医療従事者からすると、マグミット錠は全ての科で処方される、超有名な下剤で、今更取り上げるほどのものでもないのですが、仕事をしていると頻繁に患者さんから質問を受けるので、色々まとめてみる事にしました。
超有名だからこそ、医師もあまり飲み方を説明しない人が多いようで、投薬時に薬剤師に聞いてきます。
高齢者になると、3人に1人くらいは飲んでいる印象です。
マグミット錠とは?
成分は酸化マグネシウムです。
制酸・緩下剤に分類されます。
マグミット錠の適応と効果・効能
添付文書では適応や効果・効能は以下のように記載されています。
下記疾患における制酸作用と症状の改善
マグミット添付文書
- 胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)
- 便秘症
- 尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防
先程も記載したように、ほぼ便秘薬(下剤)としての使用がメインとなっています。
マグミット錠の規格と用法用量
マグミット錠の規格は200㎎、250㎎、330mg、500㎎の4種類があります。
用法用量に関する添付文書上の説明です。
- 制酸剤として使用する場合
酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.5〜1.0gを数回に分割経口投与する。
- 緩下剤として使用する場合
酸化マグネシウムとして、通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与する。
- 尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防に使用する場合
酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.2〜0.6gを多量の水とともに経口投与する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
マグミット添付文書
マグミット錠を服用する殆どの方が、緩下剤(下剤)として使用されると思うので、2gまでは飲んでも健康上問題ないとされています。
各規格に応じたマグミット錠の飲んでも問題ない錠数を表にしてみました。
マグミット錠200㎎ | 10錠を1日3回に分けて または寝る前に1回 |
マグミット錠250㎎ | 8錠を1日3回に分けて または寝る前に1回 |
マグミット錠330㎎ | 6錠を1日3回に分けて または寝る前に1回 |
マグミット錠500㎎ | 4錠を1日3回に分けて または寝る前に1回 |
マグミット330㎎が体感としては一番出ている規格ですね。
あまりにも何錠までなら良いのか、飲みすぎちゃったけど大丈夫?などの質問が多いので、まとめてみました。
マグミット錠の副作用
添付文書上は頻度不明ですが、下痢と高マグネシウム血症ががあがっています。
マグミット330㎎が効きすぎて下痢になっているだけなので、中止したり、量を減らせば治ります。
高マグネシウム血症とは?
血漿マグネシウム濃度が上がりすぎることによっておこることがあります。
症状としては、悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠等などが起こり、
呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることがあります。
高齢者等で腎機能が落ちている方は、稀に起こることがあるため、注意が必要です。
高マグネシウム血症の起きやすい条件(補足)
健康な腎臓は2g程度の排泄能力があるので、大量のマグネシウムを摂取しなければ、高マグネシウム血症になることはありません。
しかし、腎機能低下、加齢、脱水、甲状腺機能の低下などで不要なマグネシウムを排泄することができなくなると、血中マグネシウム濃度も上昇します。
山内医院
高マグネシウム血症に注意が必要な検査値の目安(補足)
高マグネシウム血症は、軽度では症状が出現しませんが、血清マグネシウムの値が5mg/dlを超えると、嘔吐や筋脱力、傾眠、徐脈、低血圧などがみられ、12mg/dl以上になると、意識混濁 ・消失や呼吸筋麻痺が生じ、心停止に至ることもあります。
マグミット錠と併用注意薬
色々あるのですが、一番注意が必要なのが、抗生剤との併用です。
テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ミノサイクリン)やニューキノロン系(シプロフロキサシン、トスフロキサシン等)と難溶性のキレートを形成(くっついてしまう)、吸収させなくしてしまうので、同時に服用しないように注意が必要です。
テトラサイクリン系とか言われても、よくわからないと思います。
マグミット錠を飲んでいるときに抗生剤がでたら、薬剤師に飲み合わせが問題ないか確認してみてください。
抗生剤とマグミット錠はどのくらい時間を空けたらよいか
マグミット錠の効果的な飲み方とは
そのため、服薬すると重炭酸塩となり便に混じり、腸内の浸透圧を高めて腸内へ水分を引き寄せ、便を膨張させます。
それにより、優しく腸を刺激して排便を促す作用があります。
高齢者は喉の渇きを感じにくく、もともと水分摂取が少なめの方が多いです。
また、夏場は脱水気味になるので、「気持ち多め(コップ1杯180㏄程度)に水分を取ること」が、マグミット錠を効果的に使用する方法です。
マグミット錠はどのくらいで効果が出てくるのか?効果の時間は?
インタビューフォームに記載されていた、マウスでの実験結果では、大体2~8時間で効果が出るようです。
人間でも、大体このくらいの印象ですね。
寝る前に飲んで、朝方、便が出てくる感じですかね。
マグミット錠に関するQ&A
よく患者さんから聞かれる質問と答えをまとめてみました!
マグミット錠330を1回に2錠飲んでしまった!
「マグミット錠の規格と用法用量」にも記載したように、マグミット330錠は1日6錠までは問題ないので、1回2錠飲んだ程度では、少し便が緩くなる程度で、大きな影響はありません。
マグミット錠を飲みすぎても問題ない?毎日飲んでもいいの?高マグネシウム血症にならないか心配
「マグミット錠の副作用」でも記載したように、腎機能が正常な場合は、通常1日2g程度までは問題ないとされています。
腎機能が医師から注意を受けるくらい落ちていなければ、毎日飲んでも問題ありません。
既に医師から腎機能低下の注意喚起を受けている場合で心配な場合は、主治医に相談してみて下さい。
マグミット錠を飲んで下痢してしまった!続けるべきか。
医師の処方で1日3回などの指示が書いてある場合は、きっちり飲まないといけないと思って下痢しても頑張って飲んでいる患者さんがいます。
医師が「便の調子に合わせて調節していいよ」と言い忘れただけなケースがほとんどです。
下剤として処方されている場合は、基本的に便の調子に合わせて調節して構わないので、下痢になってしまった場合は減らして問題ありません。
腸閉塞や頑固な便秘でトラブルになったことがある、医師から必ず飲まないといけないといわれた場合は飲み続けてください。
心配な時は、次回受診時、マグミット錠を減らして飲んでいることを報告すれば大丈夫ですよ!
マグミット錠で効果を感じないのですが?
飲んだらすぐ効果がでると勘違いされている患者さんが多いのですが、検査時に渡される液体タイプの下剤を除いて、下剤は一般的に効果が出るのが遅めです。
「マグミット錠はどのくらいで効果が出てくるのか?」にも記載しましたが、マグミット錠も効果が出るのが2時間から8時間と言われています。
それくらい待ってみても、効果がでないようであれば、マグミット錠の量の相談や、別の薬剤の併用の相談を次回主治医にしてみましょう。
今はマグミット錠以外にも、優れた下剤が多種類存在します。
マグミット錠と酸化マグネシウムの違いとは?
成分は同じ酸化マグネシウムです。
効果、副作用も同じです。
マグミット錠とマグラックスの違いとは?
成分は同じ酸化マグネシウムです。
効果、副作用も同じです。
重カマとマグミット錠の違いとは?
成分は同じ酸化マグネシウムです。
効果、副作用も同じです。
ミルマグとマグミット錠の違いとは?
ミルマグは水酸化マグネシウムが主成分です。
ミルマグは1日12〜27mL(水酸化マグネシウムとして0.9〜2.1g)までの用量が推奨されています。
まとめ
すごく古く、どの科でも処方され、OTC薬で扱われているお薬なのですが、質問が多いのでまとめてみました。
OTCも含めてもっと下剤に関して知りたいという方はこちらの記事を参考にしてください↓
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