この記事は、子どもが小児リウマチ(若年性特発性関節炎JIA)になってから思うことを、時々書き綴る場所にしたいと思っています。
医療従事者であれば、子どもが難病にかかっても不安にならずに受け入れられるでしょうか?
そんなことはありません。ほかの方と同じように悩み、受け入れるのに時間がかかります。
むしろ医療従事者だからこそ陥ってしまう罠があるな…と最近感じており、実際に主治医やほかの医師からも指摘もされたため、自戒のために書き残しておこうと思います。
調べれば色々わかってしまうのはいいこと?
医療従事者は仕事を通じて、当たり前ですが、ある程度医療に関する知識があります。
検査値からどの程度、病気が進行しているのかなんとなくわかってしまいます。
また、医師が何を考えて発言しているのか、背景がわかってしまうこともあります。
資料の探し方もわかってしまう
インターネットの情報は玉石混合です。
ブログを運営している私が言うのも何なのですが、ブログや小町、X(旧Twitter)の情報は誤っていることもありますし、情報によって却って不安になってしまうこともあります。
では医師が見るようなガイドラインの情報や、論文、添付文書はどうでしょうか?
ガイドラインや論文の情報は正確ではあるものの、注意しなければならないことがあります。
どうしても子どもが難病にかかると、最悪の事態を考えてしまいます。わたしも自分が親になって、子どもが難病になって初めてその気持ちがわかりました。
医師や医療従事者向けの情報は、一般向けの情報よりも詳細に記載されていることが多く、わかりすぎてしまい、不安が増強されてしまうのです。
わが子の症状や薬の副作用がそこまでいくかどうかもわからないのに、自分で自分を煽り、不安のループに入り、疲弊してしまっていました。
主治医を信じ、調べすぎないようにしよう
色々わかりすぎてしまうがゆえに、病室で毎回検査値や主治医の話を聞いて、凍っている私に対して、先生から言われました。
君も見たことがあるからわかると思うけど、自己判断で薬を中止したり、民間療法にいくのだけはやめてね。
医療従事者でも一般の方でもよくあることなのですが、治療に対する不安や主治医に対する不安から、従来型の治療を否定し、民間療法にのみ頼ってしまう方がいます。
不安で民間療法に頼ってしまいたくなる気持ちが、今回のことでよくわかりました。
不安になったら、危険な道にいくまえに相談して。なんでも答えるから。
たまたま改善したケースがあるかもしれませんが、結果論です。リスクの高い道なので、エビデンスが蓄積されている従来型の治療を主治医とともに継続していくのが正解です。
高名な医師でもわが子のことになると悩んで迷う
たまたまプライベートの忘年会で先日お話しした先生が、小児心臓外科医をされている方でした。
色々なお話を伺う中で、先生のお子さんが心臓の疾患を持って生まれてきてしまい、手術を受けていたことを聞きました。
仕事ではたくさんの子供の手術をしてきている先生でも、「わが子が手術を受けないといけないと思うと動揺し、インターネットで色々調べて落ち込み、最悪の事態を想定してわが子のケアのために仕事を辞めようか悩んだ」とおっしゃられていました。
「手術の同意書を色々な人に書いてきてもらったけど、わが子の同意書を書くときにはじめて、こんな気持ちだったのかと心から理解できた。」ともおっしゃっていました。
私自身もわが子が病気になって初めて患者さんの気持ちが理解でき、いままで行ってきた仕事が恥ずかしいなと感じるようになりました。
もっと患者さんの気持ちを理解できる医療従事者になれるよう努めます。
子どもは元気で回復力の塊!勇気をもらった言葉
こども病院の先生からも、先日お話しした小児心臓外科医の先生からも言われた言葉ですが、私自身が勇気と元気をもらったので、ここに書き残したいと思います。
子どもの身体は元気いっぱいで回復力がすごい!高齢者とはまったく違う
医療従事者が普段接する患者さんのほとんどが高齢者です。
例えば、高齢者の場合は腎機能に影響の出やすい薬であっても子供の臓器は元気なので、ほとんど副作用が出ないようです。
これは抗がん剤やほかの薬も同様で、大人と同じ用量で薬を飲んだとしても、副作用がでないことが多く、回復力も高いので、最近の治療では高用量を投与して早めに治療するのが主流になりつつあるようです。
大人では完治や寛解しないような病気であっても、子どもの場合は完治や寛解までいきやすい病気もたくさんあるとのことでした。
生まれた時に疾患を抱えていても、手術したあとは自分で組織を成長させ、その後は手術が必要なく、健常者と変わらない生活ができる場合も多いと聞き、驚きました。
最後の砦だと思って頑張っている先生方
こども病院の先生方は本当に親身になって話を聞いてくださり、地域のクリニックではありえないくらい、たくさんの検査をおこなってくれました。
僕たちは最後の砦だと思っているから
小児科の医師が年々減少する中、あえて小児の難病や難しい疾患の治療を行い続ける先生方は「自分たちが最後の砦」という気持ちで日々診療にあたっているとのことでした。
失敗すれば親から責められたり、訴訟されたりのリスクがある中、そのような思いで続けられている先生方には本当に頭が下がります。
「不安になったら、変な方向に行く前に聞いてほしい。自分のことよりも子どものことを思って心配するのは当然だし、最悪の事態を想定するのも当たり前だし、むしろ親にはそうであってほしいと思っている。そんな親御さんの話を聞くのは好きだよ。一緒に頑張っていきましょう。」
上記のように言われ、私は肩の荷が下りた気がしました。
私に小さな夢ができました
ここ数年、薬剤師として、医療従事者として、このままでいいのかなという思いが拭いきれず、色々な副業に手を出してみたり、ブログをはじめてみたり、本を読んだりしてきました。
私も40歳になり、人生も残り半分だな…と感じることが増えてきたためでしょうか?
社会貢献がしたい
残り半分の人生をどう過ごすかですが、「さまざまな形で受けてきたご恩を、そろそろ社会に還したい」と感じています。
そしてわが子が難病になってさまざまな人に助けてもらい、さらにその思いが強くなってきています。
どのような形で還していくのかはいまだ検討中ですが、薬剤師として給料をもらって社会に還元する以上に、もっと還元できる方法を探していきたいと思っています。
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