薬剤師向けの書籍もいいのですが、医師の処方意図をくみ取るには何か物足りなさを感じていました。薬剤師向けに書かれた本の医師の意見は、どこか本音の部分は隠されているような、綺麗ごとだけを並べているような感覚と言ったらいいのでしょうか。
おそらく説明する医師側も、薬剤師がどこまで基礎知識をもっていて、大学ではどのような事を学んできて、どこまでどのように説明したらいいかがあまりわからないために生じる問題かなと思います。

以前EBウイルスにかかって血液内科にかかった時に、薬剤師であることがワクチン接種の時期でバレてしまったのですが、その時に医師はこちらが色々わかっていると思って、親身になって色々病態の事を説明してくれたのですが、あまりにも私が知識がなくてびっくりしていました。
「薬剤師って病気の診断の事はあまり知らないんだね…」と残念そうに言われたのが印象的でした。
その時の記事はこちら↓
もちろんそれでも十分なのかもしれませんが、もう少し踏み込んでみたくて、色々ググっていて発見したのが、研修医向けの書籍でした。
その他専門外の医師向けの書籍の中にもかなり参考になる書籍があったので、薬剤師が読んでよかったと思ったものを紹介したいと思います。
余談であまり読んでも意味がなさそうだと思った本も記載しました。
研修医向けの雑誌で、薬剤師が読んで参考になったもの
研修医向けの雑誌のいい点は、相手が初心者であることを前提に、けれどある程度の基礎知識はあることを前提にわかりやすくかみ砕いて書いてあることだと思います。
記事の半分は、画像診断や手術の手技の方法などで、少しお金の無駄遣いになってしまうかもしれませんが、半分は薬や病気の事をとてもわかりやすく書いてあるので、とても参考になります。
特に増刊号は、コラムや広告などの無駄な記事がなくて、とても内容が詰まっているのでお勧めです。(薬剤師向けだと、日経DIの毎月出ているのも悪くないけど、日経DIクイズ特集の方が内容が詰まっているなというイメージです)
実際に読んで特におすすめだった雑誌
レジデントノート増刊 Vol.17 No2 新・日常診療での薬の選び方・使い方
★★★★★ 星5つ
2015年発刊の雑誌なので、7年も前のものになります。
少し発行時期が古いので参考にならないのではと思っていたのですが、今でも十二分に使える知識がたくさん詰まっていました。
各々の専門医が研修医向けに、ガイドラインなどを交えながら、薬の選択の仕方を解説しています。基礎中の基礎は省いてあり、本音で語っているのでとても面白かったです。
「もちろんそれは知っているよ」という知識も数多くありましたが、「へ~」と思う情報も多く、薬剤師が読んでも、8割から9割程度は理解できる内容になっています。
今回色々読み漁った中で一番お勧めでした。
新刊で購入すると増刊号は5000円近くしますし、近くの本屋で試し読みも出来ない場合が多いので、ちょっと躊躇してしまう値段です。ましてや医師向けなので、買ってみた結果、全く畑違いで参考にならなかったなどの失敗の可能性もあります。
しかし古本であれば300円程度で購入できる(特にAmazonでは沢山の古本を扱っているので覗いてみてください)ので、失敗しても大して懐は痛まない程度の価格で試すことが出来るのでお勧めです。
読んでないですが、類似のお勧め雑誌
類似の新しい雑誌も出ているようなので、あとは値段と興味で色々探してみると面白いと思います。
ただ、こちらは読んでないので、内容に関しては本当に類似かどうかはわかりません。その点はご了承ください。
レジデントノート CKD・透析患者診療で困るあれこれ
★★★ 星3つ
透析の患者さんや、これから透析になるかもしれない患者さんは、よく薬局で遭遇する患者さんだと思います。
ただ、私自身は透析治療がどんなものか、どういった処置を行っているかは今ひとつわかっていなかったため、参考になりました。薬の知識も一部のっています。
ただ、増刊号とは違い、広告やコラムも多く、薬剤師向けの情報量としては少し少なめです。
レジデントノート 尿検査を活用しよう
★★★ 星3つ
仕事で尿検査を見る機会も多いのですが、今ひとつ活用方法が血液検査と違ってわからなかったので購入しました。
ネットで調べても、書籍を購入しようとしても、それを専門に扱っている書籍は見当たらなかったので、貴重な情報源でした。
尿検査は、結局血液検査や、その他の検査と合わせて判断するしかないのかな?尿検査だけでの判断はほとんどできないのだなという事を実感しました。
レジデントノート 検査を病棟で上手に使おう
★★ 星2つ
血液検査関係の本はある程度読んだ後、何かしら新しい知識を、少しでも得たい人にお勧めです。
薬局で、直接薬剤師のためになる情報は、少し少なめです。コラムの「解熱鎮痛薬の使い方」と「研修医が知って得する日常診療のつぼ」のトランサミンに関する記事が割と面白かったです。
レジデントノート ポリファーマシー その症状は薬のせい!?
★★★★ 星4つ
これは薬剤師にとって、かなり面白い内容だと思います。
医師がポリファーマシーの現状に関してどう感じているか、ポリファーマシーに対してどのように対応して、どのように減らす薬を選択しているのかの実例が記載してあります。
雑誌なので実例は少なめですが、このような視点で医師がポリファーマシーに取り組んでいる事を知れたのは、とても有益に感じました。
医師向け(コメディカルも多少意識している)の書籍で読んで参考になったもの
治療に活かす!栄養療法 はじめの一歩
★★★★★ 星5つ
専門外の医師やコメディカル向けに書かれた書籍です。
最近、外科でエンシュアリキッドとリキッドHが処方されるのですが、カロリー以外の違いがあまりわかっておらず、他の栄養剤の知識は更に不足していたのですが、この書籍を読んでかなり体系的に理解することが出来ました。
- 経腸栄養剤の種類の違い(半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤)が曖昧
- 市販の栄養剤と医薬品の栄養剤との違いについて知りたい
- 胃婁と経鼻チューブの選択の違い、メリット・デメリットがわからない
- たんぱく質、ビタミン、微量元素がどのように体に関わっていて、身体の治癒力、免疫力に関わっているかを気にしたことはない
- アルブミン値の読み方が良くわからずに途方に暮れている方
などの疑問点がある人は、一読する価値があると思います。
こちらも古本があるので、古本に抵抗がない人は費用面ではそちらがお勧めです。
エンシュアリキッドが飲めなくて困っている患者さん向けの記事はこちら↓
Dr・浅岡の本当にわかる漢方薬
生薬成分が、西洋医学的な視点で、わかりやすく分解して説明してある点が、わかりやすいと感じています。こちらも古本で購入して読んでいます。
(余談)背伸びしすぎてあまり参考にならなかった書籍
誰も教えてくれなかった 血算の読み方・考え方
★ 星1
血算の読み方がわからなさ過ぎて、何とかしたくて手に取ったのですが、専門医向けのものだったようで、私には難しすぎました…。数ページ読んでわからなさ過ぎて挫折しました。一応参考までに。
病気が見える シリーズ
★ 星1
古本屋で見つけて、わからないときに辞書代わりになればいいかなと思って購入しましたが、今のところ一度も開いて調べたことがありません。少し薬剤師にはオーバースペックというか、畑違いの情報が多いかもしれません。
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