ミグリトール(セイブル)は吸収されてから効果がでる?吸収されるときに効果がでる?作用機序を考察

ミグリトール(セイブル)って食事に混ざって効果がでてるの?

ミグリトール(先発品名:セイブル)は2006年に販売を開始した、小腸粘膜上皮細胞の刷子縁膜において二糖類から単糖への分解を担う二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する薬です。

販売を開始してから18年以上たち、それほど新しい薬ではないのですが、上記質問を同僚からされて即答できなかったため、今回色々調べてみました。

かばこ

質問される前は、吸収されて血液に入ってから効果が出るんじゃないの?としか思ってませんでした。すみません。

資料が十分なく、MRさんからも十分な回答が得られず、調べた範囲で考察したため、誤っている可能性があります。ご了承いただけますと幸いです。

この記事を読んでわかること
  • ミグリトール(セイブル)の作用機序
  • ミグリトールの吸収、代謝、排泄、バイオアベイラビリティ
  • どのように効果を発揮しているか
目次

ミグリトール(セイブル)の作用機序

メーカー資料を基に、改めてミグリトール(セイブル)の作用機序をおさらいしたいと思います。

メーカー資料から読み解く、ミグリトールの作用機序

セイブル 製品紹介資料より抜粋

メーカー資料によると、以下のように記載されています。

ミグリトールは、糖の消化・吸収が盛んな小腸上部でαーグルコシダーゼを阻害するため、食後の急峻な血糖上昇を抑制し、血糖のピークを低下させます。同時にミグリトール自体は小腸上部から吸収されます。

②小腸下部では、ミグリトールの薬物濃度が低下するためαーグルコシダーゼ阻害活性が減弱し、糖質の消化が進み、糖の吸収が起こります。その結果、血糖のピークが後ろにずれ、なだらかな血糖推移を示します。

③吸収されなかった未消化の糖質が大腸に到達した場合、腹部膨満・鼓腸・下痢といったαーグルコシダーゼ阻害剤に特徴的な消化器症状の原因になることがあります。

上記①にも記載があるように、確かにミグリトールは吸収されます。

しかし、αーグルコシダーゼとミグリトールが結合し、αーグルコシダーゼの作用を阻害しているのは、①にも記載があるように、小腸粘膜上皮細胞であり、薬が吸収される前の段階です。

②の図を見てもわかるように、一度吸収されたミグリトールが再び小腸下部で小腸上皮細胞に出てきてαーグルコシダーゼを阻害している様子はありません。実際に、ミグリトールの効果が薄れ、糖の吸収がすすむとの記載があります。

かばこ

あれ?血液に入って効果が出る薬じゃないのか??

ミグリトール(セイブル)の吸収、代謝、排泄、バイオアベイラビリティ

ミグリトール(セイブル)の作用に関して知らない薬剤師、医療関係者はいないと思うため、効果、副作用等の基礎知識は今回省かせていただきました。

以下にインタビュフォームや添付文書から読み取った吸収、代謝、排泄、バイオアベイラビリティに関してのデータをまとめました。

ミグリトール(セイブル)の吸収、代謝、排泄、バイオアベイラビリティ

以下にミグリトール(セイブル)のインタビューフォームから抜粋したものを掲載しました。

ミグリトールはほとんど代謝を受けず尿中に排泄されることから、尿中排泄率は吸収率を反映しているものと考えられる。

<参考:外国人データ> 健康成人男性(6例)に3H-ミグリトール100mgを単回静脈内投与及び単回経口投与した結果、絶対的バイオアベイラビリティは約60%であると推定された

セイブルのインタビュフォームより抜粋

この情報から推測されることは、ミグリトールは小腸上部から60%程度吸収されて、代謝されずにそのまま腎臓に運ばれ、尿中排泄される、腎排泄型の薬であることです。

かばこ

腎排泄型と聞いていたため、水溶性が高く、あまり吸収されない薬かと思っていましたが、吸収はしっかりされているようです。

参考資料

ミグリトール(セイブル)が食直前服用なのは、深い意味があった

ミグリトール(セイブル)が食直前服用(5~10分前)なのは、先に血中に薬が入っていないとαーグルコシダーゼを阻害する効果が十分に出ないためだと思っていました。

ミグリトール(セイブル)はタイミングが非常に大事!食事の量や勢いにも注意が必要かも?

しかし、今回調べたことから、ミグリトール(セイブル)は食事の残渣が小腸に残っていたり、服用してから5分よりも前に食事を食べてしまった場合、食べる勢いが強すぎたり、量が多すぎる場合は、小腸上皮細胞にあるαーグルコシダーゼと十分に結合できず、効果が出ない可能性があるのではないかと思いました。

また、10分より経過すると、今度は薬が吸収されてしまって、効果が出なくなる可能性もあるのではないかと感じました。

色々な資料を探してみましたが、食事の量や勢い、薬を服用後すぐに食事を食べたケースに関するデータは発見できませんでした。

おわりに

ミグリトール(セイブル)はよく知られた薬で、勉強するのもいまさら感もありましたが、調べてみると意外に奥が深いことがわかりました。

改めて非常に飲むタイミングが重要な薬であることと、食事のとり方も影響がありそうな薬であると感じました。

この記事が誰かの役に立てば幸いです。

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