先日リフヌア錠の処方が出たのですが、今一つ作用機序や他のせき止めの薬との違いがわからなかったので、勉強会を開いて教えてもらいました。その時の情報をお伝えしたいと思います。
リフヌア錠(成分名 ゲーファピキサントクエン酸錠)とは?


難治性の慢性咳嗽に適応をもつ世界初の選択的P2X2受容体拮抗薬です。
新規の薬で、令和4年4月に販売を開始したばかりなので、しばらくの間は14日処方の縛りのある薬です。
P2X2受容体とは、気道の迷走神経のC繊維状に見られるATP依存性イオンチャネルです。この受容体をブロックすることで、細胞外のATPシグナル伝達を遮断することにより、感覚神経の活性化を抑制し、軌道への刺激物(炎症ケミカルメディエーター、化学物質)の放出を抑え、咳を抑える作用が現れます。
難治性の慢性咳嗽とは何か?がん患者には使用できるのか?
慢性咳嗽とは、咳が8週間以上続く事を言います。慢性咳嗽には様々な原因があり、まずはそれを取り除く治療が最優先になります。

慢性咳嗽の主な原因は喘息、逆流性食道炎、アトピー咳嗽、COPD、副鼻腔気管支症候群、呼吸器感染症、間質性肺炎、肺がん、副作用、感染後咳嗽等があると言われています。
その他の喉への刺激(アレルゲン、カビ、タバコの煙、冷機、強い臭い)、生活習慣、ストレス等でも起こり得ます。
原因治療を行ってもなお残る慢性咳嗽を難治性の慢性咳嗽とし、今回のリフヌアが適応になります。
がん患者の咳にも使用することは出来ますが、そちらであまりエビデンスを取っていないとのことで、今後そういったデータを積み重ねていきたいと言っていました。(メーカー情報)
他の既存のせき止めと何が違うのか?併用は可能か?
既存のせき止めとして有名なのがアスベリン(成分名:チぺピジンヒベンズ)やフスコデ(成分名:ジヒドロコデインリン酸塩)ですが、どちらも咳中枢の興奮を鎮めて咳を止めます。

咳中枢とは、脳幹の延髄にある咳のコントロール部です。
今回のリフヌアは迷走神経(末梢神経)に作用して、気道への刺激物質を抑えているので全く違う作用機序といっていいと思います。
そのため、リフヌアと従来型のせき止め薬の併用ももちろん問題ありません。
用法用量は?半量使用や頓服で効果は出る?
リフヌア錠45㎎を1日2回服用経口投与します。
後述しますが、リフヌアはかなり味覚異常の副作用が多い関係で医師によっては半量で試したり、頓服で試そうとされている先生もいるようですが、エビデンスがない為、効果に関しては不明です。

咳が収まっても味覚がなくなってしまうのではどちらが辛いのかわからないよね…という医師の意見があるようです。
難しい所ですね…。因みに半分にしたり、頓服で飲む場合の副作用は用量依存なので減るみたいですね。
参考程度にインタビューフォームの動態を載せます。Cmaxに至るのが比較的短いので、もしかしたら頓服でも効果を感じるかも!?ですが、あまり期待は出来ないかな…というところが正直なところです。

副作用は?一度出てしまった副作用は改善するのか?
リフヌアの副作用で多いのが味覚不全(36.2%)、味覚消失(13.6%)、味覚減退(5.3%)、味覚障害(9.5%)など圧倒的に味覚に関するもので、その他として口腔乾燥(5.3%)、悪心(3.7%)で有害事象は85.6%、そのうち21%は中止に至ったようです。

味覚異常は大体3日以内に起こり、平均値は9日くらいだそうです。用量依存的に起こりやすくなります。


何故このような特異な副作用が出てしまうのか?
メーカーに聞いたところ、作用機序である迷走神経に作用することに起因するようで、味覚も迷走神経が関係しているためこのような副作用が出てしまうようです。
失った味覚は中止すれば戻ってくる?
味覚異常が多いリフヌアですが、中止すればほとんどの場合は味覚は戻ってきます。14日までに54.6%、14日以降16.8%、最終投与まで24.6%を合わせても96%の人が戻ってきます。

今後はどのように使われていく薬か?
メーカーによると、現在は呼吸器内科を中心に情報を出していて、14日処方なのもあり、そちらでエビデンスを積み重ねていき、その後はその結果をふまえて一般内科等にも紹介していきたいと言っていました。
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