口内炎はストレス、ビタミンなどの栄養不足、強すぎる歯磨き、噛んでしまった、薬の影響など様々な原因で起こります。軽いものであれば放っておいても大体1週間程度で治るのですが、痛いのでなるべく早く治したい人がほとんどだと思います。
今回はドラッグストアで手に入るOTC薬、病院で処方される薬、家でできる対処法などの情報をまとめてみました。

口唇ヘルペスだと以前診断されたことがある場合は、「アラセナS(成分名:ビダラビン)」というOTCの外用薬も販売されています。
まずは自宅で出来る対処法
ドラッグストアに行くのも面倒。軽い口内炎で大したことはないような気がする。という場合はまずは自宅での過ごし方で気を付ける事をお伝えします。
- ビタミン不足や栄養不足になっていないか食事を振り返ってみましょう。
- 歯ブラシが強すぎて歯茎や口の中を傷つけていないか、歯磨きの仕方は間違えていないか振り返ってみましょう。
- 口腔環境が良くないと口内炎が出来やすくなるので、歯磨きやうがいをよく行うように心がける。
- 喫煙、飲酒も口内のバランスを大きく乱すため治療が完了するまで控えましょう。

因みに禁煙した場合に口内炎が出来ると感じる人が多いようですが、これは禁煙により口内炎が出来たのではなく、タバコによって口腔粘膜が硬くなり潰瘍に気づきにくくなっていたものが、禁煙によって粘膜が正常化し自覚できるようになったためと言われています。
- 胃腸が悪いと口内炎になる事もあるので、全体的にストレスが溜まっていないか無理をしていないか生活を改めてみましょう。
- イソジンのうがい薬は殺菌作用があり、口内炎を起こしている場合は却って炎症を悪化させるのでやめましょう。(後述しますが、歯科でよく出る青い「アズレン」と言われる医薬品が入っているうがい薬は抗炎症作用があるので問題ありません)
- 刺激物(辛いもの、酸味の強いもの、熱いもの)は炎症を起こしている口内炎を悪化させるので、治るまで控えましょう。出来れば柔らかいものがいいです。

特に歯磨きの仕方、歯ブラシの選び方は重要です。
歯ブラシ
・ストレートの毛先で、「やわらかめ」や「軟毛」のナイロン製がお勧めで
す。
・口内炎が悪化したときには「超軟毛」歯ブラシに変更します。
・痛みが強く歯ブラシが使えない場合は、スポンジブラシが良いでしょう。
歯磨き剤
・歯磨き剤に含まれている泡立ち成分は、口腔粘膜を刺激します。
・口内炎ができてしまったら、ブラッシングだけでも有効です。
舌のケア
・舌苔がある場合は、舌ブラシまたはスポンジブラシで舌の奥から前方へ軽
い力で動かし、掻き出すようにして除去しましょう。必ず 1 方向で行っ
て下さい。
ハチミツが口内炎に効果がある!?
とても古い治療法のようですが、実際にステロイドより効果が高いという報告もあるようです。実際にハチミツを主体とした口内炎の塗り薬も販売されています。↓

1歳未満の乳児では「ボツリヌス症」のリスクがあるので使用できません。
ドラッグストアでOTC薬を買ってくる
とにかくちょっとでもいいから簡単に早く治したい!という人は薬に頼ってみるのもいいと思います。
医療用医薬品よりも市販薬は剤型が豊富なので、個人的には軽い口内炎であれば市販薬の方が使いやすいと思います。

ドラッグストアで売っている薬も色々種類があるのでどれがいいかとかはわからないと思います。特徴とニーズで分けてみました。
基本はステロイドの「トリアムシノロン」もしくは消炎薬の「アズレン」
どちらの方が優れているなどのデータはないようですが、大体医療現場でもステロイドが重症例、軽症例に「アズレン」が処方されることが多いです。どちらの薬剤も妊婦、授乳婦の使用も問題ないと言われています。
ステロイドのトリアムシノロンは剤型として軟膏と貼付剤があるので、軟膏だと取れてしまう、味がしない方がいい、患部を保護したいなどの場合は貼付剤がおすすめです。

医療用のステロイドには貼付剤はないので、OTC薬だけの剤型になります。
アズレンは植物由来の消炎薬で軟膏とスプレー剤、うがい薬があります。手の届きにくいところなどに口内炎がある場合はスプレー剤がおすすめです。

医療用にはスプレー剤がないので、OTC薬のみの剤型になります。
どっちがお勧めか?
ステロイドに抵抗があるかどうかにもよるのですが、個人的にはいずれにしても口内炎は慢性化していない限り短期使用で回復してくると思うので、ステロイドであるトリアムシノロンの方がお勧めです。

早く治したくてOTC薬を使うのだと思うので、その観点から言えばトリアムシノロンが入っている薬の方が効果があると思います。短期間の使用であればステロイドは怖いものではありません。
使用するタイミングと使い方
- 食事の前に使用してしまうとどの剤型でも取れやすくなってしまうので、食後に使用する
- 口腔内を清潔にして使用する
- 手で付ける場合は手を清潔にして使用する
- 口腔内が湿っていると付きにくくなってしまうので、少しティッシュ等で患部を拭き取ってから使用すると付きやすい
- 複数回使う場合はそのうちの1回は寝る前にすること(寝ているときが一番取れにくいです)
例えばどんな商品があるか
軟膏でステロイドのトリアムシノロンが入っています↓
医療用医薬品と全く名前も成分量も同じ商品になります↓
貼付剤でトリアムシノロンが入っているもの↓
アズレンのスプレー剤↓

個人的には軟膏は付けるのが面倒だったり、味がしたり取れてしまったりするので、貼付剤や手が汚れないスプレー剤はとても便利な剤型だと思います。
飲み薬はあるのか?
ビタミン剤やトラネキサム酸が入っている薬があります。
ビタミン剤はビタミンが不足していることが原因で起きている口内炎に効果が出る可能性があります。
トラネキサム酸は出血やアレルギーに関与するプラスミンの機能を抑えることで出血を止め、アレルギー反応や炎症反応を抑える効果があり、どちらかというと喉の痛みやシミの治療に良く使用されます。古い報告で口内炎にも効果があるというデータがあるようですが、医療現場では口内炎に出ているのは今のところ見たことがないのであまり効果としては強くないのではないかと思われます。
飲み薬の商品としてはこんなものがある
総合ビタミン剤ですが、口内炎を起こす人で特に不足していると考えられているビタミンB₁、B₂、B₆が含まれています。疲労回復や風邪の治りを早くするのにビタミン剤は効果があるともいわれているので、口内炎のみならず全体的な不調がある場合には選択肢に入れてもいいと思います。↓
トラネキサム酸だけでなく、ビタミンB₂、B₃、B₆も含まれているのでこちらも考慮してもいいと思います↓
病院に行った場合にはどんな治療が受けられるか
基本的には軽いものであれば、OTC薬と同様に、ステロイドの塗り薬、アズノール等のうがい薬、ビタミン剤を処方されることがほとんどです。それでも治りが悪い場合や免疫抑制剤、抗がん剤等の副作用による強い口内炎に対して、痛みを抑えたり、活性酸素を抑制する薬が適応外で処方されます。
トリアムシノロンアセトニド(オルテクサー軟膏、アフタッチ口腔用貼付剤)
OTC医薬品でも扱っている口腔用ステロイド「トリアムシノロン」が主成分の薬です。成分量も、商品名も同じ薬がOTC医薬品でも販売されています。
デキサメタゾン(商品名:デキサルチン軟膏)
OTC薬で主に販売している「トリアムシノロン」と同じ口腔内ステロイドですが、「トリアムシノロン」に比べ、口腔内の潰瘍を治癒するスピードが速いとされています。
アズレンスルホン酸(アズノール軟膏、ハチアズレ、アズノールうがい液)
OTC薬でも同成分のものが多数売られています。抗炎症作用があります。アズノール軟膏は口腔内にも使用できますが、口腔用には作られていないため、付着力は弱めですが、口内炎に頻回使用で処方されることもあります。
アゼラスチン(商品名:アゼプチン)
アフタ性口内炎発症にはリンパ球、マクロファージ、好中球などからの炎症性サイトカインが関与しており、アゼラスチン(商品名:アゼプチン)はこれらの細胞性免疫を抑制する効果があります。細胞膜安定化作用もあり、炎症部位で発症した活性酸素による細胞膜障害も軽減する作用があります。適応外ですが、処方されることがあります。
タマサキツヅラフジ抽出アルカロイド(商品名:セファランチン)
適応外になりますが、タマサキツヅラフジ抽出アルカロイド(商品名:セファランチン)は細胞膜安定化作用、抹消循環改善作用、抗アレルギー作用をもち、放射線による白血球減少、円形脱毛症だけでなく、口腔粘膜疾患(白板症、口腔扁平苔癬、アフタ性口内炎)などにも用いられることがあります。
半夏瀉心湯
適応外になりますが、半夏瀉心湯の成分である乾姜や黄芩の成分が、それぞれ異なる作用点を介して総和的なPGE2の産生抑制と口腔内細菌の抑制作用を示し、口内炎を改善すると示唆されています。1回2.5gを水50mlに溶かし、1日3回ほど10秒ほどうがいを行います。うがい後は30分程度飲食しないことが大切です。
キシロカイン(商品名:リドカイン)
局所麻酔薬であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(商品名:ハチアズレ、アズノール等)と混合して用いることが多いです。痛みを和らげる効果があります。
ポラプレジング(商品名:プロマック)
適応外使用になりますが、ポラプレジング(プロマック)は潰瘍のある部位にくっついて覆い、粘膜を修復する作用があり、胃粘膜だけでなく、口腔粘膜にも効果があります。フリーラジカル除去作用もあります。亜鉛を含有することから、亜鉛不足による口内炎、味覚障害の改善や組織修復の促進効果も期待されています。
ラフチジン(商品名:プロテカジン)
適応外使用になりますが、ラフチジン(商品名:プロテカジン)はH2受容体拮抗作用による胃酸分泌抑制作用に加え、カプサイシン感受性知覚神経を介して胃粘膜を防御する作用を持ちます。カプサイシン感受性知覚神経は、胃粘膜だけでなく口腔粘膜にも多く存在するため、口内炎の疼痛を軽減し、口腔粘膜の治癒を早める目的で使われることがあります。
あとがき
基本的には生活の改善や時間の経過とともに治っていく事が多い口内炎ですが、出来てしまうと煩わしいものでもあります。
少しでも早く治したい人、なかなか治らなくて苦しんでいる人の参考になれば幸いです。
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