上の子供が小学生になってから、1年生の頃からオンラインゲームを無制限にやらせている親が多くて非常に驚きました。
みんながやっているから安全、大丈夫と思っている親が多いのかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
歴史的に見ても「みんながやっていても安全ではなかった、正しくなかった」事はたくさんありました。
むしろ皆がやって問題が起きて中止や禁止になったことだらけではないでしょうか。
例えば、覚せい剤は戦時中は日本でも合法で手に入りましたが、強い依存性に苦しめられ、現在は違法となりました。
タバコはどうでしょうか?つい20年ほど前の親世代はたくさん吸っていましたよね?
今では世界的に非常に害のあるものとして認知され、喫煙所は減らされ、禁煙のほうに動いています。
もっと大きなもので言えば戦争はどうでしょうか?
階級制度はどうでしょうか?
昔は当たり前でみんなやっていたものが現代においてはよくなかったと反省し、なくなっていっています。
小学生の子供の親として、危機感を誰も感じていないことに疑問と違和感を感じたため、個人的に色々調べてみました。
- オンラインゲームに不安を感じている人
- オンラインゲームでゲーム中毒になるのではないかと心配な人
- オンラインゲームの危険性に関して知りたい人
- 世界的にオンラインゲームに対してどのような取り組みがあるのか知りたい人
WHOが「ゲーム障害」を2019年5月に 新たな国際疾病分類として認定
「ゲーム障害」は、ゲームに熱中し、利用時間などを自分でコントロールできなくなり、日常生活に支障が出る病気です。
日本よりも先にオンラインゲームが浸透したほかの国ではオンラインゲームで強い依存症状に陥り、治療に必要な患者さんがたくさん出てきています。
WHO(World Health Organaization:世界保健機構)が正式に精神疾患として認定
2022年、世界保健機関(WHO)は、オンラインゲームやテレビゲームに没頭し、生活や健康に支障をきたす状態を「ゲーム障害」(ゲーム依存症)という精神疾患として「改訂版国際疾病分類(ICD-11)」で位置付けることを公表しました。
「改訂版国際疾病分類(ICD)」は28年ぶりの改定となり、ゲーム障害が国際的に疾病として認定されたことにより適切な対策が求められることになると思います。
ゲーム障害、ゲーム依存症に関する日本の現状と今後の動き
2020年4月、香川県議会がゲーム依存症防止を目的とする「ネット・ゲーム依存症対策条例」を可決しました。
「ゲーム障害」という疾病が国際的に認められたのをうけ、厚生労働省では、日本でも疾病認定、診断基準、専門家の育成を検討しているようです。
「ゲーム障害」という病名の日本での認定時期は未定です。
ゲーム障害、ゲーム依存症による日本の患者さん数は?
日本での患者さんの数はどのくらいなのでしょうか?
日本では疾病として登録されていないため、確かなデータはありませんが、以下のように報告されています。
ゲーム障害の患者数は、はっきりとわかっていませんが、厚生労働省の調査では、「ネット依存」が疑われる人は成人で推定約421万人、中高生で約93万人(2017年)いると推定されています。
また、久里浜医療センターを2016年~17年に受診した人のうち、ネット依存の約90%がゲーム障害でした。
「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
ゲーム障害、ゲーム依存症の患者数はコロナによって加速しているとの報告も上がっています。
日本でゲーム障害、ゲーム依存症の治療を行っている病院での診断基準
国立病院機構 久里浜医療センターでの診断基準です。
NHK 「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
- ゲームをする時間をコントロールができない。
- ほかの生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先する。
- ゲームによって問題が起きているにもかかわらずゲームを続ける。
- 学業や仕事、家事などの日常生活に著しい支障がある。
- 上記の4項目のすべてが当てはまり、12か月以上続く場合に「ゲーム障害」と診断されます。
ただし、この4つの症状がすべてが当てはまり、しかも重症である場合には、継続時間が12か月よりも短くてもゲーム障害と診断されることがあります。
特に、小中学生では短期間で重症化しやすい傾向がみられます。
ゲーム障害、ゲーム依存症の兆候
ゲーム障害は誰にでも起こる可能性がある病気です。
そのため、ゲーム障害の兆候を知り、早めに気付くことが大切です。
NHK 「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
- ゲームをする時間がかなり長くなった
- 夜中までゲーム続ける
- 朝起きられない
- 絶えずゲームのことを気にしている
- ほかのことに興味を示さない
- ゲームのことを注意すると激しく怒る
- 使用時間や内容などについて嘘(うそ)をつく
- ゲームへの課金が多い
ゲーム障害、ゲーム依存症になった時に起こる問題
ゲーム障害で受診した9歳~46歳までの患者さんに起きた問題を調べたところ、
NHK 「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
- 59%が「欠席・欠勤」
- 33%が「ひきこもり」
- 76%が「朝起きられない」
- 60%が「昼夜逆転」が起きていました。また、そのうちの12%は「退学・放校」、7%が「失職」するなど、日常生活に支障を来たしています。
- 51%が「物にあたり、壊す」、27%が「家族に対す暴力」といった、問題も起きています。
既に大人の世界ではスマホゲーム、オンラインゲームなどにハマりすぎで引きこもりになった話や、犯罪を犯した話はテレビのニュース等でも聞いたことがあると思います。
小学生の子供ではあまり聞いたことはありませんが…。(今後今の子達が中高生でこの仲間入りをしてしまうのではないかとすごく心配です)
もちろんオンラインゲームのせいだけではなく、このようなことになってしまう背景には、家族関係の問題や友人関係の問題などもあるのかもしれません。
ただ、完全にオンラインゲームはこの症状と無関係と切り離せるでしょうか?
私の大学時代の同期の男の子で二人、オンラインゲームのメイプルストーリーのやりすぎで昼夜逆転し、テストも受けられなくなり留年し、そのまま退学し、その後ストレスから精神疾患になってしまった人がいます。
一人は後期入学成績1番(センター試験総合94%とった秀才)、もう一人は進学校の東大寺学園出身の秀才でした。
ゲーム障害、ゲーム依存症の治療は?
国立病院機構 久里浜医療センターでの治療です。
基本的には通院で「診察」や「カウンセリング」、「デイケア」などを行なっていきます。これらを受けてもうまくいかない時は「入院治療」を行なっていきます。
NHK 「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
- 診察
- カウンセリング
- デイケア
- 入院治療
ゲーム依存傾向の子どもを持つ親は、何もしていないわけではないのだと思います。
ゲームをやめさせようと取り上げたり注意をしたりすると、子どもが暴れたりするため仕方なく…というケースが多いようです。
そういった場合の親のカウンセリングも行っているようです。
ゲーム障害、ゲーム依存症がおきるメカニズム
ゲーム障害、ゲーム依存症では、脳に異常な反応が起き、依存状態から抜け出せなくなるようです。
ゲーム障害の患者さんの脳では、ゲームを見ると脳に異常な反応が見られます。
これは、アルコール依存やギャンブル障害の患者さんでも確認できる同様の異常反応です。
脳に異常な反応が起こると、「ゲームをしたい」「遊びたい」などの衝動的な欲求に襲われ、ますます依存状態から抜け出せなくなります。
このような依存状態が続くと、「理性」をつかさどっている前頭前野の機能が低下し、ゲームに対しての欲求がさらにエスカレートしていきます。とくに未成年者では、前頭前野の働きが十分に発達していないため、ゲーム障害が起こりやすく、将来にわたって影響が続く可能性があると考えられています。
NHK 「やめられない怖い依存症!ゲーム障害はひきこもりの原因にも 治療法について」
一次的なものであればいざ知らず、将来まで影響が残る可能性が指摘されています。
たかがゲームと甘く見ずに、今のように無制限にゲームをやらせ続けていいのか、今一度考えた方がいいのではないかと思います。
オンラインゲームと普通のゲームは何が違うの?
今のオンラインゲームは、昔のゲームとはまったく違います。
幾度もアップデートされ、ゲームに終わりがなく、画面の向こう側にいる人との競争や仲間意識が生まれるため、自分で自分をコントロールできなくなり、依存してしまう可能性が高いしくみになっています。
オンラインゲームは課金制のものも多く、課金しないと仲間に入れない、馬鹿にされるなどの友達同士のトラブルもあり、課金額がエスカレートしていく傾向にあります。
いじめなどのトラブルに発展するケースも出ており、学校によっては禁止しているところも出てきているようです。
また、オンライン上でのやり取りを自由に行っている際に見知らぬ他人と知り合い、トラブルに巻き込まれるケースもあります。
親はよく子供の様子を観察する必要があると思います。
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オンラインゲームは基本は無料です。
ではどこで開発費用を得ているかというと課金です。
この時点で、私たち親世代が知っている昔のゲームとは全く別物だと思います。
大人たちが本気でハマらせよう、お金を出させようと戦略を立ててきているものに、小さな子供にハマらずに抜け出せというのも無理な話だと思います。
わが子の学校でも、先生から低学年からのオンラインゲームはやめるべきといった話がありました。
eスポーツブームの裏側で、eスポーツのプレイヤーを志す人の中にも、昼夜逆転してゲームに依存し、生活が破綻してゲーム障害に陥っている人々がいて、その数は年々増えているようです。
(国民生活センター 「特集 オンラインゲームで何が起きているか」 参照)
オンラインゲームに課金することは金銭感覚に影響しないか
近年、国民生活センターには小中学生のオンラインゲームでの課金にまつわるトラブルが、急増しているようです。
国民生活センター オンラインゲーム
- 小学生の息子が、タブレット端末に自分の指紋認証を追加登録してオンラインゲームで高額課金していた。取り消しできるか。
- 中学生の息子が勝手に現金を持ち出し、コンビニでプリペイド型電子マネーのギフトカードを購入して、タブレット端末でオンラインゲームに課金していた。返金してもらえるか。
- 小学生の息子が、母親の財布からクレジットカードを持ち出し、パソコンのオンラインゲームで高額課金していた。取り消したい。
- クレジットカード会社から高額利用の連絡があり、幼稚園児の息子がタブレット端末を使いオンラインゲームで課金をしていたことが分かった。取り消しはできるか。
- 中学生の娘が、私が前に使っていたスマートフォンを家のWi-Fiに繋げて、オンラインゲームに約10万円を課金していた。取り消したい。
正常な感覚が欠如してしまっていると言えると思います。
ここまで行かなくても誕生日プレゼントが全て課金(3万円くらい)という話は聞いたことがあります。
3万円は大金にも関わらず、形に残らず、一瞬で消えてしまう課金に使用することで金銭感覚がおかしくならないか心配になりました。
オンラインゲーム関連の世界のニュース
「あまりにも中毒性が高すぎる」としてフォートナイトが集団訴訟の危機に
真偽のほどは定かではないですが、フォートナイトはより人間がゲームをやめられなくするために心理学者を雇っているという噂があります。
中国のオンラインゲーム依存対策の効果は–未成年は休日・週末限定で1日1時間
中国国営のメディア「経済参考報」は、8月3日に「ゲームは精神的アヘン」とするコラムを掲載して大騒動となったようです。
ほかにもゲーム障害の子供の暴力、放火などの事件が問題になったようです。
86時間続け…「ネトゲ廃人」死者も 韓国、国挙げ対策
韓国では24歳の男性がPC房で多人数参加型のオンラインゲームに没頭。
トイレに行く時とたばこを買う時以外の86時間、ゲームを続けた末にエコノミー症候群で死亡しました。
ほかのスポーツや趣味だって、仕事だってやりすぎれば中毒になる?
もちろんほかのスポーツでも、趣味でもやりすぎれば体を壊したり、倒れたりすることはあると思います。
「暴力をふるう」「昼夜逆転する」「学校に行けなくなる」「やめないといけないのにやめられない」「嘘をつく」「常にゲームのことを考えている」などは明らかにほかの趣味や仕事にはない異常な状態です。
しかもこの状態がまだ未熟な心と体を持った小中学生に起きていることが非常に問題だと思います。
個人的には正常な判断能力が育つ年齢、育つ経験を積ませ、ゲームの他にも楽しい事、やらなければいけないことを沢山親や周りの大人が教えてから、オンラインゲームは足を踏み入れるべき領域のものだと思います。
ゲーム障害、ゲーム依存症にさせないためにはどうしたらいいの?
日本成人病予防協会の「ゲーム依存症 ~今話題の健康ワード!~」では以下のように記載されています。
日本成人病予防協会の「ゲーム依存症 ~今話題の健康ワード!~」
- 人とのコミュニケーションを大切にしましょう。
- 週に1日ゲームをしない日を作りましょう。
- ゲーム以外に夢中になれることを見つけましょう。
- ゲームやネット機器などの正しい情報を得て、リスクを知りましょう。
- 体を動かしたり、自然と触れ合いましょう。体を動かすことは、質の良い睡眠に繋がります
- 誰かと出かけるときはネットは必要な時以外は使わないようにしましょう。
- 会話をするときは相手の顔を見て話しましょう。
個人的にはこれに、「オンラインゲームをやるのはある程度分別のつく年齢になってから」というのを加えたいです。
どのくらいの年齢かは、その子の精神的な発達度合いによると思います。
最後に(周りの現状と我が家の現状)
息子は小学3年生ですが、2年生でSwitch購入しました。
周りに持っている人が増えてきて話についていけなくなってきたからです。
コロナの最中はオンライン上で待ち合わせをしたりもしていたようです。
色々上記のように考えた結果、我が家ではオンラインゲームは禁止、ゲーム時間は宿題後に1時間の制限をかけています。
それで少し不満はあるようですが、現状では友人もいて、学校生活も問題なく過ごせています。
追加(私の子供の頃)
私自身はゲームをドラクエだけします。
なのでゲーム自体を否定するつもりはありませんし、そこから学んだことも多かったので、全てを禁止するつもりはありません。
小学生当時、面白かったので最後までやりましたが、やれないと暴れるほどの中毒性はありませんでした。
男友達の間でも話題になっていましたが、ゲームの進みが遅いから仲間外れにされたり、課金しないと仲間に入れないようなこともありませんでした。
自分のペースでやりながら、友達同士で楽しんでやっていたように思います(早く進んだ子が進みの遅い子に攻略法を教えたり、今となってみれば微笑ましかったように思います)。
弟はかなりのゲーマーで、そのせいで眼が悪くなり程でした。
今でもゲームはこよなく愛しているようですが、オンラインゲームは一切やりません。
今までも今も、ゲームのせいで学校に行けなくなる、仕事が出来なくなる、暴れるなどは起きていません。
そのため、普通のゲームは制限をかければそれほど中毒性は問題にならないと考えています。
※個人的な見解です。
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