血液サラサラの薬で胃もたれが起きるって本当?胃薬を飲んだ方がいい?

高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、喫煙、過度の飲酒、不整脈など、何らかのきっかけで血液の流れが悪くなると、血液が固まって血の塊(血栓)ができます。

血栓が血管の中で詰まると、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症などの血栓症を引き起こすため、予防や再発防止のために血液サラサラの薬が使用されます。

けれど、血液サラサラの薬を飲み始めてから、胃が痛い気がする…。そんなふうに感じてはいないでしょうか?

この記事では、血液サラサラの薬と胃もたれの関係に関して、確かな情報をもとに解説していきます。

この記事でわかること
  • 血液サラサラの薬の種類
  • 血液サラサラの薬の副作用
  • 血液サラサラの薬と胃もたれの関係
  • どの胃薬を選んだらよいのか
目次

血液サラサラの薬って何?

血液サラサラの薬は、抗血小板薬と抗凝固薬の2種類に分けられます。

抗血小板薬:血液を固まらせる血小板の働きを抑え、血流の速い血管での血栓を予防します。

商品名:バイアスピリン、バファリン配合錠A81、プラビックス、エフィエント、パナルジン、プレタールなど

抗凝固薬:血液を固める様々な凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管などで血液が滞るために起こる血栓を予防します。

商品名:ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナなど

病気の種類によって、どちらかのみ、もしくは両方を使用するケースがあります。

血液サラサラの薬の副作用

血液サラサラの薬の代表的な副作用は『出血しやすくなる、血が止まりにくくなる』という、血液サラサラの薬が効きすぎたことによって起きる症状です。

しかし実は一部の血液サラサラの薬は、胃潰瘍などの消化性潰瘍が起こりやすいことはご存じでしょうか?

血液サラサラの薬と胃もたれの関係

抗血小板薬である低用量アスピリン(バイアスピリン、バファリン配合錠A81)は、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍のリスクが高いと言われています。

血液サラサラの薬の中でも、低用量アスピリン(バイアスピリン、バファリン配合錠A81)は血栓がかかわるさまざまな病気に有効であることが立証されており、安価であるため、最も使用されているお薬です。

しかしさまざまな論文や、実臨床でも、低用量アスピリン(バイアスピリン、バファリン配合錠A81)が原因の潰瘍が報告されています。

バイアスピリンでどのくらい消化性潰瘍になるの?

バイアスピリン(成分名:アスピリン)の添付文書上では、消化性潰瘍の発症は頻度不明と記載があり、注意喚起があるのみで、それほど注意が必要なようには見えません。

しかし、実際にはアスピリンによる多くの十二指腸潰瘍、胃潰瘍の報告例があがっています。

その一部を紹介します。

  • ピロリ菌が陰性の若い患者に低用量アスピリンを7日間投与したところ、85% と高率に発赤、点状出血、びらんなどの胃粘膜傷害が生じたという報告例
  • 28日以上のアスピリン(75~325mg)服用 187症例のうち、初回の内視鏡観察で10.7% に消化性潰瘍を、63.1% にびらんを認め、3カ月の follow-up中に新たに7% に潰瘍の発症を確認したと報告例
  • 2002-2004年にかけて上部消化管内視鏡検査で確認した消化性潰瘍 382例のうち、低用量アスピリン起因性は7% であったという報告例

これらの論文からわかることを以下にまとめました。

  • 85%程度の方で、何かしらの粘膜障害を起こしていること
  • 10%~20%の方で潰瘍を起こしていること
  • 消化性潰瘍全体の発症率からみても、アスピリンによる潰瘍は多いこと
かばこ

思っていたよりも多くてびっくりです。

アスピリンは用量が増えると胃潰瘍を起こしやすい?

用量依存性はなく、一日投与量(75-300mg)で出血のリスクは変わりがないとされています。

かばこ

多くても少なくても、潰瘍が起きるリスクが高いってことですね

ハム吉

高用量のアスピリンは、血液サラサラではなく、痛み止めとして使われるよ!

投与期間に関しては、長期投与例はもちろんのこと、投与早期でも潰瘍が発生する可能性があることもわかっています。

アスピリン以外の血液サラサラの薬も注意が必要?

他の血液サラサラの薬による消化性潰瘍の副作用は低用量アスピリン(バイアスピリン、バファリン配合錠A81)ほどではないものの、報告されています。

低用量アスピリンに加え、他の血液サラサラの薬痛み止めのNSAIDsを服用した場合、さらに潰瘍の発症リスクがあがることがわかっています。

かばこ

低用量アスピリンに、NSAIDsや血液サラサラの薬を足す場合は、胃薬を併用した方がよさそうですね。

胃薬を併用した方がよいケースも。どの胃薬がおすすめ?

弁置換術など開心術後に、血液サラサラの薬を開始した患者に、防御因子増強薬、H₂ブロッカー、PPIなどをそれぞれ投与した結果、PPIを投与した場合の上部消化管粘膜傷害の発症頻度が優位に低いことが報告されています。

かばこ

どのPPIがよいかまでのデータは調べられませんでした。

防御因子増強薬、H₂ブロッカーよりも、血液サラサラの薬に対する消化性潰瘍予防効果はPPIが優れていることがわかりました。

市販の胃薬でも予防できる?

PPI(商品名:タケプロン、ネキシウム、タケキャブなど)という種類の胃薬は、市販では手に入れることができません。

かばこ

市販で販売しようという動きはありますが、現時点(2024.3)では販売されていません。

市販で手に入れることができるH₂ブロッカー(商品名:ガスターなど)などでも多少が効果があるとは思います。

しかし血液サラサラの薬を飲んでいて違和感を感じる場合は、はやめに医師に相談したほうがよいでしょう。

1119円(税込み)です。

まとめ

この記事では、血液サラサラの薬と胃潰瘍との関連性、予防方法に関してまとめました。

消化器内科の専門の先生が、講演会で「胃薬を削る医師や、胃薬の減薬の提案をする薬剤師が多くて困る」と言っていたためです。

違和感を感じる場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう!

血液サラサラの薬だけでなく、痛みとめのNSAIDs(商品名:ロキソニン、ボルタレンなど)も胃潰瘍のリスクが高いため、長期で服用する場合は注意した方がよいでしょう。

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