ウゴービ皮下注は、「肥満症」の効能または効果を有する医療用医薬品として発売される、約30年ぶりの新薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることにより、食事の量を減らしてカロリー摂取量を抑え、体重減少を促す作用があります。
肥満症治療薬ウゴービに関して、ママ薬剤師が調べてまとめました。
オゼンピックとリベルサスとの違いに関してもまとめました。
- ウゴービ皮下注とは?
- ウゴービ皮下注とオゼンピック注、リベルサス錠との違い
- メディカルダイエットとの関係
ウゴービ皮下注とは?どんな薬?肥満症に効果あり?
肥満症の適応で承認された日本で初めてのGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1受容体作動薬って何?
GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌されます。
すい臓のβ細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にくっつき、β細胞内からインスリンを分泌させます。
GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴があります。
この血糖値を下げる効果に加え、食欲抑制作用や摂取した食物の胃からの排出させる効果があります。
成分と作用機序
成分はセマグルチドです。「オゼンピック」や「リベルサス」と同様の成分になっています。
適応
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
医療用医薬品 : ウゴービ 添付文書
オゼンピック皮下注やリベルサス錠とは異なり、2型糖尿病のみでの適応はありません。
更に高血圧もしくは脂質異常症、2型糖尿病の既往歴があること、BMIの数値や、食事療法・運動療法を行った使用歴があるなどの注意事項があります。
効果・効能
一番の効果は体重減少効果です。
投与68週時 | 1.7mg群(101例) | 2.4mg群(199例) | プラセボ群(101例) |
10%以上体重減少達成割合 | 41.8(41/98) | 60.6(117/193) | 5.0(5/100) |
15%以上体重減少達成割合 | 24.5(24/98) | 40.9(79/193) | 3.0(3/100) |
100㎏あったら、15ヶ月くらいで10㎏くらいは減らせるということですね。
肥満者を対象におこなった試験結果であるため、健常者ではこれほどの結果はでない可能性が高いです。
特徴と使用方法
注射薬で、週に1回投与する薬です。
用量は0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。
ウゴービとオゼンピックやリベルサスは何が違う?
ウゴービとオゼンピック、リベルサスの違いをまとめました!
成分は同じセマグルチド
成分はどれも全く同じセマグルチドです。
ウゴービ注はオゼンピック注やリベルサス錠とは適応が異なる
まず、ウゴービは肥満治療薬で、使用にあたり、BMIなどの縛りがあります。
ただし、糖尿病の既往のない患者さんでも、高血圧や脂質異常症を満たしていれば使用することが出来ます。
オゼンピックやリベルサスは2型糖尿病でのみ適応が通っています。
経口薬か注射薬か
ウゴービとオゼンピックは注射薬です。
リベルサスは経口薬です。GLP-1受容体作動薬では、日本で唯一の経口薬です。
デバイスが異なる
オゼンピックとウゴービはデバイスが異なります。
ウゴービは、SDというタイプの針が内蔵されている、使い切り型のデバイスです。
使用方法や最大投与量が異なる
オゼンピックは0.25mgから開始して、0.5㎎、0.75㎎、1.0㎎まで用量を上げていくことが出来ます。
ウゴービは0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。
最大で2.4mgまで増量できるのが特徴です。
ウゴービは痩せる事を治療のメインに置いているので、用量がオゼンピックよりも多めに承認がおりていますね。
68週の投与期間制限がある
ウゴービはオゼンピックとは異なり、68週の投与期間制限があります。
ウゴービ皮下注の保険適応条件などに関して詳しく知りたい方はこちら↓
今後メディカルダイエットには使用できる?
現在オゼンピック、リベルサス、ビクトーザなどのGLP-1受容体作動薬や、ジャディアンスなどのSGLT2阻害剤がメディカルダイエットに使用されています。
ウゴービも発売された場合は、こういった目的で使用されていく事が懸念されていますが、現段階ではメディカルダイエットに対しては適応外使用になります。
流通などにも制限がかかる見通しです。
自由診療でかつ、未承認薬(適応外使用も含む)である事の明示、副作用の十分な説明や問い合わせ先などのいくつかの条件を満たした場合のみ、ウェブ上などでの広告は許されています。
メディカルダイエットの現状、使用されている薬、問題点などに関しての記事はこちら↓
本気で痩せたい人のためのメディカルダイエット
メディカルダイエットってどうなんだろう?本当に安全なのだろうか?と思っている方にお勧めの書籍です。↓
著者の一人である大阪梅田健美クリニックの院長の長谷田 文孝先生は、糖尿病専門医であり、日本ダイエットコーチング協会所属です。
★★★★★
おすすめ度 ★★★
著者の一人である大阪梅田健美クリニックの院長の長谷田 文孝先生は、糖尿病専門医であり、日本ダイエットコーチング協会所属です。
この書籍を読み、「病気ではないけれど、本人が思う健康な状態ではなく、ダイエットに何度も失敗して苦しんでいる人」の存在を知りました。
メディカルダイエットは、健康的な食事や運動を継続したうえで、ダイエットの深みにはまってしまった方が通常の生活に軌道修正する助けにはなるのではないかと考えるようになりました。
ただ、著者も言っているように、メディカルダイエットの薬の使用方法は注意が必要であると考えています。
まとめ
肥満治療薬として、ウゴービはかなり注目されている薬なので、まとめてみました。参考にしてください。
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