【病院薬剤師の本音!】返信がこない!トレーシングレポートは読まれていないの?病院でどのように扱われているかを伝えます!

つい半年前まで薬局勤務だったので、私自身もトレーシングレポートを病院に送っている側だったのですが、転職して今度はトレーシングレポートを受け取る側になりました。

そこで、受け取った病院側はどのように感じ、どのように対応しているのかを、今回はお伝えしてみたいと思います。

この記事がおすすめな人
  • トレーシングレポートを送ったその後が気になっている人
  • トレーシングレポートの返信が来なくてもやもやしている人
目次

トレーシングレポートは直接医師に届くのか?

前職で聞いた話と、現職に関してお伝えしたいと思います。

トレーシングレポートはほとんどの場合は薬剤部でチェックされている

病院の規模、病院の考えにもよるかと思うのですが、薬剤部のあるような病院では、ほとんどの場合は薬剤部が内容をチェックして、医師に伝えるべき情報かどうかを判断しています。

かばこ

前職の門前病院では、トレーシングレポートのフォーマットが決まっていました。
病院側は、そのままカルテにスキャンして取り込んでいるとのことでした。

ハム吉

現職の病院と近隣の総合病院は、薬剤部でチェックしてから、必要であれば医師に伝えているとのこと。

かばこ

小さなクリニックの場合は、そのまま医師にトレーシングレポートを渡すようです。

なぜ薬剤部がトレーシングレポートをチェックしているのか

トレーシングレポートをそのまま医師に報告すると、医師の時間を奪ってしまったり、場合によっては医師を不機嫌にさせてしまうことがあるためです。

理由をお答えしようと思います。

  • 病院独自のやり方があり、正論だが、報告されても叶えられないことがある。
  • トレーシングレポートの内容が既知の情報である。
  • 薬局の報告が古すぎるデータに基づいている
  • 書き方が直球すぎて、医師を不快にさせてしまう。
かばこ

薬剤部がトレーシングレポートを事前にチェックすれば、上記のことは大体把握していています。
適切なタイミングやメッセージで補足し、必要な情報のみを医師に伝えることが可能です。

にゃーこ

医師もいろいろな性格の人がいます。
伝え方を間違えると大変なことになるケースもあります。
性格を把握している薬剤部があいだに入ったほうが双方にとって安心です。

トレーシングレポートのどのような情報が有難いと思われるか

時間を割いて記載するトレーシングレポート、実際の現場でも役立ってほしいですよね。

具体的にどのようなレポートだと重宝されるのか見ていきましょう!

その病院が把握していない情報は有難い

実際に医師に報告した情報です。

  1. 当院で、患者さんがお薬手帳を提出しておらず、薬が重複しているという情報
  2. 実はある理由があって、患者さんの服薬コンプライアンスが非常に悪いという情報
  3. 先生には緊張するから報告していないが、実は…などの情報

上記のような情報は医師の診断にも影響するので、積極的に報告しています。

1の「当院で、患者さんがお薬手帳を提出しておらず、薬が重複しているという情報」は疑義紹介すればよいのではないかと思われるかもしれません。

しかし、処方箋を受けた薬局ではなく、たまたまお薬手帳を見ていて気が付いたため、疑義紹介が難しいケースもあります。

そういったときには、自分の薬局で出している薬ではないからと思わずに、一歩踏み込んでトレーシングレポートで報告していただけると患者さんにとっても、病院にとっても有益です。

薬局薬剤師だった時に感謝された情報

A病院から出ている薬によって、患者さんの検査値が、異常に悪化していることがありました。

投薬時に、他院の検査結果をたまたま見て、そのことに気が付きました。

A病院に報告したところ、非常に感謝されて、即時中止になったことがありました。

かばこ

小さなクリニックだと、頻繁な血液検査をおこなわないため、上記のようなことが起きるのかもしれません。

実際に医師に伝えたトレーシングレポート例

ファモチジン、ネシーナ、メトホルミンの腎機能に対する用量に関してのトレーシングレポートが先日届きました。

薬剤師からの指摘は、『ネシーナメトホルミンは腎機能に対して用量が多め、ファモチジンに関しては、患者本人が胃の不調の訴えがなく、腎機能の低下もあるので、不要では?』とのことでした。

かばこ

結果として、ファモチジンは不要であるということで削除。ネシーナメトホルミンは減量になりました。

いつごろトレーシングレポートの内容を医師が読むのか

緊急性の高いものは、すぐに医師に伝えることもありますが、薬剤部が確認してから、電子カルテに載せるというパターンが一番多いです。

かばこ

そうすると、医師がトレーシングレポートを目にするのは、数ケ月後になる事も…

毎月受診している方でも1か月後、2ヶ月、3カ月後に受診している方だと、医師がトレーシングレポートを目にするのは遅くなります。

ハム吉

ちゃんと届いてはいるので、もしかしたら役に立っているかも、という気持ちで書いていただけると助かります(汗)

伝えられなかったトレーシングレポート例

先ほどの「薬剤部がトレーシングレポートをチェックする理由」にも、重複するところではあるのですが、例として下記にあげてみました。

  • 古すぎる情報を基に、トレーシングレポートが記載されている
  • 「胃薬が不要だから中止して欲しい」との報告であるが、過去に消化性潰瘍があり、中止できない
  • 「患者さんが薬が原因の胃もたれを訴えており、その薬を中止して欲しい」と報告であったが、病気の関係で中止できない
  • 腎機能が低下しているから、この薬の用量は多すぎる(先生により報告するかどうかが分かれる)

大きな病院や血液検査を頻繁におこなう病院では、1~3カ月以内の検査データは把握しています。

かばこ

そのため、それ以前のデータだとあまり参考になりません。

腎機能に対する薬の用量に関しても、治療との関係上、添付文書通りには難しいケース、医師が薬の副作用をよく把握しており、少し用量を超えていても問題ないと考えているケースがあります。

腎機能の考え方には、注意が必要

血液検査で記載されている推定eGFRより、CCrの方が正確であるという考えがあったのか、しつこく「CCrでは…」という記載で、Dose Overを指摘するトレーシングレポートがきていたことがありました。

かばこ

1回くらいならいいのですが、こちらが読んでいないと思っているのか、しつこく送られてきました。

CCrも、腎機能を過小評価してしまうことがあるので、注意が必要だと考えられます。

確かに推定eGFRは「薬の用量の腎機能の評価に用いてはならない」という記載を私もみたことがあります。

ただ、CCrも体重を考慮するが故の欠点もあるので、どっちもどっちかなというイメージです。

また、腎機能は、脱水やSGLT2阻害剤の影響、血糖値の改善などで、一時的に悪化することもあります。

腎機能に関しての詳しく勉強したい方は、平田純生先生のブログや書籍(沢山執筆されてます)がお勧めです↓

トレーシングレポートはどんどん送ってもいいのか?

私自身の考えでは、どんどん送って良いと思います。

かばこ

私も薬局薬剤師だったときは、たくさん送っていました!

薬剤科長としても、トレーシングレポートが来ること自体は、とても勉強熱心だと感じるし、今はそういった業務も求められている時代だから、良いと思う」と言っていました。

トレーシングレポートも、はじめからよいレポートを書けるわけではないです。

たくさん書いて、精度をあげていってもいいのかなと感じます。

薬剤部が受け止めてくれると思って、どんどん送っていいと思います。

受け取った側にとっても勉強になります

トレーシングレポートに対して返信はしている?

病院にもよりますし、内容にもよるかとは思いますが、返信していないことが多いのではないかと思います。

かばこ

少なくとも私の職場では、よほどのことがない限り返信はしていませんでした。

返信がないからと言って、読んでいないわけでもないし、考えていないわけでもないのですが、外来、病棟業務、学会発表など、ほかにもこなさなければならない業務が多すぎてゆとりがありません。

にゃーこ

かなりしっかり読んで、なるべく意図を汲んで反映しようと頑張っています。

おわりに

疑義紹介をするほどではないけれど、この情報って患者さんにとっても、医師にとっても有益なのでは?と感じることはないでしょうか?

そんな情報をみつけたら、どんどんトレーシングレポートを送ってほしいと思います。

業務の合間で時間がなくて大変かとは思いますが、よろしくお願いします。

トレーシングレポートの記載例などに関しての記事はこちら↓

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