糖尿病であると言われてから、普段の血糖値が気になっていたりしませんか?
血糖測定器、いろいろ種類があるけれど、何を選んだらいいのか悩んでいませんか?
あまりにも種類があるので、私自身が扱っている血糖測定器を中心に、特徴、違い、おすすめ対象に関してまとめてみました。

糖尿病専門病院に勤めている薬剤師です。毎日死ぬほど血糖測定器扱ってます。
血糖測定器の種類

患者さんが自宅などにおいて、自分自身で操作する血糖測定器(自己血糖測定器、簡易血糖測定器)は大きく2種類に大別されます。
SMBG(Self-Monitoring Blood Glucose)機器とCGM(Continuous Glucose Monitoring)機器の2種類です。
SMBG(Self-Monitoring Blood Glucose)
専用の穿刺器具で指先に傷をつけて血液を採取し、そのつど血糖値を測定する自己血糖測定器です。
一番一般的によく知られている自己血糖測定器の種類だと思います。
医療機関で医師から指示を受け、血糖測定の機械はレンタルし、穿刺器具とチップと針のみ医療機関から配布されている方も多いでしょう。
とても歴史も古く、1950年代から開発がすすめられ、現在は測定時間の短縮、測定に必要とされる血液量の少量化、カラー画面表示など様々な進化を遂げています。
現在は10社のメーカーから様々な種類のSMBGが発売されています。
SMBGのメリット
- ご自宅や外出先など、いつでも“今”の血糖値を知ることができます
- 持ち運びも簡単なサイズのため、ご自宅だけでなくお仕事場でも、お出かけの際にも手軽に測定が可能です
- CGMに比べて価格が安いです
- 直接血糖値を測定するので、CGMよりも正確です
SMBGのデメリット
- 血糖を測定するたびに指に針を刺さなくてはならず、痛みを伴います
- 血糖値の変動が測定時間でしかわからないため、夜間や明け方、仕事中など、測定困難な時間帯の血糖変動の状況がわかりません
- 指先が汚れていたり、果汁がついていたりすると測定値が大きく変動します。
- 医療機関で測定する血糖値とは若干の誤差が生じます
CGM(Continuous Glucose Monitoring)
専用のセンサーを皮膚(主に腕や腹部)に貼るだけで、皮下の間質液中のグルコース値を持続的に測定記録することができます。
スマートデバイスやパソコンで自分自身で血糖変動を確認することができます。
CGMはさらに、主に病院で医療従事者が臨床検査で使用するプロフェッショナルCGM、血糖自己管理用(自宅で患者さんが使用するタイプ)のパーソナルCGMに分けられます。
パーソナルCGMはさらにリアルタイムCGMと間歇スキャンCGM(isCGMまたはFGM)にわけられます。


この記事では、患者さん自身が自宅で使用できる、リアルタイムCGMと間歇スキャンCGMに関してまとめます。
リアルタイムCGMとは?
有名なものとしては、DexcomCGMがあります。
現在インスリンポンプ一体型と単体型が発売されています。
特徴としては、
- 高血糖時や低血糖時にアラームが鳴るように設定できます。
- 医療機関だけでなく、身近な人とアプリを通じて情報を共有できます。
- データ取得のために、スマートデバイスをセンサーに近づける必要がなく、測定データは5分ごとにスマートデバイスに送信されます
- 血糖値の目標値を設定できます
- データを解析し、血糖トレンド(1日のうちで血糖がどのように変動しているかという傾向)を見える可し、目標値にどのくらい入っているかを知ることができます。
- 7日から10日程度で付け替えになるものが多いです。
- 装着したまま、入浴、シャワー、水泳などの運動が可能です。
間歇スキャンCGM(isCGMまたはFGM)とは?
有名なものとしては、FreeStyleリブレセンサーがあります。
リアルタイムCGMとほぼ原理としては同じですが、アラーム機能が付いていないなど、リアルタイムCGMよりは簡易的なものになります。
特徴としては、
- スマートフォン、もしくはリーダーをセンサーに近づけるだけで簡単にデータをスキャンできます。8時間以内にスキャンすれば、連続データを取得できます。
- 測定にインターネット環境は必要ありません。(設定時のみ必要です)
- 血糖値の目標値を設定できます
- データを解析し、血糖トレンド(1日のうちで血糖がどのように変動しているかという傾向)を見える可し、目標値にどのくらい入っているかを知ることができます。
- 7日から10日程度で付け替えになるものが多いです。
- 装着したまま、入浴、シャワー、水泳などの運動が可能です。
- 価格はリアルタイムCGMよりも低く設定されています。
CGMのメリット
- 指先に針を刺すことなく、センサーを皮膚に貼るだけで血糖値が測定できるため、痛みを最小限に抑えられます。
- 睡眠時など、自分では気が付かなかった低血糖を発見することができます
- アプリなどを活用すれば、血糖値の情報を病院と共有することができます。
- 血糖トレンドを知ることができます。※血糖の一日の変化をみることで、どの食事を中心とした生活習慣の影響を受けて血糖がどのように変動したのかを知ることができます。
【参考資料】
CGMのデメリット
- SMBGで測定するような血液中のグルコース濃度(血糖値)を測定しているわけではなく、間質液中のグルコース濃度を測定しているため、実際の血糖値とタイムラグ(5~10分程度)があります。
- スマートデバイスを所持していることが条件になる場合が多い(一部デバイスのレンタルあり)のため、患者さんの所持しているデバイスによっては使用できないことがあります
- SMBGよりも一般的に値段が高価です。
- 高齢者の場合、スマートデバイスやアプリの操作が困難なことがあります
- X線、MRI、CTスキャンの検査を受ける場合は取り外す必要があります。
血糖測定器は医療保険の適応になる?

注射の糖尿病治療薬を使用している場合には適応になる
SMBGはインスリンやGLP-1受容体作動薬を利用している患者さんに健康保険が適応になります。
CGMはインスリンを使用している患者さんであれば、健康保険が適応になります。

ただし、その施設に専門医がいることや、使い方の指導をきちんと行うことなど、条件があります。
【参考資料】
- 糖尿病とお金のお話
- インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者さんにFreeStyleリブレの保険適用が拡大
- テルモ、「Dexcom G6 CGMシステム」がインスリン注射を行う全ての方を保険適用対象に
糖尿病の経口薬のみでは適応にならない
残念ながら、経口薬のみではいまのところ血糖測定器の保険適応は通っていません。
血糖測定器は個人で購入しても問題ない?安全?
問題ありません。
薬局で購入をお願いすることもできますし、インターネットで購入することもできます。
※センサーチップ(血を吸い取って機械に差し込むチップ)は体外診断用医薬品は通販対象外となっているため、ご注意ください。
廃棄するときだけ注意を
針を廃棄する際は各自治体の指示に従って捨てるようにしてください。
すでに医療機関にかかっている場合は、廃棄ボックスが用意されていることが多いので、そちらの針用のBoxに捨てるようにしてください。
血糖測定器(SMBG)の種類とおすすめ

病院で血糖測定器を開始する場合はほとんど病院側の指定で決まってしまうので、今回はインターネットで購入できるものを探して特徴をまとめてみました。
使用方法はどの血糖測定器も同じです。
穿刺器具に針をセット→針で指から血を出す→チップで吸い取る→機械に差し込む
※ほとんどの機械がチップを差し込むと電源が入るようになっています。
詳しい資料はこちら→国立国際医療センター 糖尿病情報センター
センサーチップ(血を吸い取って機械に差し込むチップ)は体外診断用医薬品は通販対象外となっているため、ご注意ください。

チップだけは薬局などで直接購入する必要があります。

実際に働いている病院でも使っているので、使用感も伝えるよ!

注射薬が出ていない人でも、購入すれば血糖を手軽に調べられるよ!
血糖測定器の値段による測定結果の違いはあるのか?
私の働いている病院では今回ご紹介した4種以外にも2種、合計6種類血糖測定器を扱っています。
センサー(チップ)の形状などに違いがあるため、多少の好みがわかれるようですが、測定結果の精度はそれほどどの機械も変わらない印象です。
そのため、画面の見やすさとセンサー(チップ)の使いやすさで選んでしまって問題ないと思います。
測るタイミングは?
すでに病院に通っている場合は、主治医にタイミングに関しては意見を伺ってみてもよいと思います。
病院に通っているわけではない、担当医が専門医でないので詳しくない場合は、以下のタイミングで図るとよいと思います。
- 食直前
→食直前が高ければその前の食事のとった量が多すぎる
- 食後1時間、2時間
→食後1時間、2時間値が高い場合は、とった食事の量が多すぎるか、インスリンが十分に出ていない可能性がある
- 朝起きてすぐ
→朝高血糖になっている場合は、夕食が多すぎたり、※ソモジー効果と※暁現象 が考えられる。
※ソモジー効果:夜間に低血糖を起こす事があり、それに驚いた体が過剰に血糖値を上げようと努力し、早朝の高血糖をきたすことがあります。 このような反跳性高血糖をソモジー効果といいます。
※暁現象:熟睡中に分泌される成長ホルモンは、血糖値を上昇させる効果があります。
上手に血が出ないときはどうしたらいい?
冬場で寒くなっているときや、何度も穿刺していると皮膚が固くなったり、血行が悪くなりなかなか血が出てこないときがあります。
そういうときは、指をいつよりもよくもんで穿刺したあと、血がよく出るように少し指をつまんで押し出してみてください。
ワンタッチベリオビュー
センサーはワンタッチべリオセンサーです。
少ない血液量で測定することができ、画面はカラーで大きく、見やすくなっています。
セット価格で5250円(税込み)です。
本体はあまり壊れることはないため、5年以上は使用できると思います(経験的なものなので、保証はできませんが…)
針はひと箱30個入りなので、毎日使用すると1か月分程度になります。
ニプロフリースタイルフリーダムライト
対応センサーはニプロFS血糖センサーライトです。
センサー(チップ)が特徴的です。私自身も使用したことがあるのですが、非常に血液を吸いやすく、失敗が少ない印象があります。
血糖測定器の画面はカラーではないですが、文字はシンプルで大きく、見やすいです。
詳細はこちら→ニプロフリースタイルフリーダムライト
セット価格で8200円(税込み)です。
本体はあまり壊れることはないため、5年以上は使用できると思います(経験的なものなので、保証はできませんが…)
針はひと箱30個入りなので、毎日使用すると1か月分程度になります。
メディセーフフィットスマイル
対応センサーはメディセーフフィットチップです。
センサー(チップ)が特徴的で、丸くてつまみやすい形状をしています。そのため、高齢者などに人気があり、医師も積極的に選ぶ印象があります。
画面も明るく、見やすくなっています。
詳細はこちら→メディセーフフィットスマイル製品情報
セット価格で6995円(税込み)です。
本体はあまり壊れることはないため、5年以上は使用できると思います(経験的なものなので、保証はできませんが…)
針はひと箱30個入りなので、毎日使用すると1か月分程度になります。
グルテストアクア
対応センサーは、グルテストNeoセンサー、グルテストブルーセンサーです。
血糖測定器「グルテストアクア」は、持ちやすく携帯しやすい薄型設計で画面表示は大きく、音声でもサポートしてくれます。
センサー(チップ)は可もなく不可もなくですが、特に不都合を感じたという意見も聞いたことはありません。
詳細はこちら→グルテストアクア
セット価格で11480円(税込み)です。
本体はあまり壊れることはないため、5年以上は使用できると思います(経験的なものなので、保証はできませんが…)
針はひと箱30個入りなので、毎日使用すると1か月分程度になります。
血糖測定器(CGM)の種類とおすすめ
FreeStyleリブレセンサー
間歇スキャンCGM(isCGMまたはFGM)の代表的な商品です。
主に上腕部に装着します。センサーをつけるときのみ軽い痛みがありますが、使用中はほとんどつけているのを忘れるぐらい違和感がなく、痛みもありません。
使用方法などに関しては、こちらのサイトをご覧ください。アプリの設定方法、センサーのつけ方、図り方などを分かりやすく動画で紹介しています。

非常に操作が簡単で不具合もほとんどないため、たくさんの方が使用されています。
ご高齢の方でも問題なく使用できています。

つけたままお風呂にも入れます。設定の時以外は、インターネット環境は必要ありません。
スマートフォンをお持ちではない方
スターターキット価格(リブレセンサー、リーダー)で12800円です。オリジナルポーチ付きです。
センサーは14日に一度取り換えになります。
※スマーフォンをお持ちでない方はリーダーが必要になるため、こちらをご購入ください。
スマートフォンなどをお持ちの方
スマートフォンがある方は、センサーとアプリ導入で始められるため、こちらをどうぞ。
1個当たり14日で取り換えになります。こちらの商品は2個セットになります。
その他参考資料
まとめ
血糖値はちょっとした環境の変化ですぐに影響を受けるため、測定する時間が一緒でも日によって血糖値は異なるのが普通です。
また採血部位、食事時間や内容、運動の有無、さらにはその日の体調にも影響を受けますので、毎回の測定値に一喜一憂しすぎないことが大切です。
すでに医療機関を受診されている場合は、ご自身で薬の量を増やしたり減らしたりすることは絶対に避けてください。かえって重篤な副作用を招く危険性がありますので、必ず医師に相談をするようにしてください。
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