病院で待たされて、早く帰りたい、お腹すいた…いいから早く薬を出せよ!と思っている患者さん。
イライラしている患者さんが爆発しないように、脂汗をかきながら調剤する薬剤師。
それでも爆発は突然に…。

私も度々患者さんを爆発させています。

クレーム対応をすると、しばらくエネルギーを吸い取られて疲弊するので、出来れば小爆発ですませたい。
薬局で多いクレームとは何でしょうか
私がいままで遭遇したケースですが…
薬局での取り組みと対策
ほとんどが上記のクレームで、私のいた薬局ではほぼ上の3つがほとんどでした。
私のいた薬局、病院で皆で共有していた対策を具体的に上げてみます。
家に帰ったら薬の数があわない
- 調剤、監査を別の人が行う
- コンピューターで薬の数の管理、監査写真の撮影
- 一度クレームがあった患者さんは薬歴のサマリーに記載してより注意して投薬時にお渡し
- 投薬時にも患者さんと数を一緒に確認し、場合によっては受け取ったというサインをいただく

それでもごねる患者さんがいますが、その場合は本社に相談するしかありません。
薬を出すのが遅い(調剤に時間がかかる)
- こまめに声掛けをし、調剤に時間がかかっている理由をしっかりと説明する。
- 時間がかかってから伝えるのではなく、あらかじめ時間がかかることが想定される場合は早めに伝える。
- 一度帰宅する、買い物に行く場合は電話番号を確認し、出来上がり次第連絡を取れるようにする。
- アプリを採用し、事前に処方箋の写真を送付していただき、出来上がってから連絡するようにする。
- 他に待っている人がいて遅くなっている場合は、事情を説明すると共に出来る限り早く出してあげるように努力する。

他の点でその薬局を気に入ってくれているようであれば、上記の努力により、比較的理解をしてくださる方が多かったように思います。
薬を出すのが遅い(疑義照会なんてしなくていいから早く出してほしい)
- 本当に必要な疑義照会の場合はご理解いただけることが多いので、しっかりを説明をする。

禁忌薬が出ている、薬の用量が2倍量出ているなど、明らかに仕方がないケースでごねられることはほとんどありません。
- 本当に必要な疑義照会なのか、もう一度考える。

薬剤師は若干細かい人が多く、そんなことで!?という事でも疑義紹介をかける人がいます。

同僚の薬剤師から見ても、過剰じゃないかと思う疑義照会は、患者さんからの理解を得るのも難しいので、周りの意見をよく聞いた方が良いと思います。

クレームにならなくても、次回その薬局から静かに去っていく人はいると思います
- あまり形式的な疑義照会が多い場合は、門前の病院に相談して、プロトコールなどで後疑義照会(報告のみ)でOKにしてもらう。

10年前よりはこれをやってくれる病院は増えたような気がします。形式的な疑義照会はお互いにデメリットしかないですよね。
無理やりジェネリック医薬品に替えられた。
- あまりしつこくは勧めないようにする。

大手チェーンなどは、ジェネリック医薬品変更率にノルマが課されているところもあり、強引にでも進めざる得ない場合もあるとは思いますが…。

患者さんも納得していないと、結局薬局を変えられたり、クレームに繋がったりします。
経営事情もあるかとは思いますが、患者さんの様子を見ながらほどほどに…。
- 不安を感じる場合はDrに相談してからでいいことを説明する。
- メーカーや国からのパンフレットを用いて説明する。(視覚に訴える)
- それでもどうしても抵抗がある場合は理由を聞いてみる。

以前アレルギーが出たため不安、ニュースをみて不安等などの場合、理由によっては胃薬くらいなら替えても良い等の妥協案が通ることもあります。
- 価格の差を説明する
聞かれたくないことを質問された
- 相手に合わせてプライバシーに考慮した聞き方、声のトーンにする。

特に小児の病気、心の病気は神経質になっている人が多いように感じる為、配慮をするようにしています。
- 形だけの無駄な質問はしないようにする。

薬歴を埋める為の無駄な質問は、患者さんにも結構バレてます。
高圧的に説明された。
- 専門的な用語を使いすぎない。

患者さんは、薬の名前を使うよりも、色や形、何のための薬であるかで説明した方が安心するようです。

私たちが経済やコンピュータに関して??なのと同程度に、患者さんは薬に関しては知識がないと思った方が良いようです。
- 強引に服薬するように促さない

病院に勤めるようになってから感じる事なのですが、薬局の薬剤師は薬を飲ませることを強引に勧めすぎでいるように感じます。

今いる病院では、傾聴したり、患者さんのライフスタイルを考えて用法や処方内容を決めています。

薬局薬剤師も患者さんとの信頼関係を作り、トレーシングレポートなどを活用しながら、病院と連携をとり、患者さんのコンプライアンスをあげていった方が良いのではと思います。
薬の説明が不足している
- 説明していたとしても相手に伝わり、理解していなければ、説明したことにならない

認知度が低そうな患者さんの場合は、ご家族にも説明したり、薬袋の書き方にも一工夫が必要です。
お薬手帳に詳しく記載してお渡しする方法もあります。

病院では認知度を測るテストをして、説明の仕方を変えたりしています

薬局ではそこまでは出来ないと思いますが、説明を理解したか不安が残る場合には後日電話で確認しても良いかもしれないです。
- 説明はいいからと言われても、最低限の情報は持って帰ってもらう
あらゆる努力をしても、クレームに繋がってしまった場合は?
最初の5分で「謝っていい問題に持ち込む」ことが大切です。

私自身が下記の書籍を読んで、実際に実践して効果のあった方法です。
クレーム対応完全撃退マニュアル
とても参考になる書籍です。一般的な事を書いてありますが、薬局のクレームも十分該当する内容が沢山書いてあるので、一読する価値があると思います。
最初からクレーマー扱いしてはならない
上記書籍に記載されていたことですが、最初から患者さんをクレーマー扱いすると、反感を買うだけでなく、患者さんのさらなる不満を生み対応を自ら長期化させてしまうことになりかねません。
また必要以上の相手を怖がらず、淡々と接した方が相手をヒートアップさせないようです。
クレーム初期では、相手に対して親身な姿勢を崩さないのが大原則です。

私が子供関係のトラブルで学校に行くときも、学校側からクレーマーのような扱いを受けて感じると、更にヒートアップしてしまうという経験をしました。

その時も、穏やかに、真摯に対応して頂いて初めて、だんだん心も落ち着いてきました。
特に知ってよかったと思ったクレーム対応フレーズです!
①相手に与えてしまった「不快感」に対して謝罪する
→「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。」
②相手が感じている「不満」に対して謝罪する
→「ご不便(ご迷惑)をおかけして、申し訳ございません。」
③こちらの手際の悪さに対して謝罪する
→「お手間をとらせてしまい、申し訳ございません」

本当に真摯な姿勢を崩さずに、冷静にこの言葉を言っていると、結構ヒートアップせずに鎮火していただける確率が上がりました。
このような限定的なお詫びであれば「謝ったんだから責任をとれ!」と詰め寄られたとしても過失を認めて補償するという意味ではないため、切り返すことができます。
逆にこれでもまだ補償を求めてくる場合は、悪質な場合が多いため、対応を別のモードに切り替えて毅然とした対応をとるべきだと思います。

本社に連絡するなどの対応をとっても良い段階ですね。
また、同時に重要な事は、言い訳はしないという事です。
薬歴に書いてあるから…、私はこう言った…などは言った言わないの水掛け論になる事がほとんどで、相手の怒りをヒートアップさせるだけなので、既に怒っている相手には言わない方が無難です。
番外編 薬局、病院?地方、田舎?どっちの方がクレームが多い?
私自身が東京と地方、薬局と病院での勤務経験があるので、完全に主観ですが、感じた事を書きたいと思います。
東京と地方ではどちらの方がクレームが多いのか
これは圧倒的に東京の方がクレームが多いと思います。
しかもかなり悪質なクレームが多いです。お金を要求するパターン等もありました。

30分怒鳴り続けるとか、毎回キレる患者さんとかが複数いました。
ただ、東京で勤めていた薬局が大学病院の門前であったこと、精神科病棟も近かったこともあり、クレーマーになりそうな患者さんが多かったからというのも考えられます。

クリニックとかの門前だとそれほどでもないかもしれないです。
病院と薬局はどちらの方がクレームが多いか
病院全体で見るとどっこいどっこいのような気もしますが、薬剤部に限ってみると、それほど患者さんと接する機会がない事、待たせるという事がほとんどない為、大きなクレームはありません。

病院のクレーム発生が多いのは、指導の対応か、待ち時間が長かった時、患者さんが順番を飛ばされたと思ったとき、欲しい薬を医者だ出してくれなかったときです。
まとめ
クレーマーに怒られると、こちらもつい自分の正当性を説明したくなってしまいます。
しかし正当性を主張しても話がこじれ、更に怒りが増すことがほとんどです。
こちらのとった行動が正しかったか正しくなかったか、どちらが勝ちか、負けかではなく、クレームをいかに早く鎮静化するかを目的にし、行動した方が結果的に薬局にとっても患者さんにとっても良い結果になるのではないかと思います。
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