難しい薬理的な説明はなるべく省いて効能、副作用、注意点などをまとめてみましたのでご覧ください。
カロナールの特徴とロキソニンの特徴
カロナール(アセトアミノフェン)とロキソニン(ロキソプロフェン)はどちらも痛みを和らげる「解熱鎮痛薬」です。
解熱鎮痛薬の効果は、【解熱、鎮痛、抗炎症】の3つに分けられます。
カロナール(アセトアミノフェン)の特徴
カロナール(アセトアミノフェン)は中枢に作用して痛みや発熱に効果を発揮すると言われています。
鎮痛効果としてもロキソニン(ロキソプロフェン)に比べると優しめになります。赤ちゃんから使用できる非常に安全性の高い薬のうちの一つです。
用量が幅広く調節できるため、多量に服用した場合はそれなりに効果が出ます。
1500㎎/日を超えて長期服用した場合は肝機能に影響が出る可能性があります。お酒との相性が悪いので注意が必要です。(どのくらいなら飲んでもいいという基準はとくにありません)
因みに抗炎症効果はほとんどありません。
市販薬には1回300㎎程度入っていることが多く、1日2~3回程度が推奨されています。処方としては1回400㎎程度(成人)で処方されることが多いです。
様々な市販薬に含まれており、名前が異なるので重複しないように注意
カロナール(アセトアミノフェン)の厄介な点は、市販の薬のあちこちに含まれている事です。
商品名が異なる為、気が付かないうちに多量のアセトアミノフェンを飲んでいないか、注意する必要があります。
複数の薬を服用する場合は必ず薬剤師、医師に確認を取るようにしてください。
カロナールは喘息持ちや胃潰瘍があっても服用できる?
カロナールは特に問題なく使用することが出来ます。喘息や胃潰瘍などがある場合はカロナールを選んだ方がいいでしょう。
ロキソニンの特徴
非ステロイド性抗炎症薬と言われています。
薬理的な事を言うと、シクロオキシナーゼ(COX)を阻害し、痛み・炎症・発熱の原因となるプロスタグランジンを減らすことで効果を発揮します(カロナールにはこの効果はありません)
主にカロナールは異なり、末梢神経に作用します。
【痛み・炎症・発熱】 の全てに効果があり、通常用量で使用する場合は、ロキソニンの方が痛み止めとしては効果が強めです。
注意点として、アスピリン喘息(喘息の人の中で、ロキソニン等の痛み止めを飲んで喘息の悪化があった人)の既往がある人、胃潰瘍の既往がある人は、使用することが出来ません。
胃潰瘍の既往がない人であっても、空腹時に服用すると胃にきやすい傾向はあるため、胃が弱いかも…という人は必ず胃薬を同時に服用したり、食後、少なくとも多めの水で服用した方が良いでしょう。
こちらも1日3回程度までが推奨されています。
ロキソニンと同じグループの他の代表的な薬
処方薬や市販薬でよく出る有名な薬としては、ボルタレン、イブプロフェン、ポンタール、セレコックス、バファリンなどがあります。
それぞれ強さ、作用時間に違いがありますが、同グループの薬の為、基本的には重複して服用しません。
市販で購入する場合、自分の飲んでいる薬と同じグループかわからない場合は、重複しないように購入前に薬剤師に相談しましょう。
ロキソニンとカロナール、両方飲んでも問題ない?
基本的にどちらか一方が処方されることが多いですが、併用しても問題はありません。
どちらの薬も、授乳中や妊娠中に使えるのか?

カロナールは妊娠中も授乳中も安心して使用することが出来ます。
ロキソニンは授乳中は問題ありませんが、可能な限り妊娠中は避けた方がいいでしょう(妊娠後期は禁忌とされています。使用を続けていると胎児の心臓や血圧など悪影響がでる可能性があると言われています。)
妊娠中の安全性評価基準(Aは安全性が高いという意味です)
「ロキソニン」オーストラリア基準【C】
「カロナール」オーストラリア基準【A】
妊娠中の薬に関しては書籍や情報が非常に限られるのですが、授乳中の関しては移行性が少ない為、ある程度安全かどうかのデータは公開されています。
国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」のうち、「ママの為のお薬情報」に詳しく一覧が載っています。
気になる方はご覧ください。(因みのこのセンターが日本で妊娠中の薬、授乳の薬に関する情報を集積している場所になります。)
妊娠中・授乳時の薬に関しての記事はこちら↓
小児に安全に使用できるのは?
ロキソニン及び非ステロイド性抗炎症薬は、15歳未満の小児には使用すること出来ない薬がほとんどです。
カロナールは乳幼児の段階から、体重に合わせて使用することが出来ます。
様々な剤型があり、粉薬、シロップ以外にも座薬もあります。
もしカロナールで痛みが治まらない場合には、1歳から使用できるボルタレンサポなどがあるので、大人用の市販薬をむやみに服用させず、医師に相談した方がいいでしょう。
インフルエンザの発熱時に使ってもいいのは?
インフルエンザの時に、ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬を使うと「インフルエンザ脳症」を起こす恐れがあります。
インフルエンザの疑いがある場合は使用を控えた方がいいでしょう
同じグループのボルタレン(ジクロフェナクNa)とポンタール(メフェナム酸)は、禁忌になります。
カロナールはインフルエンザの時でも安心して使用することが出来ます。
インフルエンザ脳症とは?
インフルエンザ脳症とは致死率が高く後遺症が残る可能性が高い、インフルエンザの最も危険な合併症の一つです。
主に乳幼児で起こることは多いですが、大人でも起きることがあります。
インフルエンザの予防接種で発症リスクを下げる事が出来ると言われています。
コロナワクチン後の副反応に効果があるのは?
カロナールもロキソニンのどちらも効果があり、使用して問題ありません→厚生労働省(新型コロナワクチン Q&A)
神経痛には効果はあるのか?
ロキソニンもカロナールも軽い神経痛であれば効果が出る可能性はあります。
ひどい神経痛になっている場合は、神経痛に特化した薬を整形外科などで相談した方がいいでしょう。
とくに痺れがある場合はロキソニン、カロナールは効果がない為、早めに医療機関に相談した方がいいでしょう。
以前に比べて神経痛の薬は種類が増えた
以前は神経痛の薬は1、2種類でしたが、今は4.5種類の薬(適応外も入れるともっとあると思います)が存在します。
これらの薬は市販では手に入れられない医療用医薬品に該当するため、症状がひどい場合は早めに医療機関を受診することをお勧めします。
膀胱炎、筋肉痛、腰痛、のどの痛みにも効果はあるのか?
膀胱炎: 軽度の場合、カロナールもロキソニンも、痛みの一時的な対応としては使用できると思います。
ただ、膀胱炎の原因は細菌感染であることがほとんどなので、根治するためには医療機関(泌尿器科)を受診して、抗生物質を処方してもらう必要があります。※ただし、軽度の場合は多めの水をとり、よく尿を出すことで改善されることもあります。
筋肉痛、腰痛: カロナール、ロキソニン、どちらも効果があります。
ただ、筋肉痛、腰痛程度であれば湿布薬や塗り薬も類似の成分が入ったものが沢山あるので、そちらの方が副作用が少なくお勧めです。市販でも医療用医薬品に効能としても劣らないものがたくさん売られています。
のどの痛み: カロナール、ロキソニン、どちらも効果があります。他にもトランサミンという薬も副作用がない為、よく処方されます。

ウイルス感染であれば、これらの痛み止めとせき止め、痰切などの対症療法で様子を見ることが一般的です。
1週間以上たっても改善しなかったり、悪化していく場合は別の病気や2次感染をしている可能性があるので早めの医療機関を受診しましょう。
記事を書くにあったって参考にした書籍
自分の知識と合わせてこちらの書籍を参考にしました。↓
薬の比較と使い分け100
他の参考サイト:厚生労働省HP、 国立成育医療研究センター HP、カロナール添付文書、ロキソニン添付文書
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