【薬剤師が解説!】片頭痛治療薬 エムガルディ(ガルカネズマブ)とは? 信じられない!頭痛のない暮らしが送れるかも?

薬の知恵袋

 

先日エムガルディ(ガルカネズマブ)のメーカーによる勉強会を受け、実際に使っている医師の話等を聞いたので、情報をまとめておきたいと思います。

片頭痛とは?

片頭痛は、一次性頭痛で、典型的には、

  • 片側性で拍動性の中等度から重度の頭痛発作が繰り返し生じる
  • 4~72時間にわたり発作が持続する
  • 頭痛に加えて悪心、嘔吐
  • 光過敏及び音過敏等を伴う
  • 日常動作で頭痛が増悪するため生活に大きな支障をきたす

などの特徴があります。

かばこ
かばこ

本日勉強会演者の医師によると、緊張性頭痛との誤診が多い事、これらすべての条件でなく、いくつかか該当している場合も片頭痛であることが多く、実際の診療では、一次性頭痛の8割くらいの患者さんが片頭痛なのではないかと思ったと言っていました。

なかなか治療がうまくいかない場合は専門の医師のいる頭痛外来に早めにかかることが大切だと思います。

日本頭痛学会 認定頭痛専門医一覧はこちら

出典:日本頭痛学会 HP

エムガルディ(ガルカネズマブ)の作用、副作用、特徴

CGRPを抑制する作用機序は国内初で、片頭痛薬としても20年ぶりとなります。非常に今後に期待されている薬です。販売開始が2021年4月の為、処方日数制限がかかっており、月に一度通院する必要性があります。

シリンジ型とオートインジェクター型があり、長期処方が可能になった際には最初の数回病院で練習した後、オートインジェクター型を薬局で3か月程度分くらいまとめて処方されてくるかもしれませんね。

出典:第一三共 HP

作用

エムガルディは片頭痛の起こった時に使用する薬ではなく、片頭痛の発作を抑える薬です。 「CGRP」(カルシトニン遺伝子関連ペプチドの略で、頭の硬膜、三叉神経にあり、片頭痛の発作時の血管拡張や炎症反応の直接原因になっていて、片頭痛患者ではこの物質が上昇していることが多い)という物質のはたらきを抑える「抗体医薬」というタイプの新しいお薬です。「CGRP」は、片頭痛を引き起こす主な原因物質の1つであり、これを抑えることで、片頭痛発作を起こりにくくする効果が期待されます。

出展:エムガルディ HP
かばこ
かばこ

予防薬には他にミグシス(ロメリジン)、インデラル(プロプラノロール)、デパケンR・セレニカR(バルプロ酸)、トピナ(トピラマート)、トリプタノール、呉茱萸湯などがあります。

副作用

メーカーの添付文書や説明でもほとんど発症の割合が1%以下だったため、かなり頻度は低いと思われますが、注射をした部位(お腹、太もも、腕、お尻)に痛み(10.1%)、発赤、かゆみ、内出血や腫れ(14.9%)などが生じることがあるようです。しかし多くの場合、注射した日に出現し、数日以内に消失するようです。

1%以下だったため、かなり頻度は低いと思われますが、その他の副作用として、皮膚のかゆみ、じんま疹、発疹などが報告されています。

効果、特徴

  • 片頭痛日数が減る
  • 急性期治療薬(トリプタン系などの痛くなった時に使う薬)を使う日数が減る
  • 発作時の痛みを軽減してくれる

などの画期的な特徴があります。

メーカーデータによると、月に8.6日あった片頭痛が3.6日減ることが示され、また片頭痛の頻度が50%以上減った患者さんの割合は、49.8%、75%以上減った患者さんは25.5%、100%減った(頭痛がなくなった)患者さんは9.0%にも上るようです。

勉強会演者医師
勉強会演者医師

最初にずどんと効果が出て、大体2~3カ月で十分な効果が出ます中断した後もリバウンドはなく、2~3カ月すると徐々に効果が切れてくるような感じです。 個人差はあるものの、全く効果のなかった患者さんはいなかったこと、人によっては全く頭痛のない生活を送れるようになったという人もいました。

疼痛時の頓服薬が効きやすくなった、効果が出やすくなった、頻度が減った等の報告を受けており、他の予防薬と比べても、非常に効果が高い薬と言っていいでしょう。

かばこ
かばこ

個人情報や特許の関係で勉強会で提示されたデータまではお伝え出来ませんが、大体まとめると上記のような事を言っていました。

しかしどんな人にも投与できるというわけではなく、色々条件があります。

  • 医師に片頭痛と診断されていること。
  • 片頭痛が過去3か月の間で、平均して1か月に4日以上。
  • 従来の片頭痛予防薬の効果が不十分、または内服の継続が困難な場合。
  • 妊娠中・授乳中は、十分検討した上での「慎重投与」可。
  • 18歳未満の小児は「使用不可」。

処方できる医師、施設も条件があります。

そのため、処方してもらえるかどうかは事前に確認した方がいいかもしれません。

医師側の要件としては

  • 医師免許取得後 2 年の初期研修を修了した後に、頭痛を呈する疾患の診療に 5 年以上の臨床経験を有していること
  • 頭痛を呈する疾患の診療に関連する以下の専門医の認定を有していること。(日本神経学会、日本頭痛学会、日本内科学会(総合内科専門医)、日本脳神経外科学会)

施設側の要件としては、二次性頭痛との鑑別のためにMRI等による検査が必要と判断した場合、当該施 設又は近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、必要時に適切な対応がで きる体制が整っていること。

投与方法

現在は投与日数制限が切れていないため、月に一度通院することが必要です。(2022年4月には長期処方が可能になります)

出典:エムガルディHP

使用上の注意点

投与30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温に戻しておくこと。

デメリット(欠点)

生物製剤はどれも値段が高いのである程度は覚悟していましたが、値段がとても高いです!

初回は2本の為、3割負担で27000円、その後は13500円/月となります。

長期となると迷ってしまうところかもしれないですね…。

補足:OTC薬(ドラッグストアで手に入る薬)で片頭痛は収まる?

軽度から中程度の片頭痛で、月に1回、2回くらいまでならOTC薬のNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン等)で対処することもできるようです。ただし、それ以上の頻度、月に3回以上の場合は我慢せず早めに受診することが大切です。 (本日の勉強会医師の見解)

頭痛を我慢し続けた結果、薬剤乱用頭痛を引き起こしているケースが相次いでいるようです。特にカフェイン、無水カフェインコーヒー、紅茶、緑茶のみならず、様々なOTCや栄養ドリンクにも入っていおり、注意が必要です。片頭痛を悪化させますカフェインを飲むと一瞬良くなった気がするため、続けてしまっている人もいます。)

かばこ
かばこ

本日の勉強会医師も、そういった人がたくさん来ていると言っていました。

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