最近話題になっている肥満治療薬ウゴービに関して、ママ薬剤師が調べてまとめてみました。
オゼンピックとリベルサスとの違いに関してもまとめてみました。

肥満と糖尿病は深い関係があるので、自分の勉強の為にも調べてみました!
ウゴービとは?
肥満症の適応で承認された日本で初めてのGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1受容体作動薬って何?
GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌されます。すい臓のβ細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にくっつき、β細胞内からインスリンを分泌させます。
GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴があります。
この血糖値を下げる効果に加え、食欲抑制作用や摂取した食物の胃からの排出させる効果があります。
成分と作用機序
成分はセマグルチドです。「オゼンピック」や「リベルサス」と同様の成分になっています。
適応
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
医療用医薬品 : ウゴービ 添付文書
ウゴービの適応は肥満のみです。2型糖尿病のみでの適応はありません。
更に高血圧もしくは脂質異常症、2型糖尿病の既往歴があること、BMIの数値や、食事療法・運動療法を行った使用歴があるなどの注意事項があります。

BMIを満たすだけでも駄目なんですね。高血圧、脂質異常症、2型糖尿病の既往がないと使用できません。
逆に上記既往を満たすだけでも、BMIが条件を満たしていないと使用ができません。

1型糖尿病には禁忌です。
効果・効能
一番の効果は体重減少効果です。

1.7mg以上のデータであることに注意が必要ですが、10%以上の体重減少効果が50%近くあることがわかっています。

100㎏あったら、15ヶ月くらいで10㎏くらいは減らせるということですね。
その他、体重減少効果に付随した影響なのかどうかはわかりませんが、HbA1c、血圧、脂質の低下作用が見られています。
特徴と使用方法
注射薬で、週に1回投与する薬です。
用量は0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。
ウゴービとオゼンピックやリベルサスは何が違う?
成分は同じセマグルチド
成分はどれも全く同じセマグルチドです。
適応が異なる
まず、ウゴービは肥満治療薬で、使用にあたり、BMIなどの縛りがあります。ただし、糖尿病の既往のない患者さんでも、高血圧や脂質異常症を満たしていれば使用することが出来ます。
オゼンピックやリベルサスは2型糖尿病でのみ適応が通っています。
経口薬か注射薬か
ウゴービとオゼンピックは注射薬です。
リベルサスは経口薬です。GLP-1受容体作動薬では、日本で唯一の経口薬です。
使用方法が異なる
オゼンピックは0.25mgから開始して、0.5㎎、0.75㎎、1.0㎎まで用量を上げていくことが出来ます。
ウゴービは0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。

ウゴービは痩せる事を治療のメインに置いているので、用量がオゼンピックよりも多めに承認がおりていますね。
ウゴービは現在どのまで開発が進んでいるのか?
ウゴービは2023年3月にGLP-1受容体作動薬として肥満治療薬として、適応が通りました。
現在は発売に向けて準備中とのことです。
2023年8月現在、まだ発売の見通しは立っていません。
今後メディカルダイエットには使用できる?
現在オゼンピック、リベルサス、ビクトーザ、ジャディアンスなどのGLP-1受容体作動薬や、SGLT2阻害剤がメディカルダイエットに使用されています。
ウゴービも発売された場合は、こういった目的で使用されていく事が懸念されていますが、現段階ではメディカルダイエットに対しては適応外使用になります。

適応外使用というのは、日本で単なるダイエット目的には臨床試験を行っていないし、適応もとおってないですよ、安全性は保障されていないですよということです。

副作用などがあった際も、医薬品副作用被害救済制度で適応されないので注意が必要です。
自由診療でかつ、未承認薬(適応外使用も含む)である事の明示、副作用の十分な説明や問い合わせ先などのいくつかの条件を満たした場合のみ、ウェブ上などでの広告は許されています。
ただ、不適切な広告が多く、不十分な説明、誇大広告の影響で、魔法のやせ薬であるかのように勘違いされている方が多いようなので、よく契約内容を読み、十分に説明を受けてから行うかどうかは決めた方が良いでしょう。

少なくとも、都合の良いことしか書いていないサイトからの購入は控えましょう!
本気で痩せたい人のためのメディカルダイエット
メディカルダイエットってどうなんだろう?本当に安全なのだろうか?と思っている方にお勧めの書籍です。↓
著者の一人である大阪梅田健美クリニックの院長の長谷田 文孝先生は、糖尿病専門医であり、日本ダイエットコーチング協会所属です。
★★★★★
私自身がメディカルダイエットに関して初めは否定的だったのですが、この書籍を読んで考えが変わりました。
ダイエットというのは、やらなくても良い、美容のためのものというイメージでした。
しかしこの書籍を読み、「病気ではないけれど、本人が思う健康な状態ではなく、ダイエットに何度も失敗して苦しんでいる人」の存在を知りました。
メディカルダイエットは、健康的な食事や運動を継続したうえで、ダイエットの深みにはまってしまった方が通常の生活に軌道修正する助けにはなるのではないかと考えるようになりました。
ただ、著者も言っているように、メディカルダイエットの薬の使用方法は注意が必要であると考えています。
まとめ
肥満治療薬として、ウゴービはかなり注目されている薬なので、まとめてみました。参考にしてください。
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