メプチンエアーは咳止め?単なる風邪で使用しても効果があるの?副作用は心配ない?

メプチンエアーは咳止めなのでしょうか?

一般的な鎮咳薬(咳止め)として知られるメジコンフスコデや痰切りが出荷調整の影響で手に入らなくなっています。

そのため、風邪の咳止めとして気管支拡張薬(SABA)であるメプチンエアーを処方する医師が出てきています。

喘息以外の風邪による咳でもメプチンエアーは効果があるのでしょうか?

疑問を感じたので調べてみました。

かばこ

気管支を広げる以外の作用が私が知らないだけで、メプチンエアーにはあるのでしょうか??

この記事をよんでわかること
  • メプチンエアーとは?
  • メプチンエアーの効果・効能
  • メプチンエアーの副作用
  • 咳の種類とは?
  • メプチンエアーに咳止めの効果はある?
目次

メプチンエアーとはどのような薬?

メプチンエアーとはどういう薬なのでしょうか?

メプチンエアーは、短時間作用性β2刺激薬(SABA)のプロカテロール塩酸塩水和物が配合された薬剤です。

気管支にある交感神経を刺激することで気管支を広げて呼吸を楽にするのが交感神経のβ刺激薬です。

「エアー」はエアゾールの意味で、薬剤を噴霧させ吸入するタイプの薬を指します。

β2刺激薬には、長時間作用性のものと、短時間作用性のものがあります。

  • 長時間の方は、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」として使います。
  • 短時間の方は、発作時にすぐに症状を抑える「リリーバー(発作治療薬)」として使用します。

メプチンエアーは、「リリーバー」にあたる薬です。

メプチンエアーの適応症、効果・効能とは?

添付文書には、以下のように記載されています。

気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

メプチンエアー添付文書

さらに、注意事項として、以下の記載もあります。

本剤は喘息発作に対する対症療法剤であるので、本剤の使用は発作発現時に限ること。

やはり、正式な使用方法は、喘息などの炎症などが原因で気管が狭窄する病気に対して、発作時の気管支を広げる薬であるようです。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の、入浴や運動などの前に吸入して息切れを防ぐ、アシストユースとして使用します。

※「慢性気管支炎」と「肺気腫」は、最近では「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれる場合があります。

使いすぎても大丈夫?メプチンエアーの副作用とは

メプチンエアーでおきる副作用はどのようなものがあるのでしょうか?

メプチンエアーでもっとも気になる副作用は動悸!

メプチンエアーでおきる頻度が高い副作用として、動悸、頭痛、震え、ふらつきなどが報告されています。

メプチンエアーは前述したように、交感神経のβ2受容体を刺激することで気管支を広げる薬ですが、完全に気管支のみに効かせるのは難しく、他の部位に効いてしまうと副作用として症状が現れてしまいます

これらの副作用は使用頻度が多いほど出やすくなります。

用法用量を守るとともに、これらの副作用が出るようであれば、主治医や薬剤師に相談したほうがよいでしょう。

メプチンエアーは1日に何回まで?

1 回の吸入量
成人2 吸入
小児1 吸入
メプチンエアー10μg 吸入100 回/患者向医薬品ガイド

1日の吸入回数は最大4回(原則として成人8吸入、小児4吸入)までです。

効果が不十分な場合はどのくらいの時間をあければ追加可能?

成人の場合は、効果が不十分であれば 1時間まで20分おきに吸入を繰り返し、以後は1時間に1回を目安に吸入して下さい。

小児の場合は、1~2時間後に吸入を追加してください。2 回目の吸入後も呼吸困難が残存している場合は、医療機関を受診して下さい。

メプチンエアー使用後にうがいは必要?

吸入後、口腔内に付着した薬剤を、唾液と一緒に飲み込むことにより、動悸や振戦のような全身性の副作用が発現するおそれがあります。

この全身性の副作用を軽減するために、うがいをお勧めします。

メプチンエアーはアルコールに敏感な人は注意!

メプチンエアーには、添加物としてアルコールの一種である無水エタノールが使用されています。

アルコールに敏感な方は主治医や薬剤師に相談しましょう!

メプチンエアーは長期で、頻回に使用しても問題ない?

喘息発作の頻度は月に1回程度、それほど頻回に使用しない場合はメプチンエアーのみの喘息治療が行われる場合もあります。

しかしそれ以上の頻度の場合は、ステロイド吸入(ICS)の併用が推奨されています。

メプチンエアーなどのSABAだけを使用していると徐々に効きづらくなってしまいます。

それは気管支にあるβ2受容体という吸入剤が作用する部分があるのですが、たくさん刺激するとそのβ2受容体がどんどん減っていってしまうためです。

気管支喘息発作が起こったときにβ2刺激薬が効かないと、呼吸状態を改善させられずに命にかかわることも十分ありえます。

ちなみに吸入ステロイド(ICS)を同時併用していると、β2刺激薬を使用してもβ2受容体の数は減りづらいことがわかっています。

気管支喘息の治療(長期管理)|角田医院分院より抜粋
スウェーデンでおこなわれたメプチンエアーなどのSABAの過剰使用に関しての大規模調査

また、スウェーデンで行われたSABA過剰使用に関する大規模な調査によると、35万人以上の喘息患者を対象としたこの調査では、喘息患者の3分の1でSABAが過剰に使用されていた報告しています。

そして、SABAの過剰使用により死亡リスクが増加していました。

ここでいう過剰使用の定義は、1年間でSABA吸入器を2缶以上、つまりSABAを週に2回以上、年間を通して使用することとしています。

かばこ

使用頻度が高い場合は、呼吸器内科の専門医に相談したほうがよいでしょう。

メプチンスイングヘラーとの違いは?

メプチンスイングヘラーはドライパウダー式の吸入です。

ある程度の吸気速度が必要なため、およそ4~5歳から使用できると考えられます。

また、アルコールが添加されていないため、アルコールに過敏症がある方はこちらのほうがおすすめです。

製剤名メプチンエアーメプチンスイングヘラー
分類加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)ドライパウダー定量吸入器(DPI)
同調必要不要
吸入方法ゆっくり深く吸い込むはやく吸い込む
空噴霧初回のみ 2 回空噴霧が必要不要
使用前の振とうよく振る不要
注意点・アルコールを含む・噴霧と吸入との同調が必要 ただし、吸入補助具(スペーサー)を 用いることで、
・同調が不要
・口腔内への薬剤の付着軽減
・乳幼児にも使用可能
湿度の影響を受けやすい
メプチンエアーQ&A|大塚製薬を参照に作成

咳(咳嗽:がいそう)にも色々ある!咳の種類とは?

咳は外からの異物に対する防御反応です。

肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応が咳(咳嗽:がいそう)です。

咳にはまた、気道にたまった痰を外に排出する役割もあります。

咳(咳嗽:がいそう)は、風邪によるものから、アレルギー性のもの、肺がんなど重い病気があるものまでさまざまです。

原因となる病気にかかってから3週間以内に収まる咳(せき)を急性咳嗽と呼び、3週間以上続くものを遷延性咳嗽、そして8週間以上を慢性咳嗽と呼んでいます。

咳(咳嗽:がいそう)の種類は「3週間」が分類の目安

以下に咳(咳嗽:がいそう)の種類をまとめました。

期間原因
急性咳嗽3週間未満風邪、インフルエンザ、急性気管支炎など
遷延性咳嗽3週間以上喘息、COPD、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、胃食道逆流症、慢性気管支炎など

メプチンエアーは咳止め?風邪による咳でも効果はある?

上記で説明したように、風邪の咳は3週間以内におさまる咳のことを言います。

結論から言いますと、のどの炎症や単なる生体防御反応の咳には効果がないと考えられます。

気管支ぜんそくや気管支炎が原因の咳には効果がある

もともと気管支炎になりやすかったり、咳喘息や気管支喘息などを過去に診断されている、気管支の炎症が原因でおこる咳の場合には、メプチンエアーを用いて、気管支を広げることで効果を発揮する可能性が高いです。

逆に、メプチンエアーを用いることで咳が緩和するようであれば、喘息のような状態になっている可能性が高いです。

頻回にメプチンエアーを使用しなければ咳が止まらない場合、単なる風邪と過信せず、早めに呼吸器内科専門医を受診したほうがよいでしょう。

鼻水が原因、のどの炎症が原因の咳には効果がない

鼻水がのどの入ることによる咳、のどの炎症が原因による咳には効果がない可能性が高いでしょう。

メプチンエアーホクナリンテープなどの気管支拡張薬は風邪薬ではないとはっきりコメントされているクリニックのHPを以下にいくつか集めてみました。

これらのクリニックのHP記載内容に、咳止めとして気管支拡張剤が効くかどうか調べた論文を読まれた方の記載がありました。

原著論文は発見できませんでしたが、それらの論文では、咳止めとして気管支拡張剤を処方すると咳止め効果は認められず、薬の副作用が認められたとのことです。

メプチンエアーとホクナリンテープ(ツロブテロール)との違い

ホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)に関して、詳しくは別の記事でまとめていますが、この記事でも簡単に解説します。

ホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)は1日に1回の貼り薬で、小児の気管支炎などで主に使用されています。

メプチンエアーホクナリンテープ(ツロブテロール)はともに交感神経興奮薬であり、気管支を広げる作用があります。

両者は作用時間に大きな違いがあります。

メプチンエアー速やかに効果が期待できるが、持続性に乏しい
ホクナリンテープ(ツロブテロール)十分な効果がでるまでに時間がかかるが、効果は長い時間持続する

ホクナリンテープに関しては以下の記事を参考にしてください。

まとめ

出荷調整の影響で咳止めの薬が手に入りにくくなっています。

苦肉の策でメプチンエアーなどを処方する医師がいますが、やはりどの資料をさがしても、単なる風邪の咳にメプチンエアーなどの気管支拡張薬が効果があるとの記載を発見することはできませんでした。

メプチンエアーは呼吸器内科の専門医がよく熟慮したうえで処方すべき薬だと思います。

安易に他科で処方されている場合は、本当に喘息などの気管支に関する病気をもっているのかどうか確認してみたほうがよいかもしれません。

慢性咳嗽の治療薬であるリフヌアに関する記事はこちら↓

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