ニトロペン舌下錠0.3mgをご存じでしょうか?
私の働いているクリニックでは、医師に代行して薬剤師が処方をたてる(医師の指示に従って処方内容を記載する)ケースがあります。
先日、外用薬なのか内服薬なのかわからずに困ってしまい、調べたことを記事にまとめました。
処方入力の際に迷った方の参考になれば幸いです。
- ニトロペン舌下錠とはどのような薬か
- ニトロペン舌下錠は実は後発品
- ニトロペン舌下錠は内服薬か外用薬か
- ニトロペン舌下錠はどのように処方をたてるのが正解か
- ニトロペン舌下錠は1度に何回まで処方可能か
ニトロペン舌下錠は狭心症の薬?どんな時に使う薬なの?
ニトロペン舌下錠の効果・効能とは
ニトロペン舌下錠の成分はニトログリセリンです。
ニトロペン舌下錠には、心臓の血管を拡張させ、心臓に血液や酸素を供給するとともに、全身の静脈血管の抵抗を減らして心臓の負担を軽減させる作用があるためです。
ニトロペン舌下錠の使用方法とは
飲み込むのではなく、舌の下から薬剤が吸収される点に注意ですね!
ニトロペン舌下錠の副作用や注意点とは
発作時に追加投与した場合でも、1回の発作に使用できる上限は3錠までであることに注意しましょう!
類似薬である、ミオコールスプレーを立ったまま使用し、後ろに倒れて救急車で運ばれた患者さんに会ったことがあります。
PDE(ホスホジエステラーゼ)5阻害薬は、勃起不全治療薬や前立腺肥大治療薬として使用されています。
併用薬がないかよく確認しましょう!
じつはニトロペン舌下錠は後発品だった!先発品とは?
添付文書の商品情報のところにもはっきりと記載されています。
【参考資料】
ニトロペン舌下錠は内服薬って本当?調べてみました!
舌下錠はすごく外用薬っぽいのですが、実は内服薬であることをご存じの方はどのくらいいるのでしょうか?
私自身も外用薬?でも処方箋で全量表示はみたことないな…と色々戸惑いました。
詳しく見ていきましょう!
ニトロペン舌下錠は内服薬として薬価収載されている
少し見にくいですが、ニトロペン舌下錠は「内用薬」として薬価収載されています。
※内服薬と内用薬は同義の単語として現在使用されています。
薬を「どこからからだに入っていくか」で分類すると、大きく「内用薬」「注射薬」「外用薬」の3つに分けられます。
内用薬は、口からのみ込み、胃や小腸で溶けて吸収される薬です。「内服薬」「経口薬」「のみ薬」などとも呼びます。
薬を飲む。薬の入口とその種類 からだを旅する薬のこと Vol.1|住友ファーマより引用
内服薬なんですよ、でも添付文書にもどこにも記載がありません。
薬価収載基準表にのみ内服薬であることが記載されています。とてもわかりにくいですね…。
統合失調症に用いるシンクレスト舌下錠も内服薬として薬価収載されています。東京都にある平川病院さんのブログにも記載されていました↓
本で調べたい方はこちら↓定価4180円です。
バッカル錠やトローチは内服それとも外用薬?
舌下錠が内服薬なら、バッカル錠やトローチはどうなのでしょうか?
SPトローチが外用薬であることが有名なため、舌下錠も外用薬だと思っていた人も多いのではないでしょうか?
舌下錠を飲み込んでしまったら効果はあるの?
舌下錠を飲み込んでしまった場合のデータを探すことはできませんでした。
また、あえて舌下錠にしているのは肝臓での代謝(無効化)を避けたり、胃での分解を避けるためと考えられるため、効果はかなり落ちてしまうと推測されます。
飲み込んでしまうと、消化管で分解されたり、肝臓で代謝されてしまうため、効果がなくなったり、効き目が遅くなる場合があるため、注意が必要です。誤って飲んでしまったら、薬によりますがもう1錠追加投与する場合があります。ニトロペン舌下錠は、飲み込んでしまうと肝臓で代謝されて効果がほぼ失われるので、すぐにもう1錠舌下投与して構いません。
ニトロ舌下錠を患者が飲み込んだ。もう1錠追加すべき? Aナーシング|日経メディカルより引用
ニトロペン舌下錠はどのような処方入力が正解か?
ニトロペン舌下錠が内服薬であることはわかりました。
それでは1日?回、それとも頓服で処方する薬なのでしょうか?そしてどのくらいまでなら処方可能なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!
ニトロペン舌下錠は頓服で1回量を記載する
例ですが、以下のような感じになると思います。
※見たことのある処方箋の書き方を真似て記載してみました。
ニトロペン舌下錠0.3mg 1錠
[用法]胸痛発作時 舌下 14回分
ニトロペン舌下錠0.3mg 1錠
<内服頓服(頓用)>
胸痛時 14回分
外用剤ではないので、全量表記でないことに注意しましょう!
ニトロペン舌下錠は1回に14回までなら処方可能
それ以上は1日1回などの定時薬として処方記載が必要ですが、ニトロペン舌下錠の場合は発作時の薬のため、やはり14回までが限度であると考えられます。
ニトロペン舌下錠は毎日飲んでも大丈夫?
「ニトロペン舌下錠を連日服用したいから、もっと欲しい!以前のクリニックでは出してもらっていた!」と主張する方がいたため、そんなに服用してもいいものかと疑問に思い調べてみました。
結論としては、主治医が許可するようであれば問題ありません。
1回の処方につき頓服14回分までしか出せませんが…。
血中濃度的にはすぐに消失する
ニトロペン舌下錠を連日服用していて不安のある患者さんに対する医師の回答では、以下のように記載されていました。↓
ニトロで痛みがとれるならば、躊躇うことなく、ニトロをお使いください。消費量が多すぎてもご心配は要りませんが、気になるのでしたら、現在、服用しているアイトロールの飲み方を変更するか、テープ剤などの他の薬物に切りかえるか、してもらっては如何でしょうか。
ニトロの使用回数が多く、不安|疾患別解説|日本心臓財団
発作頻度の上昇は症状が悪化している可能性もある
しかしながら、ニトロペン舌下錠を連日服用しなければならない状態自体が問題であるケースもあります。
因みに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の広がりで、以前よりもニトログリセリン製剤自体の処方は減っているようです。
まとめ
ニトロペン舌下錠を私の勤務先で希望された方がいたのですが、そもそも内服薬なのか、外用剤なのか戸惑い、処方入力に自信が持てませんでした。
さらに30日分を希望されたのですが、頓服薬なので30日処方は難しいことを説明しても理解されず、トラブルになったため今回色々調べてみました。
これらの情報が参考になればと思います。
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