エディロールは高Ca血症の副作用が多い?夏は特に注意を!ほかの活性型ビタミンD製剤との違いは?

骨粗鬆症の治療薬として頻繁に処方されるエディロール、主成分はエルデカルシトールという活性型ビタミンDです。

たかが活性型ビタミンD製剤なぜハイリスクなのでしょうか?

危険性の低い薬ではないかと思っている人も多いのではないでしょうか?

この記事ではエディロールの高カルシウム血症がおこる頻度やどのような条件で危険かなどを中心にまとめました。

この記事でわかること
  • エディロールとは
  • エディロールの副作用、高カルシウム血症がおきる頻度、危険な条件
  • エディロールとほかの活性型ビタミンD製剤との違い
目次

エディロールとは?骨粗鬆症の薬?

エディロールとはどのような薬なのか簡単にまとめました。

エディロールの適応、効果

骨粗鬆症の治療に用いられます。

活性型ビタミンD3の誘導体であり、小腸でのカルシウム吸収を助け、骨の新陳代謝を改善します。

その結果、骨密度を増やし骨を強くして骨粗鬆症による骨折を予防します。

エディロールの用法用量

通常、成人にはエルデカルシトールとして1日1回0.75μgを経口投与しますが、症状により適宜1日1回0.5μgに減量します。

エディロールの副作用

重症な副作用として高カルシウム血症、急性腎障害(頻度不明)、尿路結石(0.9%)が報告されています。

なかでも高カルシウム血症は頻度が高いため、注意が必要です。

これから以下で解説していきます。

エディロールの副作用、高カルシム血症に注意!

エディロールの高カルシウム血症はどのくらいの頻度で出ているのでしょうか?

詳しく調べてみました。

どのくらいの頻度で報告されているか

添付文書上では、以下のように報告されています。

補正血清カルシウム値頻度
11.0mg/dLを超えた1.5%
10.4mg/dLを超え11.0mg/dL以下20.3%
エディロール添付文書

医薬品医療機器総合機構(通称 PMDA)が2020年10月に出した「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」に掲載されている副作用件数は以下のようになっています。

2015~2019年におけるエルデカルシトールによる高カルシウム血症関連※の発現例数の推移 (中外製薬(株)による集計結果)

2015年2016年2017年2018年2019年
高カルシウム血症の件数200264288316315
上記のうち血清カルシウム値が定期的に測定されていなかった件数3531112
PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.13  2020年10月を基に作成

※ MedDRA PT「高カルシウム血症」又は「血中カルシウム増加」(重篤及び非重篤)

かばこ

調べてみて、想像していたよりも多く、驚きました。

定期的に血液検査が必要

エディロール等の活性型ビタミンD製剤を用いる場合には、定期的な血液検査をおこなうこととされています。

定期的な血液検査を実施せずに高カルシウム血症が生じた症例などは、医薬品副作用被害救済制度においても適正な使用とは認められず、救済の支給対象にならない場合があります。

◎血清カルシウム値の定期的な検査について

  • 本剤投与中は血清カルシウム値を定期的(3~6カ月に1回程度)に測定すること
  • 腎機能障害、悪性腫瘍、原発性副甲状腺機能亢進症の合併、カルシウム製剤の併用等、高カルシウム血症を起こすおそれのある患者さんに対しては、投与初期に頻回に血清カルシウム値を測定すること
PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.13  2020年10月

ちなみに血清カルシウム値の基準値(正常値)、高値、低値、パニック値は以下の通りです。

カルシウム値
基準値(正常値)8.6~10.0mg/dl
高値10.1mg/dl以上
低値8.6mg/dl未満
パニック値7.0mg/dl以下、12mg/dl以上
臨床検査データブック2019‐2020を基に作成

医薬品医療機器総合機構(通称 PMDA)が2020年10月に出した「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」には、高カルシウム血症の症状の確認も併せて行うように記載されています。

◎症状の確認について

高カルシウム血症の症状(倦怠感、いらいら感、嘔気、口渇感、食欲減退、意識レベルの低下等)が出たらすぐに受診するよう、患者さんやその家族へ指導すること

PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.13  2020年10月

しかし高齢者が症状に乏しく、軽度では症状がないこともあります。

いきなり情緒不安定、めまい、傾眠傾向、あるいは昏睡状態で救急外来を受診して緊急入院することがあるため注意が必要です。

どのような条件で高Ca血症はおきやすくなる?

食欲不振で十分な水分がとれていないとき夏場の脱水によって血清カルシウムが上昇する危険性が高まります。

また、腎機能が落ちている高齢者は急性腎障害をおこすリスクも高まるため注意が必要です。

まとめると、以下の条件がそろっている場合は注意したほうがよいと思われます。

  • 食欲不振で食事や水分がとれていない
  • 脱水になりやすい夏場
  • 定期的な血液検査をおこなわず、腎機能が落ちた人に漫然と処方継続されている
  • エディロールとともにカルシウム製剤も処方されている
  • サプリメントでカルシウムを摂っている

参考資料

  • エディロール添付文書
  • PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.13  2020年10月
  • ビタミンD₃製剤による急性腎障害の機序|中外製薬 医療関係者向けサイト
  • 臨床検査データブック2019‐2020

エディロールとほかの活性型ビタミンD製剤との違い

この記事では主にエディロールを中心に解説しています。

ほかの活性型ビタミンD製剤との違いに関して調べました。

アルファカルシドール(先発品:ワンアルファ、アルファロール)、カルシトリオール(先発品名:ロカルトロール)との違いは?

エディロールアルファカルシドール(先発品:ワンアルファ、アルファロール)、カルシトリオール(先発品名:ロカルトロール)との違いに関して以下にまとめました。

成分名先発品名適応特徴
エルデカルシトールエディロール骨粗鬆症骨粗鬆症に関して他の活性型ビタミンD製剤と比較して効果が高いが、副作用の発現率も高め
アルファカルシドールワンアルファ、アルファロール○下記の疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善
・慢性腎不全
・副甲状腺機能低下症
・ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症
骨粗鬆症
骨粗鬆症のみならず、小児、腎臓の機能が低下している方にも処方され、効能効果が幅広くある。
カルシトリオールロカルトロール骨粗鬆症
○下記疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、しびれ、テタニー、知覚異常、筋力低下、骨痛、骨病変等)の改善
・慢性腎不全
・副甲状腺機能低下症
・クル病・骨軟化症
骨粗鬆症のみならず、小児、腎臓の機能が低下している方にも処方され、効能効果が幅広くある。
各薬剤の添付文書を基に作成

アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)カルシトリオール(ロカルトロール)は、小児、腎臓の機能が低下している方にも処方され、効能効果が幅広くあります。

一方、エディロールは骨粗しょう症のみに適応が通っており、妊婦、妊娠している可能性のある婦人又は授乳婦は服用することができません。

効果に関しては以下のような報告があり、エディロールが他剤に比較して骨粗鬆症に関して効果が高いことがわかります。

アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール他)を対照とした第3相臨床試験(無作為二重盲検並行群間比較試験)では、エルデカルシトール投与群がアルファカルシドール投与群に比べて、3年間の新規椎体骨折の発生率が有意に低かった。

さらに、重症の被験者では骨折抑制効果がより顕著であり、一般には骨折抑制効果が表れにくい前腕骨でも骨折発現率が有意に低いことが確認されている。

『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版』(ライフサイエンス出版)では、骨密度と椎体骨折に対する推奨グレードは、アルファカルシドールがいずれもBであるのに対し、エルデカルシトールはいずれもAとなっている。

DIクイズ1:(A)ビタミンD3製剤同士の違いとは|日経DI

副作用に関していえば、エディロールは重大な副作用のところに高カルシウム血症 1.5%(11.0mg/dLを超える)、その他の副作用でも高カルシウム血症15.0%(10.4mg/dLを超え11.0mg/dL以下の場合)と記載があります。さらに前述したように、PMDAからも注意喚起がでています。

しかしアルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)急性腎障害(頻度不明)※高カルシウム血症を伴う、カルシトリオール(ロカルトロール)はどの副作用も0.1%程度の発現率かつ、高カルシウム血症に関しては「高カルシウム血症に基づくと思われる症状が多いので、このような症状があらわれた場合には、血清カルシウム値を測定することが望ましい。」との記述にとどまっています。

エディロールは他剤に比べて高カルシウム血症に注意が必要な薬であることがわかります。

おわりに

この記事ではエディロールを中心に、高カルシウム血症との関係をまとめました。

エディロールは特に高カルシウム血症の頻度が高めのため注意が必要です。

サプリメントなどで過剰にカルシウムを補充していないか確認したほうがよいと思います。

また、カルシウムの検査をおこなっているかどうか薬局でも確認し、もしもおこなわれていない場合はトレーシングレポート等を用いて検査を促してもよいのではないでしょうか?

トレーシングレポートに関しての記事はこちら

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