熱中症が引き金に?急性腎不全で救急搬送!リスクと予防法

夏が近づくと、熱中症の患者さんの数も増加していきます。

この記事では熱中症によって引き起こされる症状である、急性腎不全とは?というところから、熱中症を防ぐために必要なこと、急性腎不全の初期症状などを解説しました。

健康に夏を乗り切りましょう!

この記事でわかること
  • 熱中症とは?なぜ起きるの?
  • 熱中症でおきる症状
  • 急性腎不全とは?
  • 熱中症を防ぐ方法とは?
  • 急性腎不全の初期症状
目次

熱中症のメカニズムと腎臓への影響

熱中症はなぜ起きてしまうのでしょうか?

熱中症がなぜ腎臓にダメージを与えるのでしょうか?

熱中症のメカニズムから詳しく見ていきましょう!

熱中症とは

熱中症とは、暑さによって身体の適応機能が障害される状態を指します。

具体的な症状としては、めまい、失神、大量の汗、口渇感、頭痛などがあります。

特に気温が31℃以上で湿度の高い環境や、暑さ指数(WBGT)が28℃を超える状況では、熱中症のリスクが高まります。

体温調節機能の仕組み

私たちの体は、外部の環境温度に対応して体温を調節する機能を持っています。

体温が上昇すると、汗をかくことで熱を発散し、体温を下げる仕組みがあります。

しかし、暑さが過度になるとこの調節機能が追いつかず、体温が異常に高くなることがあります。

これが続くと、体内の様々な器官に障害を引き起こす可能性が高まります。

脱水状態の発生と影響

脱水とは、体内の水分が不足した状態のことで、熱中症の際には大量の汗をかくことにより発生しやすくなります。

脱水が進行すると、体液の減少による血液の濃縮が起こり、腎臓の機能が低下することがあります。

この状態が続くと、急性腎不全のリスクも高まります。

腎臓は、体内の老廃物を除去する重要な役割を果たしているため、脱水を防ぐことは特に重要です。

急性腎不全のリスク要因と脱水

熱中症による脱水が腎臓にダメージを与えることは、前述したとおりです。

しかし軽度の脱水程度のダメージであれば、自然に回復していきます。

では、腎臓のダメージが改善せずに、急性腎不全まで至ってしまうのはなぜなのでしょうか?

詳しく見ていきましょう!

急性腎不全(AKI)とは

急性腎不全(acute kidney injury: AKI)とは、腎臓が突然機能を失う状態を指します。

この状態では、腎臓が正常に働かなくなり、老廃物や余分な液体が体内に蓄積され、尿の量が減少しむくみ・倦怠感』が現れます。

急性腎不全は、数時間から数日で急激に進行することがあり、早期の診断と適切な治療が重要です。

熱中症が引き金となる理由

熱中症では大量の汗をかき、体内の水分が急速に失われることがあります。

熱中症による急激な脱水状態は、血液の流れを悪化させ、腎臓に供給する血液の量を低下させます。

その結果、腎臓はその急激な変化に耐えられず、正常な機能を失っていきます。

この状態に、さらにほかのリスク要因が重なると、腎臓の機能が回復せず、急性腎不全にいたってしまうと考えられます。

急性腎不全のリスク要因は以下の通りです。

急性腎不全のリスク要因
  • 男性
  • 黒人
  • 既存の慢性腎臓病
  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • 貧血
  • 慢性肝疾患
  • 心疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 悪性腫瘍
  • 術後
  • 外傷
  • 感染症
  • 造影剤への曝露
  • 多剤服用

高齢者の方はどれかひとつにはほとんどの方が該当しているでしょう。

夏場の熱中症や脱水には注意が必要です。

かばこ

次章は熱中症対策に関して解説します!

横紋筋融解症と熱中症、急性腎不全の関係

熱中症が重症化すると、横紋筋融解症と呼ばれる筋肉組織の崩壊が起こることがあります。

これは、特に過度の運動や高温環境下での活動によって引き起こされることが多いです。

横紋筋融解症が発生すると、筋肉の中からミオグロビンというタンパク質が大量に血液中に放出され、このミオグロビンが腎臓でフィルターを詰まらせる原因となることがあります。

結果として、急性腎不全を引き起こしやすくなるのです。

そのため、夏の間には適切な休息と無理のない運動が非常に重要です。

参考資料

予防と対策

熱中症はめまい、失神、大量の汗、口渇感、頭痛などの症状だけでなく、急性腎不全などの危険な状態を引き起こす場合があることは前述したとおりです。

では、日常生活ではどのように気をつけていけばよいのでしょうか?

日常生活での予防法

かばこ

テレビ等でも散々言われていることではありますが、改めて強調したいと思います。

対策1 シーズンを通じて暑さに負けない身体つくりを!

夏場にどこにも出かけない、学校にも行かない、というのも難しいですよね?

暑さに負けない身体づくりを普段から気をつけること、正しい知識をつけることが大切です。

  • のどが渇いてなくても適度な水分をとる

スポーツドリンクからの糖分のとりすぎに注意しながら、適度に水分をとるようにしましょう。

  • 塩分をほどよくとる

塩分をとりすぎる必要はありませんが、たくさん汗をかくときは、特に塩分補給をしましょう。

  • 睡眠環境を快適に保つ

通気性や吸水性の良い寝具をつかったり、エアコンや扇風機を適度に使って睡眠環境を整え、寝ている間の熱中症を防ぐと同時に、日々ぐっすりと眠ることで翌日の熱中症を予防しましょう。

  • 丈夫な身体をつくる

バランスのよい食事やしっかりとした睡眠をとり、丈夫な体をつくりましょう。体調管理をすることで、熱中症にかかりにくい体づくりをすることが大切です。

対策2 暑さに対する工夫

暑さは日々の生活の中の工夫や心がけでやわらげることができます。自分のいる環境の熱中症危険度を常に気にする習慣をつけることも重要です。

  • 気温と湿度をいつも気にしよう

屋内の場合は、日差しを遮ったり風通しを良くすることで、気温や湿度が高くなるのを防ぎましょう。

  • 室内を涼しくしよう

扇風機やエアコンで室温を適度に下げましょう。

過度の節電や「この程度の暑さなら大丈夫」とガマンしてはいけません。

  • 日ざしをよけよう

ぼうしをかぶったり、日傘をさすことで直射日光をよけましょう。また、なるべく日かげを選んで歩いたり、日かげで活動したりするようにしましょう。

  • 冷却グッズを身につけよう

冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズを利用しましょう。

ちなみに、首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができます。

対策3 炎天下には特に注意!暑さから身を守るアクション

上記の対策を理解し、さらに炎天下での作業やスポーツの際など、声掛けやとるべき具体的なアクションをまとめました。

  • 飲み物を持ち歩こう

出かけるときは水筒などでいつも飲み物を持ち歩き、気づいたときにすぐ水分補給できるようにしましょう。

  • 休憩をこまめにとろう

暑さや日差しにさらされる環境で活動をするときなどは、こまめな休憩をとり、無理をしないようにしましょう。

  • 熱中症指数を気にしよう

携帯型熱中症計やテレビ、Webなどで公開されている熱中症指数で、熱中症の危険度を気にしましょう。

油断大敵!こんな時期は気をつけよう!

真夏はどの人でも「熱中症になるから気をつけよう」と思っているものです。

しかし以下の時期にも熱中症が増えるため、注意しましょう!

かばこ

油断しがちな時期なので気をつけましょう!

熱中症をおこしやすい時期
  • 5月の暑い日
  • 梅雨の晴れ間
  • 梅雨明け
  • お盆明け

熱中症かもと思ったら?緊急時の処置

万が一、熱中症の症状が現れた場合の緊急処置も心得ておきましょう。

かばこ

熱中症の症状は『めまい・失神・筋肉痛・大量の発汗・頭痛・不快感・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感・意識障害・痙攣・運動障害・高体温』などです。

ハム吉

急性腎不全の初期症状である『浮腫み・倦怠感』にも注意が必要です。

STEP
すぐに涼しい場所へ移動させ、衣服を緩めたり、脱がせて体温を下げる。

その際、冷たいタオルを使ったり、水をかけたりすることで効果的に体を冷やすことができます。

氷のう等があれば、首、わきの下、ふとももの付け根を集中的に冷やしましょう。

熱射病が疑われる場合には身体冷却を躊躇すべきではなく、その場合には「寒い」というまで冷却します。

STEP
意識がはっきりしている場合は、水分補給を行う

スポーツドリンクなどの電解質を含む飲料が理想的です。

STEP
意識が不明瞭な場合や重症が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが必須

意識があるものの、症状が改善しない場合も医療機関を受診しましょう。

熱射病が疑われる場合には迅速な対応が重要!

熱中症は高い気温の下で起きる全身の障害を総称したもので、熱射病はその障害の一つです。

熱射病はめまいや吐き気、頭痛のほかに意識障害、昏睡、全身けいれんなどが起きることがあり、極めて危険な状態です。

速やかに医療機関を受診する必要があります。

スポーツの現場での身体冷却法としては氷水に全身を浸して冷却する方法「氷水浴/冷水浴法」が最も効果的とされています。

マラソンレースの救護所などでバスタブが準備でき、医療スタッフが対応可能な場合には、冷(氷)水浴法が推奨されます。

学校や一般のスポーツ現場では、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が、次に推奨されます。

熱射病が疑われる場合の身体冷却法|JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)より抜粋

医療機関での治療法

  熱中症が進行して急性腎不全や横紋筋融解症のリスクがある場合、医療機関での迅速な対応が必要となります。医療機関では、体温を下げるための冷却処置が行われるほか、場合によっては点滴による水分補給が行われます。必要に応じて、腎機能の評価や治療も同時に進められます。このような専門的な治療を受けることで、急性腎不全やその他の合併症を防ぐことができます。特に、腎臓病の既往がある方は、熱中症となった場合、早期に医療機関を受診することが重要です。

まとめ

熱中症は急性腎不全を引き起こす恐れがあり、高齢者、腎機能低下や特定の疾患を持っている方では注意は必要です。

とくに高齢者は暑さを感じにくくなっているため、意識的に対策をとる必要があるでしょう。

  1. 5月のゴールデンウィーク以降は、こまめな水分摂取と空調などで室温を適切に保ちましょう。
  2. 外出の際は水分と塩分を持ち歩くとともに、適度な休憩、帽子などで対策をおこないましょう。
  3. 体調が悪い場合は無理をせずに、早めに医療機関を受診しましょう。

夏場にかけてあまりにも急性腎不全にかかる患者さんが増加するため、自分の知識向上のため、今回記事をまとめました。

参考になれば幸いです。

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