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薬剤師は処方箋を見て何を考えいるの?薬剤師の監査業務(処方監査、調剤監査)とは?

患者さんからみれば、「処方箋や薬をじっとみて何を考えているのか?」

薬学生からみれば、「薬剤師にとって一番重要な仕事だけど、何を具体的にチェックしているのか、何のチェックが漏れたら大変なんだろうか…」とはじめはとても不安になる仕事の部分だと思います。

この記事では監査業務(処方監査、調剤監査)で薬剤師がみているところを解説したいと思います!

この記事でわかること
  • 監査業務(処方監査、調剤監査)の流れ
  • 薬剤師が監査業務(処方監査、調剤監査)でチェックしていること
目次

薬剤師の監査業務の確認事項

処方監査調剤鑑査のちがいは、処方監査は処方箋に書かれてある情報が正確なのかを確認するのに対し、調剤鑑査は調剤されたお薬が処方せんの内容通りかをチェックすることです。

薬剤師が監査業務(処方監査、調剤監査)でチェックしていることや流れを説明します。

処方監査とは?

処方箋の記載内容の正確性を確認しています。

処方箋の形式に誤りはないか?

以下のようなことを具体的に確認しています。

  • 処方箋の期限が切れていないか
  • 処方薬が日数制限にはかかっていないか(眠剤や麻薬など)
  • 麻薬処方箋の場合には、麻薬施用者の免許番号など必要な情報が記載されているかどうか
  • 覚せい剤原料の含まれる処方の場合は患者、医師ともに登録された者であることの確認
  • 医師から必要なコメントの記載はあるか。コメントの内容は適正かどうか

用法、用量など処方内容は正しい?

添付文書上にはさまざまな情報が記載されています。

用法、用量の注意だけでなく、禁忌情報、併用注意情報、腎機能や肝機能に関する注意、そのほかの既往に対する注意も掲載されています。

添付文書のみでは判断ができない場合は、メーカーや書籍を用いて確認する場合もあります。

  • 処方量は添付文書記載情報をオーバーしていないか
  • 処方量は添付文書記載情報より少なすぎないか
  • 体重に対しての量、腎機能に対しての処方量は適正であるか
  • 用法の回数は添付文書の範囲内に収まっているか。週に1回などの特殊な飲み方をする薬ではないか
  • 用法は正しいか(食前、食直前、空腹時でないと効果の出ない薬もあります)
  • 徐々に増やす、徐々に減らすなどの制限のかかってる薬かどうか
  • 同種、同効薬の薬が重複して出ていないか
  • 副作用歴、アレルギー薬に該当する薬が出ていないか
  • 一包化、分割指示が出ているが、そのような調剤が出来る薬かどうか(湿度などに弱かったり、特殊なコーティングを施している薬剤の為、一部そのような調剤は出来ない薬があります)

検査値との照らし合わせ

病院の院内薬局では、既往歴や医師のカルテも併せて確認しています。

院外薬局では検査値(血液検査、尿検査)や過去の患者さんから得た情報をもとに確認しています。

  • 薬を開始する前に検査が必要な薬ではないか、必要な場合はきちんと検査が行われているか
  • 定期的に検査の必要な薬の場合、適切に検査が行われているか
  • 薬を開始、継続するにあたり、問題ない血液検査数値であるか(副作用が疑われるような検査結果がでていないか、処方量は減量の必要がないかどうか)

本来は医師が確認するところではありますが、医師の確認が漏れている場合があります。

薬に関するところはすべて薬剤師にも確認義務があるため、必ず確認します。

お薬手帳情報との照らし合わせ

お薬手帳は重要な情報源です

患者さんが想像する以上に薬局と病院とはデータ共有が進んでおらず、カルテなどは閲覧することが出来ません。

医師が確認しているから、薬局での提出が不要と考える人もいますが、医師の確認漏れを防ぐのが薬剤師の仕事です。

医療安全を確保するために提出をお願いします。

  • 重複薬はないか(合剤やジェネリック医薬品の普及により、重複確認漏れが多発する)
  • 既往歴に禁忌の薬が出ていないかどうか(他院の処方内容、アンケートから病名を推測して、問題がないかどうか確認します)
  • 処方薬同士の飲み合わせは問題ないか
  • 処方内容と入院中の内容、転院前での処方内容と退院後、転院後の処方内容に誤りがないか(確認事項が多いためか、処方ミスが多発します)

調剤監査とは?

調剤鑑査は調剤されたお薬が処方せんの内容通りかをチェックしています。

  • 調剤された薬の量は間違っていないか
  • 正しい薬剤が調剤されているか
  • 誤ってゴミなどが混入されていないか
  • 軟膏はきちんと混ざっているか
  • 一包化、分割指示が出ているが、そのような調剤ができる薬かどうか(湿度などに弱かったり、特殊なコーティングを施している薬剤の為、一部そのような調剤はできない薬がある)

そのほかの監査業務

  • 予約制の病院の場合は、次回まで処方日数が足りているかどうか
  • 加算がただしくとれているか

加算に関しては本来は医療事務、調剤事務の仕事です。

しかし薬剤師が一緒に監査したほうが効率がよい場合や、トレーシングレポートのように薬剤師が報告しなければわからない加算に関しては、薬剤師が最終確認している場合が多いです。

ドラッグストアなどで事務員が不在の場合は、すべての加算の入力、確認をする必要があるケースもあります。

トレーシングレポートに関してはこちら↓

薬剤師はどの処方もこんなにたくさんの確認を行っているの?

ほとんど処方薬がない場合や、継続して薬局に来てくれている患者さんの場合は、確認事項が減る場合もあります。

しかし基本的には、上記のような確認事項がないかどうかは必ず目視で確認しています。

人間の間違えるポイントは似た傾向があるため、毎日監査業務をこなしていると、チェックがはやくなり、勘が鋭くなってきます。

監査業務が一番その薬剤師の勉強量や経験に比例して精度が上がってくる部分だと思います。

最近はマイナンバーカードによる医療機関との連携、処方箋上に検査値の記載など、病院からの情報開示が増え、さまざまなことを確認する必要が増しています。

監査業務の層難易度を上がりつつあります。

はじめての薬局で待たされるのはなぜ?初回は確認事項が多い!

初回に行った薬局でやたら待たされたことはないでしょうか?

処方薬が多い場合には、上記の確認事項をすべて行っているため、とても時間がかかります。

初回は医師(医療機関)のミスがもっとも多い

医師(医療機関)も同じように確認事項が多すぎるせいかミスが多い傾向があります。

特に処方薬剤のタイプミスやコメントミスが散見されます。

私たちもそのことをよくわかっているため、より一層注意して確認しているため余計に時間がかかるのです。

継続処方の場合は確認は一部だけで済む

2回目以降の場合は確認したことを薬歴に記載してあるため、必要最低限の確認だけを行うようにしています。

処方変更のあった薬、新規薬の確認

処方変更の際も医師のミスが起きやすいポイントのため、かなり詳しく添付文書を確認しています。

初回ほどではないですが、疑義紹介が発生する場合は待ち時間が長くなる可能性があります。

監査業務は薬剤師の仕事の中で、やりがいがあって楽しい部分

監査業務は上記にも記載した通り、薬剤師の経験と勉強量に精度が左右される部分です。

自分が成長した分だけ患者さんに最も還元されていく部分ともいえます。

昔の自分よりも適正な医療を提供できたときに喜びとやりがいを感じる

昔の自分では気がつけず、先輩薬剤師に指摘されたことが、成長によって気がつけるようになります

添付文書には記載されていないことでも、知識が増えたことで疑問を感じ、メーカーに問い合わせて処方訂正になることもありました。

監査業務によって、適正な医療を届けることができたと感じた時患者さんやほかの薬剤師に頼りにされる機会がふえた時にとても喜びを感じます。

薬剤師の勉強に終わりはない

仕事を始めたころは、何年か勉強したらわからないことがなくなってルーチンワークになっていくのかなと思っていました。

新薬が次々に出てくる

素晴らしいことですが、毎年次々に新しい薬が発売され、新しく適応が追加されています。

つい数年前までは治らずに苦しんでいた病気が、薬と現代の医療のおかげで、普通の人と変わらない生活、寿命をまっとうできるようになってきています。

それと同時に私たちは継続して勉強する必要性に迫られています。

知っていると思っていた薬でもわからないことが出てくる

勉強してわかっていたつもりでも、患者さんの質問でハッとさせられることがあります。

まだまだ知らなかったことがたくさんあり、日々勉強の毎日です。

おわりに

私自身もまだまだ成長中です。

偉そうに色々書きましたが、監査業務もこれしかしなくてよいというものではなく、基本的に医療の変化、自分自身の勉強量、経験によって変化していくものだと思います。

よりよい医療を提供するためにより一層頑張りたいと思います。

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