クレメジンは慢性腎不全における尿毒症毒素を消化管内で吸着し、便とともに排泄されることにより、尿毒症症状の改善や透析導入を遅らせる効果をもたらす薬です。
クレメジンは他の薬剤とは異なり、化学物質というよりも、黒色球形の穴の開いた粒子です。また、痛み止めと異なり、効果の判定の難しい薬でもあります。
- クレメジンとはどういう薬?メカニズムから解説
- クレメジンの後発品(ジェネリック医薬品)は先発品と同等か
- その後後発品は改善されたか
クレメジンとは?効果、特徴とは?

剤型として、細粒(2g)、カプセル(200mg)、速崩錠(500mg)が発売されています。
クレメジンの効果、効能
球形吸着炭は多孔質のため表面積が広く、クレメジンの1カプセル(200mg)に含まれる活性炭の吸着面積は、テニスコート1面分(200m²)といわれています。
さらに炭素骨格のもつ疎水性と、末端のカルボキシル基などに基づくイオン性が溶質の吸着に関与しており、尿毒症毒素などが吸着します。
慢性腎不全における尿毒症毒素を消化管内で吸着し、体の中で吸収されずに便とともに排出されることで慢性腎不全の保存期において尿毒症症状((食欲不振、痒み、吐き気、口臭など)の改善や、透析導入にいたるまでの期間を延長する薬です。
かばこ細粒であれば1回1包を1日3回、カプセルなら1回10カプセルを1日3回、錠剤なら1回4錠を1日3回服用します。
どのぐらい透析導入を遅らせることが可能?
資料「秋澤 忠男 他:腎と透析/45/3/00373~00388/1998」のデータによると、24週(約6カ月)クレメジンを投与した群での未透析率は、84.6%となっています。未導入群の未透析率は55.5%であることを考えると効果はでていると考えられます。
透析導入遅延(未透析率):24週の未透析率は、全症例で84.6%、投与開始時の血清クレアチニン値が開発時二重盲検比較試験の選択基準(5.0~8.0mg/dL)と同じ症例で73.0%でした。参考値として、開発時二重盲検比較試験のプラセボ群の未透析率は55.5%でした。
クレメジンQ&A|田辺三菱製薬
クレメジンは透析になったら中止する?
透析期の患者へのクレメジン投与は適応外です。
そのため、透析導入された時点で中止する必要があります。
クレメジンの特徴
通常の吸着炭(薬用炭)では、良いものも悪いものも何でも吸着してしまいます。
そのため、消化酵素の働きや栄養素の吸収を妨げるなど、さまざまな問題が起こってしまいます。
ただし、一緒に飲んだ他の薬は吸着する可能性があるため、目安として、他剤服用後30分〜1時間以上あけて飲んでください。※できれば1時間以上あけることが推奨されています。
クレメジンの副作用
便秘、食欲不振等が1~2%程度、腹部膨満感、下痢、アレルギー反応等が1%未満に報告されています。
しかし全体的には副作用が少ない薬です。



副作用よりも、飲むタイミングが難しく、飲み忘れが多くなってしまうのがクレメジンの難点です。
参考資料
クレメジンの後発品はクレメジンと効果は同等?


先発品は第一三共のクレメジンです。後発品は2社から販売されており、球形吸着炭細粒分包2g「日医工」(旧キューカル)、球形吸着炭細粒「マイラン」(旧メルクメジン)です。
しかしクレメジンのような球形吸着炭製剤は他の薬剤とちがい、体内の血中濃度が高くても効果が高いとは言えない薬です。
比較した論文と、平成21年12月25日「ジェネリック医薬品品質情報検討会」がワーキンググループを設置し、物理化学的性質やその吸着性等から後発品の同等性について検討した結果についてまとめました。
クレメジンと後発品を比較した論文の結果
比較論文では、1,試料,試薬および試液2,製剤形状の観察3,粒子径の測定4,比表面積の測定5,吸着試験が行われました。
球形吸着炭細粒分包2g「日医工」(旧キューカル)、球形吸着炭細粒「マイラン」(旧メルクメジン)は尿毒症毒素類が多く存在する分子量 300 までの低分子量物質をほぼ同等に吸着しましたが、それ以上の分子量になるに従い、クレメジンに対して有意に低くなる傾向がみられました。
また、球形吸着炭細粒「マイラン」(旧メルクメジン)の吸着除去率は,試験に用いたすべての尿毒症毒素で有意に低かったと報告されています。
少量で用いた場合、クレメジンに比べて後発品では有意に低かったとの報告もあがっています。
その結果、以下のような指摘があがっています。
今回の検討から,各製剤の物理化学的性質と吸着特性には違いがみられた.通常の活性炭の場合は内部細孔を含めた表面積が大きくなるに従って,吸着率が高くなる.球形吸着炭製剤の場合,比表面積の大きさは大きいほうから,クレメジン,メルクメジン,キューカルの順であった.
インドールはインドキシル硫酸やインドキシル硫酸クレメジン キューカル メルクメジンカリウムの前駆体であり,慢性腎不全患者ではこれらの毒素成分の血中濃度が高いとの報告がある.インドールに対する吸着除去率が生体内物質との混合溶液で低下することは,臨床上問題であると考える.
われわれが検討した in vitro 試験の結果が,直接 in vivo や臨床効果に反映するとは限らないが,これらの吸着性能が臨床効果と関係することは十分に考えられる.
「ジェネリック医薬品品質情報検討会」の試験結果
福岡県薬剤師会が「ジェネリック医薬品品質情報検討会」によるクレメジンと後発品の比較結果に関してまとめていたため、引用させていただきました。
(物理化学的性質)
比表面積は、クレメジンが最も大きく、キューカル、メルクメジンはその80%で、細孔径はクレメジン、キューカルおよびメルクメジンの順に小さくなり、直径は大きな差はなかった。各製剤の表面および内部構造が異なり、差がみられた。(吸着性)
尿毒症関連マーカー5成分(インドール、インドール酢酸、DL-β-アミノイソ酪酸、トリプトファン、インドキシル硫酸)の吸着試験を行った。
メルクメジン:クレメジンに比べて、インドキシル硫酸、インドール酢酸、トリプトファンへの吸着率がかなり低かった。
キューカル:クレメジンと比べて、インドールおよびインドキシル硫酸の吸着はほぼ同等で、インドール酢酸およびトリプトファンは低めだった。
比較論文、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」のどちらにおいても後発品、特にメクリジン(現球形吸着炭細粒「マイラン」)に対する慎重な意見がみられました。
その後、後発品の吸着性の改善はされたのか
その後、メクリジン(現球形吸着炭細粒「マイラン」)に関しては、既に製造方法の変更を行っており、変更後製剤の出荷開始時期は、細粒が平成 21 年 8 月頃、カプセルが平成 22 年 1 月頃となっています。



2026年度の現在は、改良したものが流通しているようでホッとしました。
『球形吸着炭製剤の品質等に係る報告書(第 3 報)』には、提出されたデータより、メクリジン(現球形吸着炭細粒「マイラン」)は先発品と同様に使用可能であると判断したと報告されていました。
参考資料
- 球形吸着炭製剤の先発医薬品に対する後発医薬品の物理化学的性質と吸着特性の比較
- 質疑応答|福岡県薬剤師会
- 球形吸着炭製剤の品質等に係る報告書(第2報)(案)|第 25 回ジェネリック医薬品品質情報検討会
- 球形吸着炭製剤の品質等に係る報告書(第 3 報)|第 29 回ジェネリック医薬品品質情報検討会
- 球形吸着炭細粒「マイラン」 添付文書
- 球形吸着炭細粒分包2g「日医工」添付文書
まとめ


クレメジンは他の薬剤とは異なり、化学物質というよりも、黒色球形の穴の開いた粒子です。また、痛み止めと異なり、効果の判定の難しい薬でもあります。
この記事では、後発品(ジェネリック医薬品)と先発品の違いは本当にないのか気になり、調べました。
結論としては、先発品のクレメジンと後発品である球形吸着炭細粒分包2g「日医工」(旧キューカル)、球形吸着炭細粒「マイラン」(旧メルクメジン)は、高分子に対してや、少量での使用の場合は吸着力が有意に低く、クレメジンとまったく同等とは言えない結果でした。
特に2008年の論文発表時点では、球形吸着炭細粒「マイラン」(旧メルクメジン)の尿毒素の吸着力が有意に低く、改善報告指示がありました。
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