レバチニブ(レンビマ)の適応に次々と適応が追加になり、更にそれぞれ使い方が微妙に異なり、通常の業務でも混乱しつつあるので、適応と使い方に関してまとめてみたいと思います。
レンバチニブ(レンビマ)とはどういった薬か
抗がん剤です。
レンバチニブ(レンビマ)は、VEGFR1~3やFGFR1~4などの受容体チロシンキナーゼに対する選択的な阻害活性を有しており、腫瘍血管新生や悪性化を阻害することにより、各種癌に対する治療効果が期待されています。下記の図は肝細胞癌に対するレンバチニブ(レンビマ)の作用機序です。


簡単に言ってしまうと、癌細胞を更に悪化させたり、癌を大きくする栄養補給になっている血管を新しく作るのを中断させて栄養不良にして退治してしまおうという薬です。
適応はどんなものがあり、いつごろ通ったのか
2015年3月 切除不能な甲状腺癌
2018年3月 切除不能な肝細胞癌
2021年3月 切除不能な胸腺癌
2021年12月 がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌
2022年2月 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

当薬局では現在甲状腺癌と肝細胞がんの患者さんに処方されています。
それぞれの適応に対する使用方法と注意点
まず大きな注意点として必ずチェックしておきたいのが、開始用量と併用薬です。
- 子宮体癌と腎細胞がんでは必ず20㎎から開始する
- 甲状腺癌と胸腺癌では24㎎からの基本開始となる。
- 子宮体癌と腎細胞がんではペムブロリズマブ(キイトルーダ)が必ず併用されていることを確認する。
- 肝細胞癌では4㎎の適応のみで10㎎の適応が通っていないため、10㎎を使用するように用量になることはない
- 肝細胞癌では体重に応じて用量を変える。60㎏以上であれば12㎎、60㎏未満の場合は8㎎であることに注意する。

なぜ子宮体癌と癌細胞がんでは20㎎からのスタートかというと、キイトルーダを併用する都合上、安全性を考え、20㎎からのスタートで臨床試験を行うように国からの指示があったようです。
注意すべき副作用とは?
43例中、高血圧 37 例(86.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群34例(79.1%)、食欲減退33例(76.7%)、疲労31例(72.1%)、蛋白尿 25 例(58.1%)、口内炎 24 例(55.8%)及び下痢22 例(51.2%)です。

因みに当薬局では尿酸値高値でCTCAEの基準にかかり、休薬・減量になった方はいましたが、他の方は薬剤追加で何とか継続できています。
それぞれ高血圧であれば降圧剤、ハンドフット症候群であれば保湿剤、口内炎であれば口内炎治療薬がありますが、下痢の場合は注意が必要です。
レンバチニブ(レンビマ)のみの副作用であればロペラミド(ロペミン)の使用も問題ないようですが、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)が併用されている場合、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)からの下痢の可能性も否定できないため無闇にロペラミド(ロペミン)を使用することが出来ません。
何故、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の下痢にはロペラミド(ロペミン)が使えないのか
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)のような、免疫チェックポイント阻害薬の副作用として現れた下痢にはロペラミド(ロペミン)は効きません。免疫による大腸炎なのでステロイドを使わないと止まりません。風邪に因るものやレンバチニブ(レンビマ)によるものの可能性もありますが、素人では判断できません。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用としての下痢は、1日20回もトイレに駆け込むことがあります。さらに、血便や粘液便が出たり、トイレまでの抑えがきかずに便失禁したりしてしまうこともあるため、早い対応が必要です。
こちらの記事を参考にしました。↓とても免疫チェックポイント阻害薬に関してわかりやすく書いてあるので一読する価値があると思います。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用対策 早期発見・早期対応のために必要なチーム医療

薬剤師が介入できるポイントはあるか
テレフォンサポートは出来るか?
近年薬局でのテレフォンサポートを行っている薬局もあるかと思いますが、がんセンター等の門前薬局などではペムブロリズマブ(キイトルーダ)が3週に一度の投与、レンバチニブ(レンビマ)が連日投与の為、その3週間の間にテレフォンサポートを行って介入しているとのことです。
肝細胞癌で4㎎でも副作用が出た場合には休薬期間を空けながら飲む方法がある
添付文書に記載はないそうですが、肝細胞癌で4㎎でも副作用が強く出て中止せざる負えない状況になった場合は、5投2休(5日飲んで2日休む)飲み方もあるようで、そういった提案を医師側に行ってもいいとのことでした。

メーカー情報です。詳しいことはメーカーに確認してください
最近は初回から院外で処方されるケースも増えてきているとのこと
基本的には副作用等が出やすい薬の為、入院時での開始を推奨しているようですが、高血圧程度であればそれほど問題はないだろうとの判断で初回から院外処方にしてくるケースも増えてきているとのことでした(メーカー情報)
その場合は私達薬局薬剤師がしっかりと副作用も含めてしっかりと説明しないといけないため、今回色々調べて勉強してみました。参考になれば幸いです。
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