合、すでに合併症がかなり進行している場合は、西洋医療の力を借りずに糖尿病を改善することが難しい場合もあります。

また、糖尿病は治る病気というよりは、悪化しないように血糖をコントロールし続けていかなければならない慢性疾患です。

薬だけでなく、運動や食事などの生活習慣を見直すことはとても重要です。

高齢化によって、徐々に漢方だけでは血糖や合併症を抑えきれなくなることもあります。

漢方によって、西洋医学や運動、食事療法の効果を上げることは期待できますが、漢方のみでの糖尿病のコントロールは難しいと考えた方がよいでしょう。

糖尿病とは相性の悪い漢方もあります

禁忌(用いてはならない)というほどのものではないですが、「麻黄(マオウ)」という生薬が入っている漢方は注意した方がよいでしょう。

「麻黄」は交感神経刺激成分のエフェドリンを主成分としており、血糖上昇作用や、血圧上昇作用があると言われています。

「麻黄」が含まれている漢方には、「麻黄湯(マオウトウ)」「葛根湯(カッコントウ)」「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」などが代表的です。

どれも風邪薬や花粉症によく使用される漢方です。

服用中に高血糖が続く、血圧が上がった気がする、などの異変を感じる場合は、いちど中止を検討した方がよいでしょう。

参考資料

この記事を書くために参考にした書籍を紹介します。

おすすめ度は5段階評価で★~★★★★★までで表現しています。

Dr・浅岡の本当にわかる漢方薬

おすすめ度 ★★★★★

いろいろな漢方の本を読みましたが、これが一番わかりやすく書いてありました。

生薬の効果・効能まで分解して漢方の作用をわかりやすく説明しています。

糖尿病治療ガイド

おすすめ度 ★★★

糖尿病の基本的なことを学ぶことができます。

専門医以外の医師やコメディカル向けの書籍です。

まとめ

今回は、糖尿病の基礎知識から、糖尿病で効果があると言われている漢方を紹介しました。

漢方は副作用が少ないため取り入れやすく、糖尿病の薬との併用は問題ありません。

単剤では効果を感じなくても、西洋医療と併用することで、体質の改善などのサポートする効果も期待できます。

気になった方は漢方をぜひ試してみてください!

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